「unknown」第1話:逆お姫様抱っこ、吸血鬼、連続殺人…要素てんこ盛りの物語、開幕!!

高畑充希と田中圭がW主演を務めるドラマ「unknown」が、2023年4月18日スタート。

妻は吸血鬼、夫は……?愛し合っているが、お互いに秘密(unknown)を抱えた夫婦。そして起こる連続殺人……すべてが明らかになったとき、2人はどうするーー? どちらに転ぶかわからない、先が気になる物語。

本記事では、第1話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「unknown」第1話レビュー

ひとことで内容を説明できないドラマが始まった。

「unknown」とは秘密のこと。主人公の2人、こころ(高畑充希)と虎松(田中圭)にはお互いに言えない秘密がある。連続殺人事件が発生し、周りの人が巻き込まれていく。
一方で制作陣は「おっさんずラブ」スタッフで、ギャグ要素やアドリブもどんどん出てくる。そして、キスシーンをはじめとしたラブシーンも多い。さらに、2人とそのまわりと取り囲む人々の絆が垣間見える、人情味あふれるシーンもある。

「いつ事件が起こるんだろう?」と気になりながら、いや情報量多すぎだろとツッコみたくなった。でもそれらが不思議と余計に感じず、それぞれを楽しめる作品だ。

「吸血鬼」要素を受け入れられる理由

特に気がかりだったのは、観る前に「ただでさえ要素多いのに、その設定いる?」と思った、こころが実は吸血鬼だという設定。でも、実際に1話を観たらアリだなと思った。

吸血鬼の生活がわりと普通

吸血鬼だからといって誰彼構わず人を襲って血を吸うわけではなく、こころの母・伊織(麻生久美子)によると通販でまとめ買いしたりするらしい。でも国産にはこだわりたいらしい(日本人ってこと……?)。

こころはゼリー飲料らしきもの、飴、ポテト血ップスなど、ぱっと見人間も食べるような製品に血が入ったもので血液を摂取している模様。普通の食べ物も食べられる(ただしニンニクを食べると気持ち悪くなってしまう)。ただ、ぱっと見が普通の食べ物なために、周りの人が口にしようとしたら止めねばならず、「隠すのめんどくせー」と嘆く。日中は日焼け止めを塗って帽子にサングラス、日傘という重装備でないと外に出かけられず、これまた大変そう。夜の張り込みが多い週刊誌の記者の仕事は、ある意味天職かもしれない。

演じる高畑充希の演技が自然だからか、トンデモ設定も「吸血鬼じゃなくてもそれぞれめんどくさいこととかあるもんな~」「確かにこれはめんどくせーな」みたいなノリで共感できる。

母と父が面白い

母・伊織はアナウンサー、父・海造(吉田鋼太郎)はナイトドクターと、普通に仕事をしている。伊織は55歳とは思えない美貌の美魔女で、海造は吸血鬼の格好をし、棺桶で寝ちゃうクラシカルなタイプの吸血鬼。こころの恋を応援する伊織と大反対の父。

お母さんもいいキャラだけど、お父さんが吉田鋼太郎さん(しかも「おっさんずラブ」スタッフ)ということでもう大変。変な人だと思われるからそんな服を着るなというこころに「こころは!パパに!ポロシャツを着てほしいのか?」と食い気味に叫ぶし、親子が集まるとコントのような会話が始まる。

伊織「また(男の人に)振られた?」
こころ「振られたって(笑)」
海造「誰に振られたんだ(怒)!」

伊織「今回は本気なんだね」
海造「本気なのか!?」

という感じで、局は違うが吉田が昨年主演したドラマ「おいハンサム!!」のお父さんのような、娘のこととなると落ち着いてはいられないというテンションだ。

描きたいのはマイノリティーの苦しみ?

最近こそ「めんどくせー」と愚痴るこころだが、大きな心の傷があるようだ。
日に当たれないことでいじめられたり、中高生のときは仲良しな友達がいたが、ある日こころの飲み物(中身は血)を飲もうとした友達を突き飛ばしたことで、みんな離れていった。これはつらい……。

こころの誕生日、家に潜んでいた父・海造がハッピーバースデーを歌う。
例の吸血鬼衣装できた海造にツッコむこころだが、ここでの海造のセリフが泣ける。

「パパみたいな恰好をしろとは言わない、でもパパはこころに胸を張って生きていてほしい」
「一見普通でも、そうじゃない人間なんていっぱいいるはずだ」
「普通の何がえらいんだ」

全部その通りで胸に刺さる。でもこころは「パパはどんな私も愛してくれるけど……」と涙する。そして2人で一緒に声をあげて泣く。いい父娘……だが、こころの苦しみを思うと胸が痛む。
こころは、これまでの経験から「普通でない自分は愛されない」と思っているのだ。ドラマの吸血鬼という設定は奇抜だけれど、多数派、いわゆる”普通”からはみ出てしまう苦しみは、人間だとしてもたくさんある。でも、だいたい普通って何だよとも思う。

