続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年04月27日

「らんまん」ジョン万次郎の登場で大河ドラマ化が止まらない<第19回>

「らんまん」ジョン万次郎の登場で大河ドラマ化が止まらない<第19回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第19回を紐解いていく。

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竹雄の切ない気持ち

綾(佐久間由衣)を追って、高知に来た万太郎(神木隆之介)竹雄(志尊淳)。万太郎は、綾を竹雄に任せ、自身は早川逸馬(宮野真守)の声明社を訪ねます。

なかなか気が利く万太郎。綾と竹雄をふたりきりにして、竹雄に告白させようと考えたのです。

でも竹雄は綾に「お慕い」とまで言いかけて言葉を飲み込み「尊敬」しています、と言い直します。綾は彼の気持ちに気づくことはできず、よくできた奉公人だと褒めます。竹雄はその「奉公人」であろうと努力に努力を重ねているから当然です。このすれ違いが切ない。

でも綾に誘われて(手をつながれる!)、盆踊りを一緒に踊るとき、ほんの少し気持ちが解放されているように見えました。綾自身も踊っているときは、幸吉(笠松将)へのショックも、峰屋において女であることの絶望も、忘れることができたのではないでしょうか。

ここで綾がすてきなのは、彼女の苦しみは、幸吉に失恋したことよりも、自分が強欲だったと反省していることなのです。幸吉に家庭があったのに酒を作るために振り回してしまったと、悔いるのです。それは、彼女が使用人たちを使う上の立場にいることの自覚です。女であることで差別される綾も、身分の上下で下の者に何かを強いていることに気づくのです。

その頃、万太郎も「暢気」は「傲慢」と逸馬に言われています。お坊ちゃんで
世間を知らないことを彼も自覚します。が、お坊ちゃんはお坊ちゃんで悩みもあるのです。

どんな立場にいる人も悩む。どんな立場にある人も「自由」に生き、他者の「自由」も認めることこそ、ほんとうの「自由」です。

声明社の人たちと触れ合って万太郎はこれが「自由」かと感じますが、逸馬はほんとうの「自由」とはもっと広いものだと教えます。そして、万太郎を連れていったのは、高知で最も有名な人物の家ーージョン万次郎こと中濱万次郎(宇崎竜童)の家でした。

ツイッタートレンドに「ジョン万次郎」があがっていました。やっぱり偉人のインパクトは大きい。

ジョン万次郎は高知出身で江戸時代、渡米した人物です。日本に戻って、江戸で幕府直参になり、通訳や翻訳などをして、日米修好通商条約の批准書交換のためにアメリカへ行く使節団を乗せた「咸臨丸」にも通訳、技術指導員として同乗しています。

貧しい少年がたまたまアメリカに行って、波乱万丈の人生を送り、外の広い世界を見聞した人物はたくさんの人に尊敬されました。

大河ドラマには何度もジョン万次郎が登場していますが、朝ドラでははじめて。
万太郎のモデルは牧野富太郎、坂本龍馬も出てきたし、「らんまん」では昔の男性偉人を次々描いて、かなり大河ドラマ化しています。

牧野、坂本、私塾を経営した池田蘭光、自由民権運動に燃える逸馬と高知の人たちは皆、先進的でかっこよく見えます。

高知の人たちは「らんまん」を見て嬉しいんじゃないでしょうか。
その土地の風光明媚な自然をたくさん映すのも見ていて良いですが、その土地で生きた人たちを魅力的に描くことも地域を描くドラマの役割です。自然はきれいだし、観光したくなりますが、きれいだなーと見て帰るだけで終わってしまいがち。その点、人に魅力があれば、その人の生き方を参考にできる。

目下、人民のことを考えているドラマだからこそ、熱く生きた人をしっかり描く。とてもしっかりした芯を感じるドラマです。これは明治が舞台だからできるわけで、令和を舞台にしたら、この熱さは出せないでしょう。

(文:木俣冬)

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