今度は“関西ディス”を連発?『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』が体現する究極の郷土愛映画
今度は、関西が巻き込まれる。
2019年に『翔んで埼玉』が公開されるや否や、口コミが連鎖した。余すところなく埼玉がディスられまくっている映画にも関わらず、当の埼玉県民が率先して喜び、この作品を広めている感すらあった。GACKTと二階堂ふみがW主演を務めたことでも話題をかっさらった『翔んで埼玉』が、なんと次は関西を巻き込む。
魔夜峰央による原作漫画が元となっている本作において、続編にあたる『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』はオリジナル要素が強い。埼玉にとどまらず関西までディスりまくっているこの映画から、どこまでも郷土愛を感じる理由、続編が待望されたワケを考えてみたい。
熱望された『翔んで埼玉』の続編
「埼玉県人には、そこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」
『翔んで埼玉』といえば、印象的なこれらのセリフを思い出す。紛うことなき埼玉県、および埼玉県民へのディスだ。ほかにもあれよあれよと埼玉をこき下ろす言動が満載の映画だが、それにも関わらず、埼玉県民を中心に絶賛された。行き過ぎたディスはまわりまわって愛となることが証明された作品だ。
「埼玉解放戦線」のメンバーである麻実麗をGACKTが、名門である白鵬堂学院の生徒会長・壇ノ浦百美を二階堂ふみが演じた『翔んで埼玉』は、公開後、早くも続編が熱望される。
もともと魔夜峰央による原作は未完であり、過去と現在パートを織り交ぜた構成にはオリジナル要素も含まれた。続編は完全オリジナルに近い形となる。
くわえて、続編制作の報が流れた直後、W主演の一人であるGACKTの発声障害が発覚した。無期限の活動休止に合わせ、撮影も中断。まさに万事休すの状態だったが、無事に2023年11月の公開が決定した。待望の埼玉愛に満ちた本作に対する期待は、待つ時間に比例して高まるところまで高まり切ったと言える。
前作よりも増している『翔んで埼玉』の耽美な魅力
GACKTと二階堂ふみのW主演はそのままに、続編では新たな追加キャストも登場している。詳細は後述するが、ここではとくに明記しておきたい新キャラクターについて触れておきたい。続編では、名付けて“滋賀のオスカル”・桔梗魁役を杏が演じている。とある理由から、麗は百美と離れ和歌山へ向かうのだが、その途中で魁と出会う。その出会いのシーンはもちろんのこと、二人の会話はことごとく耽美に演出される。
前作でも、麗と百美のやりとりはやけに艶っぽい。もはやボーイズラブは一大ジャンルとして確立しているが、この作品における二人のやりとりはジャンルを超越している。やたらと身体を寄せ合い、身体を近づけ、艶かしいセリフを口にする……。麗と魁の応酬も、それに輪をかけて“激しい”。
『翔んで埼玉』は、大人たちが本気を出し合って制作した、最高で最強の埼玉愛に満ちた映画だ。行き過ぎた郷土愛を土台にした本作において、ボーイズラブ要素は浮いて見えるかもしれない。しかし、このミスマッチ感までまとめて『翔んで埼玉』なのだ。
物語としてまとまっていた前作の公開から間もなく「続編希望!」の声が挙がったのも、メインキャスト陣の行き過ぎた耽美さを拝みたい層も多かったから……と考えるのは、言い過ぎだろうか。
あの夫婦の共演も?豪華俳優陣の参戦
前作に引き続き、超豪華俳優陣が出演している点も『翔んで埼玉』の見どころだ。前述した杏をはじめ、堀田真由、高橋メアリージュン、和久井映見、天童よしみ、山村紅葉、モモコ(ハイヒール)、川﨑麻世などなど若手からベテランまで、まさに目白押し。そしてなんといっても、藤原紀香&片岡愛之助夫婦が、まさに夫婦役で出演している点は外せない。夫婦の共演は今作が初で、なんともコテコテした強い絵力を醸し出している。
そこに川﨑麻世演じる京都市長が絡み、思わず「え、これっていいの? 大丈夫?」と思ってしまうシーンもあるのだが……。詳しくは11月23日以降、劇場で確かめてほしい。また前作にもあった、それぞれの出身地における有名人対決も健在だ。
埼玉が関西を巻き込んだ超・郷土愛映画。人は欲深いもので、こうなると第3弾、第4弾……とさらなる続編も希望してしまう。そうなると、次の“被害”はさらに西へ伸びるのか、それとも。
(文・北村有)
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