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2023年07月03日

「どうする家康」第25話:家康に問いかけたい。殿は、何をした?

「どうする家康」第25話:家康に問いかけたい。殿は、何をした?

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2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。

古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。

本記事では、第25話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「どうする家康」第25話レビュー

本当は、家康は何も分かっていなかったのではないか。

築山の謀が織田信長(岡田准一)にバレた。武田勝頼(眞栄田郷敦)が流布した形だ。

家康(松本潤)を呼びつけた信長は「家康の家中のことなのだから自分は何も言わない」と告げる。
疑わしきは斬る、ぐらいになりそうだが、「どうすべきか分かっているんだろうな」ということなのか、「お前がやることなら見逃してやる」なのか。


もちろん、家康は瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)を失いたくない。
表向きには責めを負ってもらうが、身代わりを用意し、ふたりを逃がす算段をつける。

慣れ親しんだ場所から旅立つふたりの表情はとても穏やかだ。

家康は、段取りを整えればふたりを逃がせるはずだ、と思っていた。が、ふたりは逃げなかった。
信康は「母が無事に逃げたのなら、自分も逃げる」と頑なに動かない。

そしてその母、瀬名は……。

 
途方もない夢を口にした時点で、瀬名は自分が責任を取る、とも言っていた。
最初は信康を助けたかっただけなのでは、と思っていたが、信康もまた、瀬名と共に死ぬことを選んだ。
結局、瀬名が第一に考えていたのは国のことだったのか。また信康のような思いをする者が生まれないように、ということか。

ならば、どうすれば瀬名を助けられたのか。

家康は、瀬名の案にのるべきではなかった。

瀬名が目指す「慈愛の国」は理想だ。そうなればみんなきっと幸せだ。
だが、今ではない。
戦国の世に企むことではない。なのに、それに乗ってしまったのは、家康も戦をしたくなかったから、なのか。

そして、家康はもっと瀬名について考えるべきだった。自分の代わりに誰かが死に、生きながらえることをよしとするのか。そんな生半可な覚悟で途方もない企てをする女性だったのか。

家康の説得もむなしく、瀬名は自害した。

自分が全て背負って死ぬ。家康には国を守れと言い残して。
瀬名の本当の夢は誰も知らない場所で、家族でひっそりと暮らすことだったのに。

 一度は別れたものの、やはり死ぬのはダメだと引き返そうとする家康。それを平八郎(山田裕貴)と小平太(杉野遥亮)が止める。
瀬名が見たのは自分が死ぬのを止めようと必死の形相の夫の姿だった。

瀬名にとどめをさしたのは、女大鼠(松本まりか)。そのあと、平伏した。それは瀬名の覚悟に対する気持ちか……。

 一方、信康は七之助(岡部大)から刀を奪い、腹を切った。
逃げろという家臣たちに頷く。が、立ち上がる際に七之助に手を貸してくれ、と言い、隙を見てのことだった。泣き叫ぶ七之助。
しかし、これ以上は苦しむだけ……。服部半蔵(山田孝之)が介錯をした。

瀬名も信康も、「国のため」と言った。
しかし、家康は「国などどうでもいい」と言った。
瀬名たちが生きていればそれでいい、と。だから、瀬名と信康は死んだのではないか?

五徳(久保史緒里)は、家康の作戦のために書きたくもない姑の悪事を書き連ねた手紙を書いた。
家康は何をしたのか。泣いていただけではないのか。

瀬名は言った。
「相変わらず、弱虫泣き虫鼻たれの殿じゃ」

信長を恨むことも、勝頼を恨むことも、家康がすべきことではない。
弱虫泣き虫鼻たれの殿のままであってもいい。家康はもっと本気で国を想わなければならない。それが家族を守ることにつながる。


(文:ふくだりょうこ)

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