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2023年04月24日

「らんまん」初登場・宮野真守も坂本龍馬みたいだった<第16回>

「らんまん」初登場・宮野真守も坂本龍馬みたいだった<第16回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第16回を紐解いていく。

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万太郎のモデル・牧野富太郎さんの誕生日

第4週「ササユリ」では自由民権運動の政治結社である声明社リーダー・早川逸馬役で宮野真守さんが登場しました。
「自由は土佐の山間より発したり」
(逸馬)
東京から帰ってきた万太郎(神木隆之介)は逸馬の演説に出くわします。
明治維新によって身分制度がなくなって武士も平民も平等になった今、民衆の自由を力強く説く逸馬。
となると、男女差だってなくなっていいはずと、ひとりの女性・楠野喜江(島崎和歌子)が盛り上がり、綾(佐久間由衣)にも声をかけます。

でも綾は演説に心惹かれながらもぐっと抑えこんでいるように見えます。
佐久間由衣さんには”目覚める”イメージが似合います。
以前、朝ドラ「ひよっこ」(17年度前期)で演じたヒロインみね子(有村架純)の幼馴染も、ミニスカートをはいて、女たちよ!とファッションの面で女性解放(ウーマンリブ)を呼びかけるリーダー的な存在になりました。朝ドラファンにはそのイメージがいまだにこびりついていて、それと重ねて、綾の”自由を求める女性”というイメージが強固になります。

同じような役を重ねることには一長一短があり、飽きられるマイナス面もあれば、同じイメージで確実に認知度や信頼度を増すプラス面もあるのです。今回の佐久間さんにはプラスでしょう。

このままだと行き遅れてしまうと心配される綾と比べ、万太郎は自由にやりたいことをやっているように見えていました。が、高知に戻ると、様子がおかしくなります。タキ(松坂慶子)に植物研究をやめて、峰屋の当主に専念すると言うのです。東京の凄さと植物研究の奥深さを目の当たりにして諦めたようなのですが、彼の心の裏側を竹雄(志尊淳)は慮ります。自分たち使用人のことも考えてほしいと言ったことが万太郎に影響を与えてしまったのではないかと。

勝手気ままなお坊ちゃんだった万太郎にも他者へも慈悲の心が芽生えたようですが、峰乃月の評判を牛鍋屋でたまたま聞いた「毎日飲んでも飽きない」という意見を、しれっとタキに伝えているところの要領の良さが万太郎のキャラを物語っているような気もしますが。そういえば、牛鍋屋の名前が「牛若」だったのは神木さんがかつて大河ドラマ「義経」で牛若丸を演じたことがあったからでしょう。

さて、自由民権運動です。明治時代は時代が大きく変わりそれまで抑圧されていた民衆の力が強くなっていきます。抑えられていた分、解き放たれた瞬間、勢いが出るものです。

島崎さん演じる楠野は「民権おばさん」と呼ばれている設定だそうです。すごいネーミングです。
島崎さんは高知出身で、広末涼子さんから高知代表をバトンタッチしたようですね。

そして、宮野真守さんです。自由を掲げた演説に迫力がありました。人気声優でライブや舞台でも活躍されているので大きな身振り口ぶりも慣れたもの。なにより宮野さんは明るくていい。

逸馬もまた、龍馬、蘭光の系譜にあるキャラのようで、長髪、おおらか、ワイルドです。これが高知の男のイメージの最大公約数なんでしょうか。わざと似た感じにしているように感じます。自由=型破り でこんなふうになるのかな。

高知は自由民権運動が盛んな独立心にあふれた気風があり、板垣退助の立志社が有名です。万太郎のモデル・牧野富太郎さん(4月24日生まれ)は自由党や公正社と関わっていたとか。

万太郎の植物へのまなざしが人間の自由と重ねられているように強く感じるのは、牧野富太郎が自由民権運動に関わっていたことが根拠になっているのでしょう。


(文:木俣冬)

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