「転職の魔王様」最終回:幸せな転職の“正解”はどこにある?千晴(小芝風花)が笑顔にこだわる理由
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成田凌主演、小芝風花がヒロインをつとめる“月10”ドラマ転職の魔王様」が2023年7月17日放送スタート。成田凌が毒舌転職エージェント・来栖嵐を、小芝風花が3年で広告代理店を辞めた新卒社員・未谷千晴を演じる。人生のステージを変える「転職」をテーマに、異色のタッグが繰り広げる爽快エンターテイメントドラマ。
本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「転職の魔王様」最終回レビュー
人は、何のために転職をするのか。厳しいこともオブラートに包まずハッキリと言う来栖(成田凌)と、悩みながらも求職者に寄り添った提案をしようと苦心する千晴(小芝風花)。正反対な二人のキャリアアドバイザーを見ながら、「もし自分が転職をするなら?」と、自然と考えてしまっていた。
転職の基準は、まさに人それぞれ。もっとやりたい仕事をしたい、給与を上げたい、時短やリモートワークで働きたい……。千晴が言っていたように、「笑顔で働ける仕事」をすることも、その一つだろう。
来栖の昔の同僚がやってきて、「夢なんて、簡単に捨てられるもんじゃないだろ?」と言いながら、アフリカ現地でのエネルギー開発事業に来栖をスカウトした。このままキャリアアドバイザーとして働くか、それとも、昔の夢を追うか……。来栖の心は、大いに揺れたはず。最終試験と称し、来栖の面談を担当することになった千晴は、こう告げる。
「私はやっぱり、好きだと思える仕事をすべきだと思います」
「来栖さんには、笑顔でいてほしいって思ってます」
千晴が笑顔にこだわる理由は、かつて自分自身が、とても笑顔でなんて働けない環境に身を置いていたからだろう。やりたい仕事のはずだった。目標だった大手の会社に入り、バリバリ仕事をするはずだった。それなのに、意志に反して身体には不調が出はじめ、やがて心も蝕んでいく。自分を幸せにしない、むしろどんどん不幸にしていく仕事を続ける理由は、どれくらいあるのだろう。
そのつらさを、苦しみを、嫌というほど染み込ませた経験があるからこそ、千晴は来栖の背中を押したのだ。
シェパードキャリアの社長・洋子(石田ゆり子)も言っていた。「人生には正解なんかなくて、答えを出したら、あとは残りの人生をかけてそれを正解にしていくしかないんじゃないか」と。
自分と向き合った来栖は、やがて、答えを出す。「夢の形が変わった」ことに気づいた彼は、引き続きキャリアアドバイザーとして、求職者に寄り添うことを決めた。それは、かつての夢に蓋をしたわけでも、諦めたわけでもない。新たな夢を追うことにした来栖の表情は、穏やかだ。
転職はもちろんのこと、人生には大なり小なり、選択を迫られる瞬間がある。その正解はいつだって、自分のなかにしか見つけられない。“主体的な人生”を生きることが、どういうことなのか。このドラマは、それを教えてくれた気がする。
それにしても、来栖を置いて大阪支社への転勤を決める千晴の行動力については、「そうくるか?」と思わせられてしまった。少し寂しそうにする来栖、千晴の言葉を「プロポーズですか?」と勘違いし、握手からの引き寄せハグをする来栖、一年半後に戻ってきた千晴を優しく(?)迎え入れる来栖。千晴との凸凹なやりとりが見られないと思うと、少しだけ、寂しい。
(文:北村有)
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