インタビュー

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2023年07月14日

「芝居は表現活動だとは感じなかった」マカロニえんぴつ・はっとりが映画初出演で感じた演じる魅力

「芝居は表現活動だとは感じなかった」マカロニえんぴつ・はっとりが映画初出演で感じた演じる魅力

川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」が原案となっている、映画『アイスクリームフィーバー』が7月14日(金)より公開される。

本作で、マカロニえんぴつのはっとりは、映画初出演を果たした。

彼が映画への出演を決めた理由や、初出演の感想についてインタビュー。芝居と音楽、2つの表現活動を通してはっとりが考えたことなどをたっぷりと語ってもらった。

出演のきっかけとなった、リリーフランキーからの言葉

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――出演の経緯は、監督からのオファーを受けてとのことですが、お話を聞いたとき率直にどう思いましたか?

はっとり:やってみたさはもちろんあったんですけど、なにせ自信がなかったので「僕で務まるのかな」っていう不安がありました。

――やってみたさはあったんですね。

はっとり:実は1年ぐらい前に、僕がやっている会いたい人にオファーをかけてお話しするという連載企画に、リリーフランキーさんが登場してくださって。そのときに「演技をやってみないかという話が来たらやってみなよ」って言ってくれたんです。「君にはそういう話が、たぶん近々来ると思うから、抵抗せずやってみたらおもしろいと思うよ」って。

――そのお話からすぐにオファーが。

はっとり:うん、本当に、すぐにお話をいただいたので「これか!」と思いました。

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――初の映画撮影、どうでしたか?

はっとり:難しかったです。正直なところ、撮影中はいっぱいいっぱいで正解がわからないまま終わってしまいました。ただ、完成した状態で観てみたら、画角がすごくスタイリッシュで、そこまでひどい演技でもなく、安心しました。

――いっぱいいっぱいだったのはなぜですか?

はっとり:動きや表情はミュージックビデオで経験があったのですが、そこにセリフが乗っかってきたので「こっちの間合いとか、声のトーンのほうが良かったのかな?」って考えちゃって。

それに、監督が何テイクも撮られる方だったのですが、初めのうちは毎回、同じクオリティのものをバシッと演じることが難しかったんですよね。

自分と似ていた中谷、役作りのこだわり

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――役作りは現場で決めていったのか、事前にある程度考えていったのかでいうと、どちらでしょう?


はっとり:そこまで出番が多い役ではなかったのと、僕が演じた中谷清也は素朴で、普段の自分に近い感じだったので「自然にやればいいかな」と、あまり気張らずに挑みました。

――電話しているときの口調と、アイスを選んでらっしゃるシーンでの口調が違ったのが気になって。一気に中谷がどんな人物なのか見えた気がしました。あれは意図的に?

はっとり:わりと普段の自分に近くはありますが、たしかにアイスを選んでいるときは自分のそういった部分をちょっと過剰に、ナードな感じに演出しました。逆に電話のシーンは気を許している相手との電話だから、そこまでたどたどしさを残さずに自然に振る舞っているような感じで。

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――あと、電話のシーンは荷解きしながら話していて、演じる上で考えることが多そうだなと感じました。

はっとり:そうなんですよ。しかも、あのシーン、本を適当に入れているように見えて、監督からの指示がすごく細かかったんです。最初の数冊はここで、背表紙はこれを見えるようにして、と。あと、原作者の川上さんの本を見えるように。

――たしかに「あ、川上さんの本だ」と思いました。

はっとり:ただ、その本が最初は監督の事務所にあるとのことで、取りに行くために撮影が一時中断したんです。僕のような新人俳優は言えませんでしたけど「そんなに大事なら用意しとけ」と思いました(笑)。ただ、中断したおかげで、僕としては心の準備ができたので、ありがたかったです。

――(笑)。監督から演技についてコメントはありましたか?

はっとり:大げさに褒めることはなく、ボソッと「今の良かったね」って言ってくれました。逆に言わないときは何も言わないので、そういうときは「あまり良くなかったのかな」って思ったり。「いいね」って言っていただけると「こうやればいいのか」と思えて安心しました。

音楽と芝居、それぞれの表現について

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――音楽とお芝居、どちらも表現活動ですが、共通する部分はありましたか?


はっとり:映画でのお芝居は、どちらかというとレコーディングに近いなと思いました。切り取って強調したいところを後から編集して、伝えたいことはカメラが握っている。僕はそこを見ないまま撮影が終わるので、素材を撮りましたという感覚に近いなと。「今、ギターの2小節を弾いて」と言われているような感じ。だから、表現とは感じなかったです。

――なるほど。

はっとり:編集が終わって、劇場で映画が流れたときに初めて1個の表現体になるんだと思います。今回は、そこに加わったことに幸せを感じることができました。

――表現と感じなかった、というのは決してマイナスな意味ではないんですね。

はっとり:もちろん。レコーディングで「いい音出すぞ」と思っている感覚です。指示通り演奏して帰る、僕は今回それをやったんですね。どのテイクを使われてもいいように、全部いい芝居をするっていうことを。でも、自分で判断するのではなく、監督とカメラに委ねられたので、「いい演技をする」ことに集中できたのは、すごくよかったです。

――お芝居の仕事、今後もやってみたいですか? もういいやとなりましたか?

はっとり:求められるのであれば、またやりたいです。今回は自分の自然体に近いキャラクターでしたが、次にやるなら何かに入り込んで、がっつりと役作りをして演じるキャラクターもやりたいですね。セリフ少なめだと嬉しいですけど(笑)。

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(撮影=Marco Perboni/取材・文=於ありさ)

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