「らんまん」浜辺美波と牧瀬里穂の母娘は眼福<第13回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第13回を紐解いていく。

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カエルの国のお殿様

東京・上野にやって来た万太郎(神木隆之介)。お供は竹雄(志尊淳)
明治時代、高知から東京へどうやって行くか、地図で説明がされました。朝ドラでは道順が曖昧にぼかされることもあるのですが(ワープと呼ばれる)、ときにはちゃんと説明されることもあります。「あまちゃん」や「ひよっこ」などは行き方を説明し距離感を演出していました。「らんまん」でもちゃんと説明されます。これは植物学という学問を扱う作品だからでしょうか。植物学にしても、お酒づくりにしても科学的根拠に基づくものですから。いろんな点でリアリティーを感じさせる描写があることは良いことと思います。

博覧館会場を大いに楽しむ万太郎ですが、品評会でお酒をすすめられ、断りきれずに飲みますが、酔ってふらふらになり、当主なのに下戸と驚かれます。竹雄が代わることもできず。たぶん、綾(佐久間由衣)が来ても女だからと相手にされないのでしょう。

酔いつぶれた万太郎は、本家も分家もみんなお酒が強いのに自分だけ下戸で、カラダも丈夫ではないことを意外と気に病んでいたことを竹雄に吐露します。下戸下戸とカエルだと卑下する万太郎はすこし寂しそう。そしてその悲しみを植物を見て「きれいじゃのう」と癒やします。しょんぼりしたとき草木に癒やされることってありますよね。

モデルの牧野富太郎がどうだったかはわかりませんが、万太郎の場合、疎外感を植物によって補完しているように感じます。もちろん、植物愛が大きいですが、ふつうに健康でお酒に強かったら植物愛に目覚めることもなかったのかもしれません。
「この世にひとつとして同じものがない」植物に自分を重ね、誰にも似ていない自分に疎外感を覚えることなんてないと鼓舞するのです。

竹雄が水をとりにいっている間に榎にのぼり(朝ドラ名物:木にのぼる。神木きゅんがヒロイン)、愛でていると、大騒ぎに。人々が心配して集まってきます。そのなかに、寿恵子(浜辺美波)がいて、彼女が心配して降りるように言ったことで万太郎は落下して……。

寿恵子は母・まつ(牧瀬里穂)と菓子屋・白梅屋を営んでいる設定。ルッキズムになるので使用は憚られますが、やっぱり美人母娘と呼びたい。姉妹にも見えてしまうほどで、お店は繁盛しそうです。

そして、万太郎も寿恵子に心を射抜かれます。竹雄の気持ちを一瞬にして理解した瞬間。恋には理屈はいりません。誰にもリアリティーがないと批判はできない数少ない領域なのです。

そして、がぜん、ファンタジーの世界になります。「カエルの王子様」というファンタジーに。

寿恵子「あなたどなたですか?」
万太郎「カエルじゃ……」

寿恵子「お大事になさいましね。カエル様」

まつ「カエルの国のお殿様……」

【朝ドラ辞典2.0 ワープ(わーぷ)】
時間や空間の概念を理屈を超えてすっ飛ばすこと。
反対語:リアリティー

【朝ドラ辞典2.0 登る(のぼる)】
朝ドラヒロインは序盤、木や屋根に登ることがよくある。これは人物が規格外であることの表現のひとつと思われる。
類語:水に落ちる



(文:木俣冬)

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