インタビュー

インタビュー

2024年06月16日

ディーン・フジオカ「もっと早いと思ってた!」新章始動『パンドラの果実』

ディーン・フジオカ「もっと早いと思ってた!」新章始動『パンドラの果実』

あの“科学犯罪対策室”チームが帰ってくる。

ディーン・フジオカ演じる科学犯罪対策室の室長・小比類巻祐一と、岸井ゆきの演じる天才科学者・最上友紀子、そしてユースケ・サンタマリア演じる検挙数ナンバーワン刑事・長谷部勉、吉本実憂演じるSF好きで格闘技が得意な新人捜査官、奥田玲音。彼らの丁々発止な掛け合いが、6月16日(日)放送の「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜」最新章SP、そして放送後にHuluで独占配信がスタートするSeason3で、また見られる。

新章スタートの知らせは、主演のディーン・フジオカにとって「もっと早いと思ってた!」のだとか。その真意から話を聞いた。

「気づいたら2年も経っていました」

▶︎本記事の画像を全て見る

――2年ぶりに大人気シリーズ『パンドラの果実』が動き出します。再始動が決まったときのお気持ちを、あらためて聞かせてください。


ディーン・フジオカ(以下、ディーン):「もっと早いと思ってた!」ですね。Season3があるなら、もっと前に始まると思っていました。それほどSeason2が終わったあとの、キャストやスタッフさんのあっさり具合がすごかったんです。「また来週!」みたいな感じで、そのままSeason3の撮影を続けるんじゃないかっていうテンションでクランクアップしたので。気づいたら2年経ったのか……感慨深いです。

――キャストやスタッフの方々と2年ぶりに再集結して、再会を喜ぶ瞬間などもありましたか?

ディーン:僕はもちろん、ほかのキャストやスタッフの方もみんな、続編を楽しみにしていたんじゃないかな。まるで、つい最近まで撮影をしていたような「帰ってくるのが当たり前!」くらいの感覚で、2年間のブランクを感じさせないんです。

僕が知る限り、羽住英一郎監督の撮影現場は、日本でいちばん“巻く”んじゃないかというくらい撮影が早い。現場で撮影しながら映像編集を進めていたり、技術部との連携が取れていたり、言うならば統率のとれた軍隊のようです。

そのリズムがだんだん癖になってくるんですよ。プロ集団だから、もちろん仕事をするときはきっちりするし、どのタイミングで雑談をしたらいいかもわかっている。ずっとランナーズハイみたいな、笑いの絶えない現場であることは、2年前から変わりません。

▶︎本記事の画像を全て見る

――反対に2年前と比べて、変化している点はありますか?

ディーン:さらに制作体制がアップデートされています。専門誌や特別番組などがあれば、いくらでもお話ししたいくらいです。どうやったら作品をより良くできるのかを考えながら、機材や撮影手法などを洗練させ、突き詰めていく姿勢が『パンドラの果実』そのものの魅力に繋がっているんじゃないでしょうか。

Season1から2にかけて、配信だからこそできる描写に味を占めたのか(笑)、羽住監督を筆頭に、スタッフもキャストもフルスイングで撮影に臨んでいます。やはり、最先端の科学技術を使って事件を解決していく物語ですから、説得力が必要ですよね。手加減なしで世界観を作りあげているので、Season3はもっとギリギリの、とんでもない展開を楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。

新キャスト・駿河との時間は財産

▶︎本記事の画像を全て見る

――Season3の撮影に向けて、あらためて準備されたことはありますか?


ディーン:Season1〜2にとらわれすぎないように、と思っていました。もちろんSeason3の撮影にあたって、あらためて小比類巻祐一を思い出すために、前シーズンを観返したんですが、参考程度に留めておいて。基本的には羽住監督による采配や演出に、どれだけの反射神経で対応できるかに集中していました。

キャラクターとしての成長や進化をイメージしつつ、柔軟性を持ってSeason3の撮影に臨むことを心がけていたと思います。そして何より、現場にいられる時間を楽しめたらいいな、と。

――Season3では、お馴染みの科学犯罪対策室の最上博士や長谷部、奥田はもちろん、新キャストの皆さんもいらっしゃいます。とくに印象に残っている方はいますか?

ディーン:やはり、向き合うことが多かったのは駿河太郎さんです。役柄として、小比類巻とすごく仲が良い距離感ゆえに、展開が進むにつれて関係性が変化していく“幅”が大きかったな、と思います。

共演シーンも多く、ずっと二人でお芝居のことを話していました。彼と出会えたのは、一つの財産です。映像にも表れているはずなので、ぜひ注目していただければ。

――「財産」と言えるほどの出会いがある現場は、なかなかないのではないでしょうか?

ディーン:そうですね。彼に限らず、それぞれ自分の世界を突き詰めているキャストの方々が集まっているから、話していて楽しいんですよね。お芝居をしているときはもちろん、それ以外の場でも濃い交流があって。いま思い返しても、現場にいる時間がすごく充実していたな、と思います。

小比類巻が抱える強さと弱さ。表裏一体さをどう表現するか

▶︎本記事の画像を全て見る

――あらためて、ご自身が演じる小比類巻祐一の魅力はどんなところにあると思いますか?


