「ブギウギ」羽鳥(草彅剛)はやっぱりおもしろい<第78回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第78回を紐解いていく。
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歌い踊りながら料理するスズ子
結婚か歌手を辞めるか、瀬戸際に立ったスズ子(趣里)。でも愛助(水上恒司)は芸能界の日本の損失だと猛反対。それなら自分が村山の家を出ると言い出して、坂口(黒田有)を困らせます。
歌を辞めるなんて思いもよらなかったスズ子ですが、愛する愛助のためなら辞めてもいいような気持ちになっていきます。
愛助にも世界の芸人を集めたショー(「わろてんか」におけるマーチンショー的なもの)をやる夢があり、スズ子はその大きな夢を叶えてほしいと思うのです。
振り返れば、スズ子が愛助に心惹かれた瞬間はたぶん、屋台で、ショーをやる夢を聞いていたときでした。
「歌手をしてない自分が想像がつきません」と言いながら、辞める決意を固めはじめたスズ子。
家で料理をしながら「ラッパと娘」を歌い踊りはじめます。食器の音などが入った「ラッパと娘」台所バージョンです。
やっぱり歌が楽しい。ほんまに辞めるんか、とふと立ち止まり考えます。
どんなときでもスズ子のそばには歌がある。布団を干すときも歌っていました。ただ、これは、家庭で専業主婦していたって歌ったり踊ったりできるということでもあるかもしれませんが。
と、そこへ羽鳥(草彅剛)が訪ねてきました。
「福来くん、ちょっと激情にかられるところがありそうだから」
スズ子が激情にかられて歌手を辞めてしまうのではないかと心配して、やっぱり辞めないでほしいと説得しに来たのです。
「〜〜〜彼(愛助)に直接伝えたくてここに来てしまったというわけなんだ」
長い長いセリフは、羽鳥がスズ子の家に来た理由の説明でした。長い説明セリフは敬遠されるのが常ですが、草彅剛さんの話し方が楽しいので、気になりませんでした。
結局、羽鳥は自分のやりたい「ジャズ・カルメン」という、オペラをジャズミュージカル仕立てにした画期的な作品のためにスズ子が必要で、辞めてもらっては困ると思っているのです。
麻里(市川実和子)が心配するとおり、羽鳥は自分の音楽のことばかり考えています。
今度は愛助が帰ってきて、羽鳥に大いに同調。愛助と羽鳥が、スズ子をどれだけ買っているか激論(?)する場面は弾みました。好きなものについて話すときは楽しいものです。
こうなったら、スズ子が歌を辞めずに結婚することを愛助自ら母トミ(小雪)に談判に行くしかない。希望に燃えた、その瞬間、状況は一変します。
愛助の異変に、スズ子は気を失って……。
こういうとき気を失ってしまうとはメロドラマのヒロインみたいです。
スズ子の場合、どんなときでも、ワテやりまっせ的な感じで、この場合も、気丈に真っ先に駆け寄り病院病院とテキパキ動きそうな人かと思いましたが、そうではありませんでした。ここまでずっとがんばって支えてきたから、ショックが大きかったのでしょう。
ちなみに、村山興業のモデルであろう吉本興業は、戦前の昭和9年(1934年)に「マーカスショー」というアメリカから招聘したエンタメショーを行っています。チャップリンやキートンが来たわけではないですが、ダニ―・ケイが参加していました。
「ブギウギ」の世界線ではこのショーが行われたか定かではありませんが、愛助はこれを見て、僕ももっとすごいものをやりたいと思ったのかもしれません。いずれにしても愛助の夢を叶えさせてあげたいものです。
(文:木俣冬)
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