こころがいつか、そのままの自分に胸を張れるようになるといいな。

田中圭の魅力が生きる”虎松”

田中圭演じる虎松は、若干口が悪くて子供っぽい一面もあるが、優しいいい奴だ。
一人暮らしの梅ばあ(木野花)を気遣って家に寄り、ごはんを用意してあげたり電球を替えてあげる約束をしたりする。梅ばあは口が悪くて「ババア扱いするんじゃねーぞ」と憎まれ口を叩くけど、「クソババァだろ!」と笑顔で答えてまた翌日も様子を見にくるのだ。

田中圭のハマりパターンのひとつな気がして、こういう田中圭が好きな方は多いんじゃなかろうかと思う。
もしかしたらひとつの作品の中で、別のハマりパターンも観られるかもしれないと今からワクワクしてしまう。

虎松の秘密とは何なのだろう。彼の回想シーンで、人が刺されて倒れているようなシーンがあった。事前のSNS映像では「家族はいない、高校生から一人」と言っていた。離婚歴もあるようで、倒れていたのは家族か元妻なのだろうか……?

”こことら”の甘いシーンがいい

サスペンス寄りかと思いきや、恋愛要素もがっつりある。「っかー! いいなこの2人のやり取り!」と思ってしまうような、キュンとするシーンが続出だ。

付き合ってるか付き合ってないか曖昧な時期の会話で「彼女かよ」「違うの?」と言うのもいいし、満開の桜の木の下で追いかけっこしてキスするシーンも最高。

梅ばあの家が火事になり、助けに入った虎松が取り残されてしまい、こころが助けに入るシーン。吸血鬼であるこころは実はめちゃくちゃ力持ち。虎松を”逆お姫様抱っこ”で救出したのだ。キュンとするかどうかは人によるが、愛を感じる感動的な場面だった。そしてこころは、自分が吸血鬼であることを打ち明ける……

「私、吸血鬼なんだ。それでも好きでいてくれる?」

頭をなでてくれる虎松、いいな……!

いつもの居酒屋で「結婚しよっか」「しよっか」とさりげなくプロポーズ成立してるのも大変キュンとした。

突然ねじ込まれるエンタメネタが楽しい

この作品の楽しみのひとつにちょいちょいエンタメネタが入っていることがある。
まず公式HPの登場人物のプロフィールには、好きなドラマや芸能人などが書かれている。
伊織はARMY(BTSのファン)らしいし、海造の好きなドラマは「白い巨塔」。
楽しいので、時間のある時にぜひ見てみてほしい。

さらに海造は虎松からこころに電話がかかってきたとき、耳元で「別れましょうあなたから 消えましょう私から(大黒摩季)」を歌おうとするし、虎松の先輩・世々塚(小手伸也)は「相棒」の右京さんの真似をするし、「違う、そうじゃない(鈴木雅之)」と言うし、もうやりたい放題である。

小手伸也のツイートによるとアドリブだそうで、今後も大いに注目していきたい。


今週の考察(予想)タイム

物語のラスト、5年前の未解決事件と似た殺人事件が起こる。

放送前から、各人物の「事情聴取」映像を公開し、「連続殺人犯は誰だと思いますか?」という「犯人考察クイズ」を行っていたこの作品。本レビューでは、犯人らしき人やその回で出てきた疑問点について、毎回考察してみたいと思う。

いかんせんまだ要素が出ていなさ過ぎるので、消去法のざっくり予想だ。「犯人考察クイズ」予想で一番多かったのは田中圭演じる虎松だった。確かに過去が謎だし秘密もありそうだし、何より田中圭のやばい役は本当に怖い。でもあまりに予想通りだとつまらないから虎松以外だと思う。

こころの家族は吸血鬼で、連続殺人事件の手口は「首から体の血を抜く」というもの。一瞬犯人は吸血鬼の誰かかと思うが、それもまたあまりに安直なので、そこ以外で考えたい。主人公たちに近い人・意外性のある人のほうが可能性がありそうだから、今回のところは加賀美(町田啓太)か世々塚にしておこう。どっちも本当にそうだったら嫌だな……。

願わくば、二重人格オチとサイコパスオチ以外でお願いしたい。

ラストで殺された女性は、こころが駅前で忘れた傘を手渡した相手だった。
こころが関わったことは、殺人に関係あるのだろうか……?

ラストでわかった衝撃の事実

予告に出てきた、雨に濡れた地面に真っ赤な血が広がる映像。横たわっていたウェディングドレスの女性は、こころだった。これは今後起こることなのか、それとも……? 


(文:ぐみ)


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