続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年06月12日

「虎に翼」ヒャンちゃんとの再会。彼女は香子と名乗っていた<第53回>

「虎に翼」ヒャンちゃんとの再会。彼女は香子と名乗っていた<第53回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第53回を紐解いていく。

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「東京ブギウギ」♪

家庭裁判所を作るためには、少年審判所と家事審判所を合併させないとなりません。家事審判所所長・浦野(野添義弘)と少年審判所所長の壇(ドンペイ)は、少年家事裁判所、家事少年裁判所とどちらの名前を前にするかで揉めます。いつでもどこでも面子にこだわる人たちはいるのです。

多岐川(滝藤賢一)は会議中、いつも居眠り。でも、ひそかに浦野と壇とやりとりを行っていました。
寅子(伊藤沙莉)も誘われて参加しますが、単なる飲み会で唖然。
でもその席では、浦野と壇は陽気に笑っています。これは多岐川の作戦なのかもしれません。令和の時代、飲ミュ二ケーションは避けられていますが、良いこともあったりして?

多岐川の補佐をしている汐見(平埜生成)はお酒が飲めないのに間違って飲んでしまい、自力で帰るのが困難になり、多岐川と寅子が送ります。なんと、多岐川と汐見は同居していて……。

さらに、前から、多岐川が家に「香子ちゃん」というすてきな人がいることを匂わせていたのですが、その香子ちゃんとは、ヒャンちゃんこと香淑(ハ・ヨンス)で……。

国に帰ったはずのヒャンちゃん。日本にまた戻ってきていたことも驚きですが、妊娠しているようでさらに驚き。

世間は狭い。宿命で結ばれた人たちは、ちょっとずつ引き合っている感じがします。

先週の金曜日の花岡(岩田剛典)の死の話からの「つづく」、月曜日のよね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)の再会。火曜日の多岐川登場、そして水曜日のヒャンちゃん、と毎日イベント目白押し。どんどん、球種を変えて投げ続ける、ものすごい腕力のある構成です。

脚本家の吉田恵里香さんは、X(旧ツイッター)で毎日、その回のイメージに合ったイヤリングをアップしていて(たとえば、昨日はスルメイカ、今日はロシアンティーをイメージしたジャムつきパンにカップのリング)、筆者は毎日楽しみにしているうえ、どんだけイヤリングを持っているんだ?と驚いているのですが、この違ったイヤリングを毎回、アップする惜しみない労力とサービス精神こそ、彼女の脚本の真髄であると感じます。

そして、そのサービス精神は、多岐川に「東京ブギウギ」を歌わせます。
「東京ブギウギ」――
前朝ドラ「ブギウギ」でヒロイン鈴子(趣里)が歌って踊って盛り上げた大ヒット曲であります。ヒロインのモデルの笠置シヅ子さんと、寅子のモデルの三淵嘉子さんは同じ年生まれ。寅子は鈴子が入団した梅丸少女歌劇団のファンでもありますので、「東京ブギウギ」も笠置さんではなく鈴子が歌っている世界線ではないでしょうか。ラジオから流れるのではなく、多岐川に歌わせているのが巧み。

ひじょうに目配りの効いた構成で、たとえばこの回、寅子が家庭裁判所設立が暗礁に乗り上げたら、裁判官になるチャンスを逸してしまうと焦り、多岐川に詰め寄ったとき、「バカタレが!」と一喝されます。

寅子の自分本位な考えを叱ったのかと思いきや、そうではなく。
「そんなもやもやしていていい仕事ができるわけないだろう」と多岐川の焦点はそこ。いまどきの若いものは……とぼやきながら、直接言いにくるだけましなのかと独り言で考え直し(多岐川ってかなりマイペース)、家庭裁判所(ファミリーコート)の理念を伝えるため、ライアン(沢村一樹)のところへ連れていくのです。

寅子はそこでようやく、家庭裁判所を作る意味を知るのです。
この場面で、寅子が「お言葉ですが」と花咲舞みたいなことを言うのも、サービス精神なのでしょう。
明日は何が起こるか、楽しみです。

(文:木俣冬)

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