続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年08月05日

「虎に翼」気持ちの切り替えが早く、やけに積極的な航一(岡田将生)<第91回>

「虎に翼」気持ちの切り替えが早く、やけに積極的な航一(岡田将生)<第91回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第91回を紐解いていく。

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お家で麻雀

戦前に作られた総力戦研究所にいた航一(岡田将生)が、その過去を引きずっていたことを明かしました。

ライトハウスの前でしばししゃがんで咽び泣いていた航一に、寅子(伊藤沙莉)が寄り添います。

落ち着いた航一は気持ちを切り替え、今度の休みに家に行ってもいいかと切り出します。麻雀を教えてくれるというのです。しばし寄り添ってくれたお礼でしょうか。

店内に戻ると今度は入倉(岡部ひろき)が泣きだしました。「俺ってほんとに人を見る目がない」と。
航一のことは「つまらなくて退屈な人とばかり」
寅子のことは「小うるさいクソ婆」
でも、寅子は怒らず、私も「差別主義者のクソ小僧」と思っていたと、お互い、他者を表面的にしか見ていなかったことを反省し、もっと偏見をなくして内面を知っていくようにしようと提案するのです。

戦争体験の重さを引きずらず、サクッとカラッと切り替えて先に進む人たち。といって、悩みがなくなったわけではなくて、抱え続けるけれど、生きていかなくてはいけないのです。だから気持ちの切り替えが大事なのだと思います。

そして、日曜、航一がお菓子をお土産にやって来ます。稲(田中真弓)はライトハウスの常連さんとでかける約束をしたそうで、彼女もまた新しい拠り所が増えたようです。
ということで、優未(竹澤咲子)も家にいることになります。
3人はまずそれぞれの家族の写真を見せ合います。それが礼儀という感じです。やましいことはありませんという感じ。
優未が優三(仲野太賀)の写真を、航一は亡き妻と子ども2人の写真を。
航一の上の子は大学生だそうです。岡田将生さん、大学生のお父さんには見えないですがそれこそ人は見かけによらないということです。

と、そこへ杉田兄弟(高橋克己、田口浩正)がニヤニヤしながらやってきます。年をとっても男女が2人っきりだと狭い世界、どんな噂になるかわからないと心配してのこと(単なる冷やかしでしょう)、一緒に麻雀をはじめます。まあ、4人集まって実践できて何よりではないでしょうか。

寅子は表情に感情が出ると注意されます。もしかして麻雀を通して、感情を表情に出さない訓練ができるようになってそれが裁判に生かされるのではないでしょうか。
土台を作るために来た新潟、寅子は、他者を偏見の目で見ないようにすること、表情を顔に出さないことなどを着々と身につけているようです。

帰りに航一はまた来ますと言います。なぜそんなに積極的?

優未は、航一が寅子のことが好きなのかなと言いだします。寅子は気を使って、優未が嫌なことはしないと言いますが、私のせいにはしないでと返されます。その口ぶりが
花江(森田望智)はる(石田ゆり子)のように寅子は感じます。
寅子は確かに、自我が強いようで、他者のために動いているふうだったり、自分の感情に気づいてないふうだったりします。航一に対しても、グイグイ積極的にはたからは見えますが、当人は思わせぶりな言動をしているだけで、意思表示をはっきりはしていません。毎回、航一が積極的に誘っているのです。

優未は花江やはるに育てられているから、寅子よりも花江たちの考え方に似ているのでしょう。寅子に頼ったり甘えたりするよりも寅子に客観的に批評する目線を向けるのです。

ついでに言えば、残念ながら優三のことは記憶にないでしょうから、寅子に好きな男性ができても、優三がいるのに、とは思わないのではないかという気がします。

休日明け、早速、深田(遠山俊也)が寅子にニヤニヤして、高瀬(望月歩)小野(堺小春)もいい感じであると伝えます。「も」というのが意味深。
そこへまた杉田兄弟が割って入って来て、美佐江(片岡凛)が関わっているらしき由々しき事件を伝えて、風のように去っていきます。
くれぐれも噂を広げないようにと釘を刺していきますが、この街の人たちの口は信用できません。

第19週のサブタイトルは「悪女の賢者ぶり?」(演出:梛川善郎)で、悪女とは美佐江のことでしょうか。


(文:木俣冬)

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