これを読めば“朝ドラあるある”がわかる!「朝ドラ辞典」
朝ドラ辞典・た行
【第一印象 (だいいちいんしょう)】第一印象は最悪だけど後々、重要な存在になることはラブストーリーの定番。とはいえ、朝ドラではそのパターンは少なめで、直球・ときめきの出会いのほうが多い。「ごちそうさん」のヒロインと相手役は、出会いが最悪のパターンだった。
【大河ドラマ(たいがどらま)】
朝ドラはホームドラマで、主人公の周辺半径5メートルの世界を描くものという印象があるが、時々、偉業を成し遂げた歴史的偉人の、志高い、スケールの大きな物語もあって、「大河ドラマのようだ」という声があがることがある。
【タイトル (たいとる)】
朝ドラはタイトルが命。わくわくするすてきなタイトルが毎回ついている。
「ん」がつくとヒットする法則というものがあった。内容が想像できるもの、でも端的にひとつではなく、いろいろな想像が広がるものがいいタイトルな気がする。
【高瀬耕造アナウンサー(たかせこうぞうあなうんさー)】
NHK随一の朝ドラ好きアナウンサーとして知られる。朝ドラの昼の再放送終わりにはじまる午後1時のニュースで見せる表情に、朝ドラを見たあとの心情が現れていると話題になったことをきっかけに、「おはよう日本」では朝ドラ送りをまめに行い、名物化させた。朝ドラ好きなアナウンサーとして、番組の解釈や解説などもさすがの詳しさで、朝ドラの特番の司会なども担当した。大阪局に異動になり、大阪局制作の「ブキウギ」ではついに朝ドラの語りを担当することになった。
※関連語:ナレーション 語り
【高畑淳子 (たかはた・あつこ)】
俳優。劇団青年座所属。朝ドラ出演作は「つばさ」「なつぞら」「舞いあがれ!」がある。
「つばさ」で演じたヒロイン(多部未華子)の母は朝ドラには珍しい自由奔放な人物で、夫と子供を残して家を出ていたが戻って来て何かと主人公の家をかきまわすトラブルメーカー的存在だった。
「なつぞら」で演じたのは北海道帯広で菓子店を営む元気なおばあさん。開拓民で主人公の義理の祖父(草刈正雄)とは同志的存在。
「舞いあがれ!」は五島列島で夫亡きあと、ひとりで船に乗り生活している主人公の祖父役。
3作の役の共通点をあげるとすれば、バイタリティあふれる豪快な人物であるということだろう。
【立ち聞き (たちぎき)】
物語の進行に必要なもの。立ち聞きなくして物語は進まないと言っても過言ではない。誰かが誰かの話しをこっそり聞いたことで、明るみになる真実。動く感情。そこから転がる思いがけない展開。和室、ふすまの時代は立ち聞きも比較的自然だが現代劇でドアで塞がれた場での立ち聞きはなかなか難しい。
【旅立ち (たびだち)】
朝ドラではたいていヒロインが地元からどこかへ旅立つ場面がある。慣れ親しんだ地元、家族との別れがたさに涙なみだ。バスや小舟や列車に乗って去っていくヒロインと、それを見送る家族の場面は定番。とりわけ、途中、外を見ると、家族が思いがけないところから見送っていて、ますます望郷の念が沸くというのがテッパンの名場面になる。
「舞いあがれ!」の場合は、田舎に短期間滞在し、いい体験をして、元の生活に帰っていくという応用パターンとなった。
【旅人 (たびびと)】
「舞いあがれ!」前半の貴司のようにたまに登場する旅人キャラ。「とと姉ちゃん」の主人公のおじさん鉄郎(向井理)や「カムカムエヴリバディ」の兄・算太(濱田岳)など。俳優のスケジュールの事情であろうか。
【たまたま (たまたま)】
「舞いあがれ!」第86回で多用された言葉。作劇上起こる不自然なまでの偶然をメタ的に表現したようだ。
※類語:ご都合主義
【たまり場 (たまりば)】
家族以外の登場人物が一同に介する場として、たまり場が朝ドラには必要不可欠。
喫茶店率が高い。スナック、飲食店等、その都度手を替え品を替えしている。
※関連語:お茶の間、秘密基地
【違うドラマが始まったかと思った (ちがうどらまがはじまったかとおもった)】
朝ドラは長丁場なのでメリハリをつけるためと思うが、半年間のなかで◯◯編、◯◯編といくつかのパートに別れている。「舞いあがれ!」では幼少期の五島編、なにわバードマン編と来て、航空学校編となっている。編によって舞台や時代、登場人物などが変わるので自ずと雰囲気が変わるのだが、時々、それとは関係なく作品のムードが変わることがある。そんなとき「違うドラマがはじまったかと思った」と視聴者は思う、あるいはSNS でつぶやく。その言葉が歓迎をもって吐かれることは滅多にない。
※関連語:キャラ変
【父 (ちち)】
朝ドラにおける父親には2通りある。尊敬できる父と困った父。話題になるのは困った父のほうで、いわゆる家長としての役割を果たさず家族を経済的に困窮させることによって、ヒロインを自立へと促す役割を果たしている。そういう意味で、尊敬できる父は早くに亡くなってしまうことが少なくない。女性主人公の率が高く、女性が男性と対等に自立して生きていくというテーマを内包しているため、どうしても男性社会が問題点になるように描かれがち。フカヨミすれば、敗戦後の日本の象徴でもある。つまり失った自信を取り戻そうともがいている存在である。
女性主人公の率が高く、女性が男性と対等に自立して生きていくというテーマを内包しているため、どうしても男性社会が問題点になるように描かれがち。フカヨミすれば、敗戦後の日本の象徴でもある。つまり失った自信を取り戻そうともがいている存在である。
