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映画コラム

REGULAR

2023年05月26日

映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―』殺人マシンの少女が参戦する血みどろ四つ巴のバトル・ロワイアルの圧倒的な魅力

映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―』殺人マシンの少女が参戦する血みどろ四つ巴のバトル・ロワイアルの圧倒的な魅力



強キャラたちが集う血みどろ『ドラゴンボール』だった

さらなる魅力となるのは、クセがありまくる「強キャラ」が続々と登場し、そして四つ巴のバトル・ロワイアルに流れ込むことだ。戦いに参加するのは以下のメンツである。

  • 超人的な暗殺者養成プロジェクトの実験体である名もなき少女
  • 少女の抹殺のために送り込まれた凄腕の女性工作員とその相棒の男
  • アウトローな超能力者集団「土偶」
  • 地元のヤクザたち


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そんな連中が物理的な強さをじわじわと示していき、クライマックスでは銃撃戦、爆撃、肉弾戦、それぞれを全部盛りするアクションが展開。超人的なキャラクターがダイナミックにぶっ飛ばされたりぶっ飛ばす様は『ドラゴンボール』である。このメンツの中で地元のヤクザたちは見るからに小物でクズな悪人でほぼほぼ「やられ要因」で、戦闘力5のおっさんのようなものだが、それでも意外な奮闘を見せることにも注目だ。



前作よりもキャラクターが多い上に、撮影すべき空間が何倍にも拡張されたため、アクションシーンには「より高く、より速く、はるかに強く」という基準が設けられたそうだ。特にクライマックスの血みどろ四つ巴のバトル・ロワイアルを作り出すため、前作ではあまり使わなかったワイヤーアクションを積極的に導入しており、広大な空間を猛烈なスピードで飛び回るキャラは3DCGで表現したこともあったそう。

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つまりは超現実的なバトルにはなっているのだが、それでも俳優それぞれの肉体を駆使してこそのアクションの面白さも存分にある。何しろ、キャラクターそれぞれの能力と性格、セリフなどを考慮し、キャラクター固有のアクション・スタイルは、細かくデザインされている。

それを受けて俳優たちは、各自のアクション・スタイルを完璧に身に着けるために、姿勢や歩き方、基本的なトレーニングはもちろん、ナイフや銃といった武器のイミテーション(レプリカ)を常に持ち、就寝時にも枕元に置くなどキャラクターになりきる努力をしたそう。つまり、ただ雑に戦っているだけではない、それぞれのキャラクターの戦い方のバリエーションの豊かさにも感心できるようになっている。

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その作り手と俳優の努力が確かに実っている、『ドラゴンボール』的な吹っ飛び&吹っ飛ばされぶり、そこにマジの殺(や)る気に満ちた一触即発の攻防、R15+指定大納得の血しぶきトッピングも加わるという、「ありがとうございます!」と感謝したくなるくらいの大サービスが待ち受けているというわけだ。クライマックスの先に待ち受けるサプライズも含め、ぜひ劇場で見届けてほしい。

『THE KILLER 暗殺者』も合わせて観てほしい!

そんな血みどろバトルアクション韓国映画がまたもネクストレベルに到達としたと断言できる『THE WITCH/魔女 ―増殖―』であるが、困ったことに同じく血みどろバトルアクション韓国映画の傑作が、同日5月26日より公開され、大渋滞が発生していたりもする。それが、『THE KILLER 暗殺者』だ。



こちらのあらすじは「伝説の殺し屋のおじさんが妻の友人の娘が誘拐されたのでクズどもを血祭りにあげる」とさらにシンプル。2010年公開の『アジョシ』を連想させる設定で劇中にもその言及があるが、本作では守るべき女子高生が生意気で可愛げがなかったり、それでも妻を恐れて(?)彼女を救おうとする殺し屋おじさんの悲哀を感じられるという、独自の面白さも付け加わっている。



それでいて、オープニングから大見せ場を持ってきて、中盤ではあっと驚く長回しでの大殺戮があり、クライマックスにつれてボス的なキャラクターとの『リベリオン』を彷彿とさせるバトルも盛り上がっていき、予定調和にならないサプライズもあり、この手のアクション映画としてこれ以上のないほどに見所たっぷりである。



あと、PG12指定でも甘いと思わせる血しぶきドバドバ&人がいっぱい死んじゃうけど、相手はどいつもこいつも女性を売り飛ばそうとするクズどもなので全く心が痛まない。絵に描いたようなクズの言動をするクズに対して「守りたい、この笑顔」を見せてから、その後にもちろん容赦無く殺す主演のチャン・ヒョクは表情のセクシーさも含めてたまらないものがある。



それでいて、『THE KILLER 暗殺者』の上映時間は95分とタイト。「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」を期待したら、本当に期待通り、いやそれ以上のナメてた相手が実は殺人マシンでした映画を凝縮したものを出してくれた。まるで評判のラーメン屋さんでいちばん美味しいラーメンが堪能できたような感動があった。その魅力は「サイキックアクション」「血みどろ四つ巴のバトル・ロワイアル」「ナメてた少女が実は殺人マシンでした映画」をセットで138分かけて味わえる『THE WITCH/魔女 ―増殖―』と拮抗しているので、ぜひ両方観てほしい。

(文:ヒナタカ)

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