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『関心領域』公開前、GWに観たいホロコースト映画“3選”
『関心領域』公開前、GWに観たいホロコースト映画“3選”
A24製作&ジョナサン・グレイザー監督の最新作、アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族を描く『関心領域』が5月24日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開となる。
ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ“第三帝国”が犯した人類史上最悪の戦争犯罪、ユダヤ人大量虐殺【ホロコースト】。
『関心領域』はアウシュビッツ収容所の隣に住む収容所所長一家の暮らしを描いた“ホロコースト映画”と呼ばれることもあるが、アウシュビッツの中の様子は一切映さず一家の何気ない日常の一場面として、塀の向こうからかすかに聞こえる音や煙突の煙などからホロコーストの実態が匂わせる程度に描かれている。
それはアウシュビッツという地がどんな場所なのか、全世界が知っているからこそ成し遂げられる大胆な表現。一方でもう少し詳しい知識を持つと、さらに映画への理解が深まること間違いなし。
『関心領域』をより深く観るために、ゴールデンウィーク中に予習できる“名作ホロコースト映画”3本をまとめて紹介する。
『関心領域』5/24(金)全国公開
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イギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説を原案に、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(13)のジョナサン・グレイザー監督が10年もの歳月をかけて映画化が実現。
製作は、昨年度のアカデミー賞®で作品賞ほか最多7部門を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』など多くの話題作を手がけ、近年の賞レースを席巻している映画スタジオ・A24。
© Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. AllRights Reserved.
初お披露目となった第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞して以来、トロント映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞など各地の映画賞を続々受賞し、第 81回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)ほか3部門にノミネート、第77回英国アカデミー賞では英国作品賞・外国語映画賞・音響賞を受賞、第96回アカデミー賞®では国際長編映画賞・音響賞の2部門受賞に輝いた。
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原題でもある《The Zone of Interest(関心領域)》とは、第二次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉。
映画では、アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしが描かれている。
『関心領域』予習におすすめの作品“3選”+α
[※本記事は広告リンクを含みます。]『シンドラーのリスト』
第6回アカデミー賞®作品賞ほか7部門受賞、スティーヴン・スピルバーグ最高傑作と呼ばれ、ホロコースト映画の代表格ともいえる名作。
本作では“塀の内側”の凄惨な出来事をモノクロフィルムで撮影しているのに対し、『関心領域』は“塀の外側”のルドルフ・ヘス家をデジタルカメラの色鮮やかな映像で映し出しているため、比較して鑑賞するのも面白い。
少女の赤いコートだけをカラーにして強調するパートカラーと似たような演出も『関心領域』で登場する(描かれるのはどちらも少女の姿)。
ちなみにスピルバーグは『関心領域』を「この作品は自分の作品以降で一番のホロコーストを描いた映画だ」絶賛している。
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『ライフ・イズ・ビューティフル』
第71回アカデミー賞®主演男優賞ほか3部門受賞、実際に強制収容所で過ごした経験がある父を持つイタリアの名優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務め、強制収容所に送られたユダヤ人家族の強い愛と絆を描いた感動作。
主人公のグイドは、いかなる時でも息子の幸せを第一に考え、“塀の内側”にいても笑顔を忘れずに生きようとする――。
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『サウルの息子』
第88回アカデミー賞®外国語映画賞(現:国際長編映画賞)受賞、さらに2015年のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞と『関心領域』と同じ受賞歴を誇る、記憶に残る名作。
強制収容所内の囚人たちによって組織された労務部隊【ゾンダーコマンド】の男性サウルを主人公とした人間ドラマを描く。映像では常にサウルの姿に焦点が当てられ、彼が見たであろう痛ましい惨劇を見る者に想像させながら物語が進んでいく。
凄惨な描写を直接的には描いていない分、観客の想像力を恐ろしいほどに掻き立てる精巧な作りが『関心領域』と近いアプローチとなっている異色のホロコースト映画。
サウルの場合は“何を見たのか”、ルドルフの場合は“何を見なかったのか”どちらも観客の想像力で語る物語になっている。
+α:『アクト・オブ・キリング』
1960年代インドネシアで行われた大量虐殺を、加害者側の視点から描いたドキュメンタリー映画。
60年代、秘密裏に100万人規模の大虐殺を行った加害者が現在では英雄として生き残っていることに目を付けた監督が、彼らに事件を再演することを提案。意気揚々と過去の行為を再現していくが、過去を演じることを通じて加害者たちに変化が訪れる――。
ホロコーストが題材の作品ではないが、映画の後半で起きる異変に通じるものが『関心領域』でも描かれる。哲学者ハンナ・アーレントが唱えた《悪の凡庸さ》を生々しく体現した点に注目。
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『関心領域』作品情報
【予告編】
【クレジット】
監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
原作:マーティン・エイミス「関心領域」(早川書房刊)
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:The Zone of Interest|2023 年|アメリカ・イギリス・ポーランド映画|
公式 HP:https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/
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