(C)NHK
(C)NHK

国内ドラマ

REGULAR

2023年11月15日

「大奥」第17話:阿部正弘が家定と胤篤の仲睦まじさに見出した“希望”

「大奥」第17話:阿部正弘が家定と胤篤の仲睦まじさに見出した“希望”


NHKドラマ10「大奥」のシーズン2が2023年10月3日に放送開始となった。よしながふみの同名漫画を原作に、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、若い男子のみが感染する奇病により男女の立場が逆転した江戸パラレルワールドを描く本作。シーズン2の後半「幕末編」では、古川雄大、愛希れいか、瀧内公美、岸井ゆきの、志田彩良、福士蒼汰らが出演する。

本記事では、第17話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「大奥」画像を全て見る

「大奥」をU-NEXTで見る

「大奥」第17話レビュー

福士蒼汰が、NHKドラマ10「大奥」に新たな役で帰ってきた。今年1月期に放送されたシーズン1では、3代将軍・家光(堀田真由)の側室となる“お万の方”こと、有功を演じた福士。春日局により無理やり還俗させられた自らの不幸を呪うことなく、家光の頑なな心を柔らかく解きほぐす慈悲深さ。一方、家光との間に命を宿すことができた男たちへの嫉妬に苦しむ人間臭さ。その両方を体現した福士の演技は大きな反響を呼んだ。

そんな福士が再びこの「大奥」で演じるのは、「お万の方の再来」と謳われる天璋院/胤篤。内部から幕政を操るために薩摩から13代将軍・家定(愛希れいか)の正室として送られてきた胤篤は見た目こそ有功と瓜二つだが、内面は大きく異なる。聡明でそつがなく故に掴みどころがない。しかし、人に警戒心を持たせない物腰の柔らかさがあり、彼と一度接すれば男も女も関係なく魅了されてしまう。

まるで、有功と右衛門佐(山本耕史)のハイブリッドみたいな男だ。そして有功と家光、右衛門佐と5代将軍・綱吉(仲里依紗)が互いを想い合うまでの過程をなぞるように、胤篤と家定も心を通わせていく。

開国派と攘夷派に分裂するこの世を徳川がどのように治めていくか。その上で次期将軍にふさわしいのは紀州徳川家の福子(志田彩良)か、それとも水戸徳川家の一橋慶喜(大東駿介)かなど、日本の未来について薩摩の“郷中教育”に基づき議論を深めていく二人。一方で胤篤は家定を散歩へと連れ出し、陽の光を浴びさせる。すると、どうだろう。幼い頃から実の母や父から盛られた毒がその身体から抜けていくように、家定は健康体を取り戻していった。

そうして徐々に距離が近づいていく二人を、複雑な心で見守る瀧山(古川雄大)はまるで子離れできない父親だ。薩摩の刺客として胤篤を警戒しているのもあるが、内心はほんの少し寂しいのではないだろうか。分身と言われるまでに家定から信頼され、彼女をあらゆる脅威から守ってきた瀧山。その役目をぽっと出の胤篤に取られたとあっては口惜しいのも無理はない。加えて、それは恩人である阿部正弘(瀧内公美)から与えられた役目であるから。

だが、正弘の目には仲睦まじい家定と胤篤の姿は希望として映ったことだろう。本来は薩摩と徳川という対立する立場にある二人。それでも敵意をむき出しにせず、最初は腹の中を探り合いながらでも対話や交流を重ねていくうちに、いつの間にか壁はなくなっていた。同じように人が、男と女、開国派と攘夷派、幕府と朝廷といったさまざまな違いを乗り越えていく。それこそが、正弘の目指す未来の日本だった。

しかし、正弘はその未来を待たずして病に侵され、この世を去ることとなる。「まさか己の翼が折れて飛べぬようになる日が来るなど夢にも思わなんだ」と悔しさを滲ませる正弘の姿があまりにも切ない。そんな正弘の無念を晴らしたのが陽の下で輝く家定の姿だ。徳川家康に影武者として仕えた阿部正勝のように、家定を苦しめる忌々しき過去や病を背負ってあの世に行くのだと思うことで彼女は自分の人生を美しい物語にすることができた。

誰もが遺していく大切な人の未来がどうか良いものでありますようにと願いながら空に還っていく。「大奥」は哀しくて美しい物語だ。

(文:苫とり子)

「大奥」をU-NEXTで見る


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!