続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年04月17日

「虎に翼」法廷劇は中止、女生徒が処罰を受けることになる理不尽<第13回>

「虎に翼」法廷劇は中止、女生徒が処罰を受けることになる理不尽<第13回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第13回を紐解いていく。

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よねのつらい生い立ち

法廷劇の晴れ舞台は、態度の悪い男子生徒のヤジでめちゃめちゃに。
最初は辛抱して舞台を続けようとしましたが、よね(土居志央梨)が男子生徒に尻もちつかされたのを見て、寅子(伊藤沙莉)も耐えかねて舞台を降ります。

そして、仕掛ける、猫(たぶん”虎”なんでしょう)攻撃!

でも、寅子のやいば(爪)にかかったのは、男子生徒ではなく、優三(仲野太賀)でした寅子を加害者にさせないために割って入ったのです。哀れ、優三。

すかさず、よねは男子の股間を蹴り、もうさんざん。ついに耐えかねて穂高(小林薫)が声を出し、劇は中止。新聞記者・竹中(高橋努)は「ハハハ」と高笑いで惨状を取材し、女性を揶揄したような記事を書きました。

女性らしくない振る舞いをしたということで女生徒たちは処罰されることになります。喧嘩両成敗じゃないんかい。男子生徒はどうなった? 一生懸命準備した演劇を邪魔し、女性たちを口汚く罵ったことが罪に問われないのか。

法律家の集まりなのに。釈然としません。

なぜか、新聞記事をスクラップし、「あっ このトラ、よく撮れてる」とひとりごちるのは直言(岡部たかし)です。この人の鷹揚さはいまのところ救いです。どうもエリート銀行員には見えないんですが、多様性を考えたらこういうエリートもいるのでしょう。

こう見えて……という人が、この回には何人か出てきます。

よねが住み込みで務めるカフェーの店長増野(平山祐介)と、よねに弁護をもちかける弁護士・緒方(戸田昌宏)です。

増野は、女性が男性をもてなすカフェーの経営という裏社会的な仕事をしていますが、いかにも女衒のワルという感じではなく、穏やかで、人情がありそうです。それが、時々サングラスをさげて目を見せることで表現されていました。

よねは、地方の貧しい百姓の家に生まれ育ち、姉・夏(原愛音)に続いて、女郎として売りに出されそうになったところ、夏を頼って男装してカフェーで働くことになりました。

よねは、置屋にお金をごまかされた姉を救うべく、声をかけてきた弁護士・緒方に身を任せ弁護をしてもらい、大金(姉の未払を取り返した)を得ます。でもそれがもとで夏は置屋にいられなくなって……。

それらを「ありふれた話だ」とよねは淡々としています。この時代にはよくあることだったのでしょう。

お金のために体を売って生きるしかない女という立場を捨てる意思の表れが男装だったのです。この一連の出来事を時間をとってワンエピソードとして描かれると重すぎる気もしますが、回想として一気に説明するとこぼれるものがあるような気がします。どっちにしても重い話です。

「だから私は賢くあろうとした」と語るよねと、「法に勝る力なしってね」と法を使って、泣き寝入りしそうな女性を救う弁護士。知識が大事であることを物語っています。

「こう見えて弁護士」と言った緒方は、弁護を引き受けるためによねに迫るといういやらしさで、全然ありがたい存在ではない。それこそ唾を吐きたくなるような人物です。でも知識があるから、人生をうまくわたっているのでしょう。

よねの身の上を聞いて、恵まれて育った寅子たちは知らない世界を知るのです。
お金も知識もなく奪われていくばかりの人たちがいることを。それこそほんとの地獄です。知識を得ることで地獄から脱しようとしているのが、よねなのです。

朝からしんどい話ですが、知識こそが人間を救うのだという希望を持つしかない。勉強せねば。

また、よねの話を彼女がいないところで他者から聞くわけにはいかないとする、寅子の潔白さは法律家にふさわしいものと感じました。

優三の献身がスルーされたことがSNSで話題になりましたが、個人的には演劇がないがしろにされたことがとても悔しい。たとえ、プロのものでなく学生の催しだとしても。

あの、博多大吉さんが注目する、まだ一言もしゃべっていないけれど、白目で話題の生徒で名字と名前がかぶっている笠松まつ(うらじぬの)さんも舞台に立っていたのに(手をのばし止めようという意思を感じさせました)。彼女もきっと頑張って練習したでしょう。もしかして生徒の家族も見にきたかもしれないし、足を運んだ観客に失礼。

こんなふうに、女性や身分の低い人、貧しい人、恵まれない人たちは味わっているのでしょう、砂を噛むようなやりきれなさをずっと。

(文:木俣冬)

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