「ブギウギ」桃を手に入れたゴンベエ(宇野祥平)は何者なのか<第9回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、後に戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第9回を紐解いていく。
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カッパの子とクジラの子
梅丸愛は負けないと宣戦布告した鈴子(澤井梨丘)でしたが、急に倒れてしまいます。熱々先生(妹尾和夫)の診断によると、百日咳で、デビュー公演には完治は間に合いそうにありません。
ライバルがひとり減ったとはいえ、桜庭辰美(木村湖音)と白川幸子(小南希良梨)も元気がありません。
「舞台はひとりでやるもんちゃうぞ」と橘アオイ(翼和希)がふたりに愛ある言葉を。
弱り目に祟り目ではないですが、アホのおっちゃん(岡部たかし)が六郎(又野暁仁)にへんなことを吹き込みます。鈴子と六郎がほんとうのきょうだいではないという衝撃事実。
六郎はどうも空気が読めないようであることは、タイ子(清水胡桃)の恋愛話のときも唐突に真実を言い出して場を固まらせていました。今回もーー。
アホのおっちゃんもほんと余計なことを言うなあと苦笑してしまいますが、その言い方が傑作。
六郎は「カッパの子」で、鈴子は「クジラの子」。
アホのおっちゃんは、お金もなくふらふらしていますが、頭の回転はいい人なのでしょう。物事のギリギリのところを攻めて、でも決していき過ぎない、そこを楽しんでいる感じが魅力的です。
とはいえ、ほんまのきょうだいじゃない、は衝撃。でも鈴子は熱が高いので、まっすぐ受け止めることができないのが不幸中の幸いでした。
ツヤ(水川あさみ)と梅吉(柳葉敏郎)はこそこそと話しています。襖が半開した隙間の画が秘密の話感を醸し雰囲気あります。
病気がうつることを気にせず看病するツヤと臆病で近づけないけど廊下でずっと見守っている梅吉。夫婦のいいコンビネーションです。
熱が高くてつらい鈴子が桃を食べたいと希望し、ツヤが買いに出ますが季節外れでどこにも売っていません。ところがなぜか、ゴンベエが……。
「記憶にございません」
(ゴンベエ)
カッパの子とクジラの子も寓話的ですが、さらに寓話的な展開。でも、記憶のないゴンベエの個性が見事に生きました。
悪気はないけど困った、アホのおっちゃん、
謎のゴンベエ、
「熱々」ばかり言ってて、もしかしたらやぶかもしれなないお医者さん……
花田家を取り巻く人達の個性が生きた回でした。
六郎も、さらに彼らしさを発揮します。
桜庭辰美(木村湖音)と白川幸子(小南希良梨)が見舞いに来たとき、鈴子が名演技をするのですが、そこでまたも口を滑らして……。
サブタイトル「笑う門には福来たる」も回収され、すべて丸く収まったほのぼの回。
最終回かと思った、は朝ドラあるあるですが、週の終わり回のようでした。
まだ1回、残っていますが、第10回はデビュー公演? 3人が雨降って地固まって団結する?
(文:木俣冬)
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(C)NHK