ディーン:小比類巻の根本にあるのは「科学の進歩は光だ」という信念です。科学が進めば進むほど、人生はより豊かになり、自分も含めた人類にとっての希望が生まれると信じている。このシンプルで真っ直ぐなところが彼の魅力であり、強みであり、そして、弱みでもある。

科学の力を信じるあまり、彼は周りから見たら少し異常な、狂気にも思えるような愛を、自分の妻・亜美(本仮屋ユイカ)に向けています。亡くなった妻を冷凍保存するという形で、彼は「人を愛する気持ちを、どうやったら失わずにいられるか」を体現しようとしている。それが小比類巻というキャラクターを作りあげていて、かつ演じる僕としても大切にしたいと思っている要素です。

――科学の「闇」と「光」の両面が見えるのは、この『パンドラの果実』の魅力でもありますね。

ディーン:この物語は常に物事に対する善悪を突きつけ「あなたはどう思いますか」と問いかけてきます。小比類巻は一人の夫として、父として、そして警察官として、犯罪を捜査し謎を解いていく。立場によって強さと弱さが表裏一体になっているところが、彼の、そしてこの作品の魅力にもなっているんだと思います。

――小比類巻を演じるのは2年ぶりになります。さきほど撮影現場や作品そのものの変化について伺いましたが、キャラクターを演じるうえでの変化は感じていらっしゃいますか?

ディーン:彼がどういうキャラクターで、かつどういうシチュエーションで、どんな発言をし、どんな行動をとるのか。どんな選択をし、どのように生きていくのかを見るのは、僕自身も一視聴者として楽しみな面でもあります。

これまでの小比類巻も含め、今回のSeason3でも、羽住組だからこそ成立する設定のなかで、また彼の新しい一面が見られるかもしれない。それは新しい科学技術においても言えることです。それによって犠牲者が生まれることもあれば、救われることもある。

小比類巻は、そんな世界と折り合いをつけていくための、いわば触媒のような存在なんじゃないかと。変わらない面もあれば、新しい面もある。次にどんなことが起こったら、彼はどんな反応を示すんだろうか……と想像していると、飽きることがありません。キャラクターによって価値観や善悪の基準も違いますし、そこからまた影響を受けて、彼も進化をしている。いやあ、本当にすごい物語だな、と思います。

▶︎本記事の画像を全て見る

――科学犯罪対策室のチームが好きだというファンの方も多いですが、Season3でも皆さんの空気感は健在ですか?

ディーン:とにかく、ずっとコミュニケーションしてますね。Season1の初日に集まってからこれまで、ずっと運命が定まっていたようにも思えるくらい。集まっていると、会話が途切れることがないんです。熱意を持ってものづくりをする方々が集まっていたから、新キャストの方も居心地悪くはなかったんじゃないかな。

時折、長谷部を演じるユースケ(・サンタマリア)さんの勢いが止まらなくなっちゃうことはありますけど(笑)。それでも皆さん、やるときはやる、余白を楽しむときは楽しむ。お互いのリスペクトが根底にある、良いバランス感が保たれた現場だったと思います。

――『パンドラの果実』は、激しいアクションシーンも見どころの一つかと思います。Season3ではどんなアクションに注目してほしいですか?

ディーン:注目してほしいところ、とは少し違ってしまうかもしれないんですが、柔道着を身につけて、全面板張りの剣道場のような場所で、寒いなかアクションをしたんです。ちょっと身体が痛かったですね(笑)。思わず子どものころを思い出してしまいました。

――子どもの頃に、柔道をされていたんですか?

ディーン:なんか子どものころって、寒いなかで無理させられてませんでしたか? 子どもは風の子というか「子どもだから平気だろう!」みたいな感じで、薄着で遊ばせられるような。いま振り返ると、あの時間はなんだったんだろう、と思いますよね。ちょっと当時を思い出してしまうほどの寒さだったんです。すみません、あまり本編に関係なくて(笑)。

ディーンの身に起こった“怪事件”!?

▶︎本記事の画像を全て見る

――Season3でも次々と怪事件が起こると思うのですが、ディーンさん自身の身のまわりで最近起こった怪事件はありますか?


ディーン:そうですね……あ! そういえばこの前、自宅で映像作品を観ていたら、突然ソファの下から変な音が鳴ったんですよ。押すと音が鳴るおもちゃのような、すごく甲高い音で。あれは一体何だったんだろうな……っていうのを、パッと思い出しました。

――それは、いまでも発生源は特定できていないんですか?

ディーン:そうなんですよ。あれは何だったんだろうな、といまでも不思議に思っています。子どものおもちゃだったのか、もしくは通気口とか……。この謎も、科学が進歩すれば解決できるかもしれませんね。

▶︎本記事の画像を全て見る

――思っていた以上の怪事件で、驚いてしまいました。確かに、このペースで科学が進歩していけば、謎の音の発生源も突き止められるかもしれません。ディーンさんは、科学技術はもちろん、生成AIなど「変化の速い世の中」をどう見ていらっしゃいますか?

ディーン:必ずしも「変化=進化」ではないですよね。テクノロジーは常に前進し続けるもので、止まることはできない。それなら人類は、技術と向き合い、上手く活用する方法を模索し続けるしかないと思います。

それゆえに『パンドラの果実』のような物語が必要なんじゃないでしょうか。あくまでもフィクションストーリーですが、一つのメタファーとして、科学技術に対する人類の選択を擬似体験できる。それが、変化の早い現代におけるストーリーテリングの魅力であり、存在意義なのだと思います。

今後も『パンドラの果実』が続いていくことで、観てくださる方にたくさんの気づきと、きっかけを提供できると信じています。

(撮影=渡会春加/取材・文=北村有)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

©中村啓・光文社/HJ ホールディングス

RANKING

SPONSORD

PICK UP!