「ちむどんどん」第32回:傍若無人過ぎる暢子。オーナーに勝負を挑む。
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第32回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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智(前田公輝)がニーニーだったら……
智が沖縄から鶴見にやって来ました。こっちで働くことにしたのです。沖縄料理店あまゆで智と暢子(黒島結菜)の歓迎会が行われました。
あまゆ常連たちの苦労話を聞く暢子。智は大阪までの交通費しかなく、いったん大阪で重労働して稼いでから来たと言います。
智がニーニーこと賢秀(竜星涼)だったら良かったのにと心から思う瞬間。彼がこんな状況ということはニーニーはどうやって東京に来たのでしょう。暢子だって東京にちゃんと来ることができていました。やっぱり比嘉家はなんだかんだで意外と蓄えがあるのでしょうか。
それとも、以前、ニーニーがこっそり働いていた姿を智が目撃していたように、ニーニーもこっそり短期重労働してお金を細々と得ながらなんとかやっているのでしょうか。そういうところを決して人には見せず陽気に振る舞っているのでしょうか。
でももう彼が出て来ると、暗澹たる気持ちになるようになってしいました。今日もまた……
オーナーに勝負を挑む暢子
比嘉家はなにかちょっと空気が読めない人たちの集まりです。主にニーニーと暢子ですが。
10日間連続労働の後の休み明けも暢子はへこたれず出勤します。ある日、暢子は大城房子(原田美枝子)に「オーナーは自分で料理しないくせに偉そうです」と言い放ち、ペペロンチーノ勝負を挑みます。
暢子としては賄いを作ることが昇進試験であると聞いて、勝負してみたいと心はやっただけなのでしょうけれど、ちょっと遠慮がなさすぎです。
雇ってもらった相手に「自分で料理しないくせに偉そうです!」はないですよねえ。上下関係のないフラットな考え方とも言えば聞こえがいいですが、そこまでかばいきれません。
「みんなそう言ってます」と言うのも感心しません。暢子は鶴見の人たちから房子の悪口を聞いたのでそう言ったわけですが、厨房の人たちはぎょっとなります。内心そう思っていてもそんなこと房子に知られたくないに
決まっています。
カチンとなる房子。このときの彼女はよそいきの澄ました口調がやや崩れ、
やんちゃな性格がのぞきます。成功して県人会を辞めて、いまは上品ぽく振る舞っていますが、きっと勝ち気な叩き上げなのでありましょう。原田美枝子さんは上品でやさしい印象の役が多いですが、意外とやんちゃ感も似合います。
その頃、良子は……
バスのなかで泣くはめになっています。喜納金吾(渡辺大知)との結婚を石川博夫(山田裕貴)に相談しますが、相変わらず煮えきらず……。
良子と石川のシーンだけトーンが違い、オーソドックスな昭和の朝ドラ風味です。
暢子やニーニーのターンが平成朝ドラ風味。沖縄と東京も行ったり来たりで、一粒で二度も三度も美味しい朝ドラを目指しているのでしょうか。
工夫は感じつつも、和食と沖縄料理とイタリアンといろいろ並んだ朝のバイキング形式は目移りしちゃうんですよねえ……。
ところで、朝ドラ送り
視聴者の気持ちを代弁するような「あさイチ」の「朝ドラ受け」が好調です。
一方、高瀬アナが抜けた「おはよう日本 関東版」は「朝ドラ送り」の試行錯誤中。
昼のニュースの朝ドラ再放送明けの表情がニュアンスがあって人気だった三條アナの「送り」が期待されています。
今朝は、房子と賢三(大森南朋)との「因縁」について「新聞記者になった和彦くんが何か調べてくれるんじゃないかなあと勝手に期待」とコメント。
今後出て来る和彦(宮沢氷魚)についての話題がちょっと早い感じでした。ニュースキャスターとしての情報の取り扱いの速度はさすがです。でも朝ドラに関してはもうちょっとゆっくりめがいいかもしれません。視聴者目線はレビューでも大事なところなので自戒もこめて。その点、あさイチコンビの「受け」はすっかりコツを掴んでいる感じです。
(文:木俣冬)
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