続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年03月21日

「舞いあがれ!」祖母の介護、子育て、事業、こんなにできるもの?<第118回>

「舞いあがれ!」祖母の介護、子育て、事業、こんなにできるもの?<第118回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第118回を紐解いていく。

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刈谷に業務提携を持ちかける

「なにより私が見たいんです」
(舞)

すっかり空飛ぶクルマに夢中な舞(福原遥)。こんねくとでも何か協力できないかと考えはじめ、御園(山口紗弥加)も作業場を見にいきます。

舞は飛ぶもの好きだからのめり込みますが、御園には未知のジャンルなので、最初は、ん?と思う気持ちはわかります。実際見ると、わ!となりますが、あくまで冷静で、町工場を巻き込めるなら参加する意味があると舞に釘を刺します。家庭もあるしとさらにひと刺し。御園の役割がこれまでいまひとつ明確ではなかったですが、こういう役割は必要です。

舞は自分の夢(空を飛ぶこと)に夢中な一方で、貴司(赤楚衛二)は短歌に行き詰まっています。でも自分のことは脇において、常に舞の話の聞き役にまわる、いい人です。

貴司を見ていると、朝ドラで好まれるヒロインの相手役は、ヒロインを自由に羽ばたかせてくれる理解者であることを再認識できます。

近年、最高の相手役は「あさが来た」の新次郎(玉木宏)でしょう。彼の場合、年齢もちょっと上で、あさ(波留)をリードしてくれて、自分のことは自分で解決し、どんなにあさが前進しても余裕で見つめているキャラで、だから安定感がありました。

貴司の場合は舞と同い年で自分の夢もあるため、どうしても舞の強さに押され気味になってしまいます。そして、うんうんと彼女の話を聞いて肯定し応援する役割になってしまいます。女性側としては
都合いい存在ですが、男性側にまわると、これでいいのかな?という気もします。

「舞いあがれ!」はなんとか貴司をヒロインのためだけにいる相手役にしないようにもがいているように見えます。短歌という、作家が実際やっていて思い入れのある創作を彼に託しているからです。だから、最終回が近くなってまとめに入っているにもかかわらず、貴司は自分の創作に悩んでいるのでしょう。彼が自分の物語から降りないように踏ん張って見えます。

さらに、当初、舞の恋の相手になるんじゃないか?と予想もあった刈谷先輩(高杉真宙)。結局、このひとは恋にまったく疎く、ただただ飛行機に夢中のキャラでした。時を経て、いまだに飛行機に夢中です。この人もまた、やりたいことに全力を注いでいて、とても存在感があります。

短歌と飛行機づくり、実体験や取材をもとに描いた、やりたいことをやる人物にはしっかりした骨格が備わります。

もうひとり、笠巻(古舘寛治 たては土口)。「舞いあがれ!」は浩太(高橋克典)が亡くなってから渋い男性の年上枠が少なくなりました。町工場のおっちゃんたちはいるにはいますがその他大勢な感じにどうしてもなってしまう。笠巻だけがどっしり構えています。引退したあとも時々出てきてくれてほっとします。このひとの重みや厚みは俳優・古舘さんが作り上げているものでしょう。


「やりたいことはやったらよか。わたしもめぐみもそうしてきたけん」
祥子(高畑淳子)

家族3代、女性がやりたいことを選択して生きていくことを描いています。老いてやりたいことがやれなくなった祥子は東大阪で暮らすようになりましたが、めぐみや舞の負担になっていないところがポイントです。実際の親の介護、親との同居ってこんなものじゃない気がしますが、ここで祥子が重度の介護が必要な存在になったら、舞のやりたいことができなくなります。いい感じにやりたいことができる物語なのです。


【朝ドラ辞典 やりたいこと(やりたいこと)】

女性が主人公のことが多い朝ドラ。女性が抑圧されていた時代、女性たちがやりたいことを自由にできることが物語のテーマになっている。

(文:木俣冬)

木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

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