© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

飯豊まりえの魅力がわかる映画“5作品”!『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では「天真爛漫なワトソン」に

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飯豊まりえの「天真爛漫な(シャーロック・ホームズに対する)ワトソン的なキャラ」が魅力的な映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が5月26日(金)より公開されている。

ここでは、飯豊まりえの魅力と演技力がストレートにわかる映画5作品を紹介しよう。

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1:『いなくなれ、群青』

(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会

河野裕の小説を原作とした、謎の孤島「階段島」に住む高校生たちによる青春ミステリーだ。飯豊まりえは凛々しく、不可思議な状況を論理的に解き明かそうとする、「正しく」あろうとするヒロインを堂々と演じており、少し厭世的で掴みどころがない役の横浜流星との関係性も見所となっている。



中心にガッツリとファンタジーの設定があり、論理的に展開していた謎解き要素がやがて観念的な印象にもなっていく様も含めて好みが分かれる作品ではあるが、思春期の少年少女の悩みを描く普遍的な物語として読み取ることもできるだろう。

アニメやゲームの音楽でも有名な神前暁(こうさき さとる)の音楽も雰囲気に実にマッチしているので、聴き入ってほしい。

2:『夏の夜空と秋の夕日と冬の朝と春の風』(その一編「冬のふわふわ」に出演)



こちらは四季折々のエピソードが語られるオムニバス映画で、飯豊まりえは3つ目の「冬のふわふわ」に登場。東京で革工房を開き始めたものの仕事がうまくいかない女性が、父の3回忌のため地元に帰り、叔父と会話をする中で「自身に足りないもの」を見つけ出していく物語になっている。

飯豊まりえは、すっかり自信を無くして「宙ぶらりん」になっている様を見事に表現しており、心変わりを経ての「仕事に真摯に挑む時の横顔」に感動があった。淡くて少し切ない物語ではあるが、仕事でスランプに陥ったり、また人生の節目を迎えた時に観ると、きっと勇気をもらえる一編だ。

3:『シライサン』



監督・脚本の安達寛高は小説家である乙一の別名義。ゆったりめの会話劇が不穏さを際立たせ、呪いから逃れるルールを提示し、何気ない食事シーンがしっかり物語に関わってくるなど、手堅い出来のジャパニーズホラーだ。

恐怖の対象である“シライサン”の「見続けないと死ぬ」という特徴は「画面を観るだけで何も出来ない」映画という媒体との相性も抜群に良い。

『シライサン』(C)2020松竹株式会社

飯豊まりえの本気で怯える表情に同調することでも大いに恐怖を感じることができるし、終盤では謎を論理的に説明する聡明さを見せる場面もある。その演技力を最もストレートに感じられるだろう。

SNSが当たり前になった現代では身につまされる「承認欲求」のメタファーが込められていることにも注目だ。

4:『夏へのトンネル、さよならの出口』(声の出演)

(C)2022 八目迷・小学館/映画「夏へのトンネル、さよならの出口」製作委員会

八目迷(はちもく めい)の小説を原作とした、不可思議な現象が起こる「ウラシマトンネル」の謎を解き、そして欲しいものを手に入れるため、高校生の男女が「共同戦線」を張るSF青春恋愛アニメ映画だ。

『君の名は。』に似た特徴を持つも、主人公2人が「まるで心中しようとしている」ようにも思える、ダウナーで危うい関係性が独特の魅力となっている。



飯豊まりえはツンツンしているのを超えて周りをほぼ拒絶している、ややエキセントリックのようでいて、芯には確かな信念を持つ少女の声を担当。後述する『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』とはまるっきり正反対の魅力を持つヒロインを、本業声優顔負けの繊細な演技で表現していた。

83分のコンパクトな上映時間に見所がたっぷり詰まっていて、原作にない映画オリジナルの「傘」の描写も秀逸だ。(見放題ではないが)レンタル配信が2023年5月24日に始まったばかりなので、ぜひこの機会に観てほしい。

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なお、飯豊まりえは『名探偵ピカチュウ』の吹き替えや『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』での声も演技も実に上手かった。

さらに、2023年6月16日より劇場公開&Netflixで配信される映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』でも映画オリジナルキャラクター「ミリー」の声を担当しているので、こちらもぜひチェックしてほしい。

5:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

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NHKで放送され大好評を博したドラマ「岸辺露伴は動かない」の制作チームが、日本とフランスを股にかけて作り上げた劇場版。

ルーヴル美術館のバンド・デシネのプロジェクトために描き下ろされた同名の原作を大切にしつつ、映画ならではのアレンジを施した上で、さらなる感動を届ける小林靖子の脚本が素晴らしい出来栄え。それでいて、原作はもちろん、テレビドラマ版を観ていなくてもまったく問題なく楽しめる作りにもなっている。

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飯豊まりえ演じる女性編集者は、原作漫画「岸辺露伴は動かない」シリーズでの出番はごく限られていたが、ドラマ版ではレギュラーキャラへと昇格していた。さらに、今回の映画では高橋一生演じる変人だが聡明な漫画家との「シャーロック・ホームズとワトソン」的な、探偵とその助手に近い関係性。

天真爛漫かつ天然ボケではあるものの、時に的確なヒントを与える立場のキャラとしてとても魅力的。彼女がとある「救い」を与える重要な役割を担っていることにも、映画独自の感動がある。



「ジョジョの奇妙な冒険」の作品群にあるロジックのあるハラハラドキドキのバトルの再現、柘植伊佐夫が人物デザイン監修・衣裳デザインを手掛けてこそのキャラのリアリティ、色味を抑えたシックな画作りと美術など、原作の「怪奇テイスト」を生かした「実写のための工夫」がドラマ版に引き続き素晴らしく、全方位的に隙がない。

クライマックスの暗がりを生かした画はスクリーン映えすること間違いなしなので、是が非でも映画館で観てほしい。

飯豊まりえの魅力の総括

© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

飯豊まりえの魅力は、可憐な容姿や爽やかな笑顔のおかげで親しみやすいことと、そして俳優としての底知れない表現力があることではないか。だからこそ、どこにでもいる普通の人も完璧にハマるし、だからこそ「ここぞ」という時の演技に驚かされるのだと思う。

「同じ人が演じているとは思えない」ほどの良い意味でのギャップ、演じる役の幅の広さを知りたい方は、やはり『夏へのトンネル、さよならの出口』と『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を合わせて観てみるのがおすすめだ。きっと、その魅力と演技力がはっきりとわかるだろう。

(文:ヒナタカ)

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