【塚地武雅(つかじ・むが)】
朝ドラ出演歴:「まれ」(2015年度前期)ではヒロインの同級生の父で郵便局員、「おちょやん」(2021年度後期)では漫才師で、ヒロインをラジオドラマの相手役にと声をかける。「虎に翼」(2024年度前期)ではヒロインが大学を出て最初に務めた弁護士事務所の所長で人権派の弁護士。「虎に翼」第111回で亡くなったがその後放送された「あさイチ」にゲスト出演、」「天国からお届けしております」と挨拶した。
【ツッコミ(つっこみ)】
見てる側があれ?と思ったり、ツッコんだり、議論できる隙間を作ることで、視聴者の能動性を刺激する手法はSNS時代に増加した。ツッコミ箇所が多すぎると視聴者のストレスになり、逆につっこまれそうな部分を徹底的につぶしていくというやり方もあるが、これまたやりすぎると理屈ぽく堅苦しく、あるいは思考停止を生むため、なにごとも適度な塩梅が肝要である。
【罪 (つみ)】
登場人物が罪を犯すことが時々ある。窃盗、詐欺等。冤罪のときもある。捕まったのは
「ひまわり」の主人公の弟(冤罪)、「まんぷく」の主人公の夫(3回も捕まった)、「おちょやん」の主人公の父(獄中死)など。見逃されたのは、「カムカムエヴリバディ」の主人公の兄、「ちむどんどん」の主人公の兄や息子(物議を醸した)。
【ツンデレ (つんでれ)】
恋愛ドラマには欠かせない属性。クールでとりつくしまのない人物がふいにデレるギャップの魅力は絶大である。若手俳優はこの手の役がいかにうまくできるかでブレイクが決まると言っても過言ではない。
【停滞期 (ていたいき)】
朝ドラを書くことはマラソンのようなものと語る作家は少なくない。朝ドラはダイエットとも同じ? 長丁場なのでときには停滞期もある。そこを抜けるとぐっと面白くなる……という保障はない。視聴者はただただ見守るしかないのである。
【ディーン・フジオカ (でぃーん・ふじおか)】
「あさが来た」(15年度後期) 五代友厚役「らんまん」(23年度前期) 坂本龍馬役 「あさが来た」の五代役でブレイク。大河ドラマ「青天を衝け」(21年)でも再び五代を演じて話題になった。
【展開早い (てんかいはやい)】
朝ドラは半年という長い放送期間があり登場人物の半生や人生をたっぷり描けるところがいいところとはいえ、何十年もの人生をなぞるには短い。そこでどこかをはしょる必要がある。そのため、なにか事件が起こっても、次の回では即解決ということが少なくない。問題を引っ張り過ぎると視聴者にストレスがかかることへの配慮からだろうか。この展開の早さは作り手の腕の見せどころで、鮮やかに解決して気分よく見ることができる場合、心配したのになにこの展開……とがっかりする場合がある。マニュアル的にこの展開を行うと後者になり、視聴者は「展開早っ」と思うのである。
【転職 (てんしょく)】
朝ドラのヒロインが職業を変わることはよくあることなので気にしてはいけない。
【電話 (でんわ)】
ヒロインが地元から都会に出ると、地元とのコミュニケーションは電話か手紙になり、電話は大活躍。固定電話と手紙の時代は相手との間に距離があり風情を感じる小道具だったが、ケータイ時代になるといつでもどこでも気軽につながることができるので情緒は失せる。朝ドラでは現代ものが少ないのでケータイが登場する機会も多くはない。「舞いあがれ!」はケータイが大活躍中。
【トイレ(といれ)】
滅多にないが、ごくたまに登場する生活にはなくてならないもの。呼び方は、お便所、お手洗い、厠など、その都度違う。「梅ちゃん先生」(12年度前期)ではヒロイン梅子(堀北真希)はたびたび、トイレに行きたくなる描写があった。第7回では、梅子がたくさん食べすぎてお腹が痛くなって、お便所に立つ。第8回では、田舎に買い出しに行く列車のなかでトイレに行きたくなるという連続描写。第73回では、お父さん(高橋克実)がトイレにこもり、梅子が「お手洗いに入りたい」と困る。
「おひさま」(11年度前期)第8回では、ヒロイン陽子(井上真央)と育子(満島ひかり)、真知子(マイコ)が、英語教師オクトパス(近藤芳正)がなにかにつけて「女のくせに」と言うことへの抗議を込めて白紙の答案を出したことで、罰としてお便所掃除をさせられる。それを機に3人は永遠の友情を誓い、「お便所同盟」(白紙同盟)を結んだ。その時の記念として便所の取っ手が大切にされる。
「ブギウギ」ではスズ子が空襲警報中に便意を催し厠にこもり、愛助を心配させた。
類語:お便所、厠(かわや)、お手洗い
【蟷螂襲 (とうろうしゅう)】
BK朝ドラの常連俳優。「だんだん」「てっぱん」「カーネーション」「純と愛」「ごちそうさん」「マッサン」「べっぴんさん」「まんぷく」「おちょやん」「舞いあがれ!」で10作め。
【ときめき (ときめき)】
朝ドラに限らず、ドラマには「ときめき」が必要。
※類語:キュン
【ドジっ子 (どじっこ)】
舞はコーヒーのお盆をひっくり返したり、勉強に夢中になって遅刻しそうになってケータイを忘れたり、時々ドジっ子になる。 ドジっ子キャラが愛される場合もあるし、嫌われる場合もあり、さじ加減が大事。
【努力 (どりょく)】
朝ドラでは努力の過程が省かれると不満に感じる視聴者層が一定数存在しているため、適度に努力を描写する必要がある。
※類語:壁
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