「ブギウギ」鈴子の歌劇団合格、モデルの笠置シヅ子はどうだったか<第5回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、後に戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第5回を紐解いていく。
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展開、早い。
「ブキウギ」の初週が終わりました。ヒロイン・鈴子(澤井梨丘)が将来やりたいことを、歌や踊りと認識し、邁進する流れをかなりスピーディに5回で描きました。朝ドラでは、ヒロインがいろいろ進路に迷うものという先入観がありましたが、第一週からいきなり進路が決まりました。前作「らんまん」も最初から植物一直線でしたから、迷わず一直線が最近の朝ドラのトレンド?
参考:朝ドラ辞典 展開早い
タイ子(清水胡桃)に勧められて、花咲歌劇団を受験した鈴子ですが、試験は自信満々だったのに落ちてしまい、ショック。
モデルの笠置シヅ子さんの自伝「歌う自画像 私のブギウギ伝説」では、宝塚歌劇を受けたものの、体格検査で、痩せていたのと器官が弱かったのがいけなくてハネられたと書いてありますが、鈴子はどうだったかといえば、第5回で、身長が足りなかったと自己申告していました。
なにはともあれ、人生はじめてくらいの挫折を味わった鈴子でしたが、梅吉(柳葉敏郎)が連れていってくれた梅丸少女歌劇団のレビューに感動し、再度入団試験にトライすることに。
映画館の幕間に、演目を上演するということがあったんですね。映画もレビューも両方見られるということなのでしょうか。お得な感じです。
このとき上映していた映画はバンツマこと阪東妻三郎主演の「乱闘の巷」(1926年)。バンツマは田村正和さんのお父さんです。
映画のあと、華やかなレビュー「胡蝶の舞」を見て、「サブイボが立った」と運命的な出会いをしたかのような鈴子。
舞台衣裳がアールデコふうというのでしょうか、モダンですてきでした。蒼井優さんと、梅丸〜のモデルであるOSK 日本歌劇団の人気俳優・翼和希さん、そしてOSK の劇団員の方々が参加している、すてきなショーでした。演出は、OSKの演出も実際に手掛けている荻田浩一さんで本格的。
笠置シヅ子さんの自伝だと、ドラマのような運命的な感じではなく、宝塚を落ちた悔しさと、このままでは芸妓になることになるが気が進まないため、梅丸少女歌劇団のモデル、松竹楽劇部に押しかけ入団したとあります。そのへんの流れはわりと駆け足で書いてありますが、ドラマだと、試験の日を間違えていて、また今回もだめか……と思ったらーーというアップダウンが何回かある展開で、劇的になっています。
また、ドラマの鈴子は芸者という仕事をリスペクトしていますが、笠置さんは、自分がやるとなったら気が進まないと思っていたという相違が興味深いです。
それにしても、張り切って行ってみたら、試験は終わっていた……とはショックですよね。楽しみな演劇公演の日程を間違えていたらやりきれないのと同じ。
でも、あとから猛然と追いかけてきたツヤ(水川あさみ)の援護もあって鈴子は歌を披露。花咲のときよりも謙虚に真摯に歌っていた気がします。
歌劇団の音楽部長・林(橋本じゅん)があっさり入団を認めてくれます(歌わせてくれたのもこのひと)
こんなふうにふわっとした会社、なんだかいいなあ。
ツヤも梅吉も、鈴子思いで、ほんとうにいいなあ。
合格をキスで喜ぼうとする梅吉や町内の人たち。第1回の冒頭のキスとリンクさせていたのでしょうか(もともと梅吉はキス魔ぽい)。
第2週は、早くも梅丸少女歌劇団での日々。華やかなショーとその裏側の光と影を見せてもらえそうです。蒼井優さんの活躍にも期待。
林は鈴子に可能性を見出したのか。彼はいい人なのか、どうなのか。林を演じているのが、朝ドラ「ひらり」(92年)の小林役でブレイクした橋本じゅんさんなので、きっと林もいい人でしょう。
【朝ドラ辞典2.0 橋本じゅん(はしもと・じゅん)】劇団☆新感線で、古田新太と並ぶ看板俳優。92年、朝ドラ「ひらり」の気のいい医師役で全国区の人気に。が、その後、しばらく俳優業を休んで渡英。帰国後は、再び舞台を中心に活動する。映像でも活躍し、朝ドラでは「なつぞら」「エール」に出演している。熱く人情味ある役に定評がある。「エール」ではスピンオフの閻魔様役と演出家役と2役演じ、話題になった。
(文:木俣冬)
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