「どうする家康」第31話:必ず、討つ。家康vs秀吉の戦いが幕を開ける
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第31話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
▶︎「どうする家康」画像を全て見る
「どうする家康」をU-NEXTで見る
「どうする家康」第31話レビュー
殿は立派にはなられたはずなのに、どうしてそこはかとなく不安を感じてしまうのはなぜか。市(北川景子)が死に、秀吉(ムロツヨシ)を討つことを決意した家康(松本潤)。
家康は直近で「討つ」と言った相手をことごとく逃している。
そしてここまで大きな功績を上げているのかというと、印象が薄い。
一方、秀吉は農民の子から天下が手に届くようなところにまで這い上がってきた男だ。おそらく決断も早く、下手をすると信長よりも冷酷になれる男。
その証拠に、自分が世話になった信長の次男・信雄(浜野謙太)を安土城から追放。天下を獲るのは織田家ではなく、秀吉である。そう宣言しているかのようだ。
そして信雄が頼ったのは家康だった。秀吉を討つと宣言している家康だが、相手は強大。それでも家康は決断した。秀吉と戦を構える、と。
家康の中には迷いもあったが、そんな中でも家臣たちの言葉に耳を傾ける。
若い者たちが多い中で、むしろ家康が行動を起こさなければ、離反していくだろう。
とは言っても、それぞれ何かしらの不安や迷いはある。だからこそ、人間みがある家康のそばにいるのかもしれない。
一方、秀吉のほうは人間みがあるように見えてサイボーグのようだ。息をするように相手をだますし、演技もできる。そして目がピクリとも笑わない。
(人ってそんな演技ができるのだな、と思ってしまう、ムロツヨシさん)
家康などは、秀吉の本性を知っているからおおよそは動じなくなってきたが、庶民たちからすればそんなことは分からない。そして武将たちはと言うと、得な匂いがしそうなほうへと吸い寄せられていく。秀吉はうさんくさいが金払いはいい。
戦いを前に、徳川方は池田恒興(徳重聡)を味方につけていたが、戦直前で裏切られてしまう。
まさに池田にとっては秀吉についたほうが得をするからだ。
何を考えているのか分からないけど、なんとなく自分に得なことしてくれる社長と、真面目で誠実で人柄は良いけれど、我慢しなければいけない場面が多い社長だったとしたら、どうだろう。よっぽどの信頼がないと後者は裏切られることのほうが多いはずだ。
それでも、家康に人がついてきているのは人柄……と戦国の世の先にある平和な国を臨んでいるから。
家康が見据えているものが今回、よりはっきりした。
同時に、うろたえる信雄を「総大将がうろたえるな!」と叱りつけるだけの威厳も見せる。
結局、今の家康を作っているのは瀬名(有村架純)と信長(岡田准一)なのか。
なら、家康は本当はどうなりたかったんだろう。やはり、家族とひっそり穏やかに暮らすことだけが夢なのだとしたら、あまりにも苦しい。
(文:ふくだりょうこ)
「どうする家康」をU-NEXTで見る
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK