続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年08月27日

「虎に翼」ギスギスする星家、寅子は航一に魔法をかける<第107回>

「虎に翼」ギスギスする星家、寅子は航一に魔法をかける<第107回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第107回を紐解いていく。

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俳優たちの顔芸

「顔芸」という表現が浸透したのは「半沢直樹」だと思いますが、俳優の表情筋の動かし方の豊かさを褒めるときに使用します。
「虎に翼」第107回では、俳優たちのいわゆる「顔芸」に注目してみましょう。

まず、岡田将生さんです。冒頭、岡田さん演じる航一がひとりでお酒を飲んでいるところに寅子(伊藤沙莉)が現れます。お風呂に入ろうとする寅子を引き止めて航一は話しはじめます。星家の子供たちとの溝が埋まらないことに悩んでいるのです。
寅子は明るく「ちちんぷいぷい」と欲張りで気の大きくなる魔法をかけ、お風呂に向かいます。
残った航一は、ちょっとホッとしたような顔になります。
「ちちんぷいぷい はあ」でお酒を一口飲み、「ふう ホッ」としたときの表情に注目です。
泣き笑いみたいな顔になっています。ものすごく悩みを溜めてきていて、でも出せずに無表情と「なるほど」しか言えなくて。でも寅子はスルーしないで、しかも余計なことを言わないで、ふっと心を和らげる言動をしてくれたおかげで、固まった表情が崩れるのです。

寅子、優三さん(仲野太賀)のときは変顔でした(これぞ「顔芸」でした)が、同じことはしないで、航一用に励まし方をカスタマイズしています。

次に花江(森田望智)です。優未(毎田暖乃)の入学式に出席したあと、寅子は猪爪家に立ち寄ります。花江は直明(三山凌輝)妻・玲美(菊池和澄)が、料理の味を確認しないと愚痴ります。花江がこの家に入ったとき、味の違いが嫁姑問題になりました。が、今回は味をそもそも聞かないことが花江には不満なのです(寅子が「家族のような」をやってますが、ここでも「嫁・姑のような」と「ような」になっていて、どこもかしこも「ような」な生活です)。

思えば、花江は長男の妻で、玲美は次男の妻です。長男が亡くなって家は次男のものになっているはずですから、いまや玲美のほうが猪爪家の中心のイメージ。だからこそ、花江からレシピを引き継ぐ義務があるとも思いますし、新しく刷新するのもありでしょう。
でも、花江はもやもや。このときの顔を微妙に左右に動かし、じれている気持ちを森田さんはユーモラスに表現していました。

次は、寅子と花江の話を奥の部屋で、寝そべって聞いていた直治(今井悠貴)です。彼はいつも亡父・直道(上川周作)ふうに振る舞っています。あごに力をいれ粘りっけのあるしゃべり方が直道を思わせます。

そして、寅子は直明の頼みで、彼の生徒のための法律の勉強会に参加します。
そこに一緒に来たのが、小橋(名村辰)稲垣(松川尚瑠輝)です。小橋のちょっと口を尖らせたように小憎らしい表情は最初のうちはいらっとしましたが、ピンとあがった前髪と共にいまやすっかりクセになってしまいました。

さて、勉強会では、最近の民事事件の判例として寅子があげた、バスの乗車の際に怪我人が出た事件で、その車掌が女性であったことに、男子生徒のひとりが、女性は働かなくていいのだから得だと言い出します。戦後10年、いまだにそんな偏見が存在していることに寅子は
驚きますが、小橋が「わかる」と言い出して……。明日は久しぶりに小橋の小憎らしさが炸裂するのでしょうか?


(文:木俣冬)

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