<虎に翼・再婚編 >20週~22週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。
CINEMAS+ではライター・木俣冬による連載「続・朝ドライフ」で毎回感想を記しているが、本記事では、東京地裁の裁判官となった寅子が、星航一とやその家族との関係を深めていく第20週~22週の記事を集約。1記事で感想を読むことができる。
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もくじ
第96回のレビュー
寅子(伊藤沙莉)は航一(岡田将生)と「永遠を誓わない愛を試してみることにしました」と優未(竹澤咲子)に報告します。「正式におつきあい……」と言いかけて「永遠を誓わない愛」と言い直しているので、この馴染みのない、寅子と航一、独自の関わり方のネーミングはスタイルの実践を目的としたものではなく、あくまで優未に気を使った便宜なのかもしれないとも思えます。
優未は「心配しないで、もうお母さんになんでも言えるから」と素直で、寅子を喜ばせます。寅子との溝は埋まったようです。
3人は海に行き、寅子は、「『ニコッ』じゃないのよ」と言いながら、浜辺で座っている航一を一緒に波打ち際に連れ出します。
「なるほど」「こういう場面でも溝を埋めてくるのだなと」と航一はひとりナットクしています。航一は初婚のとき、どんな感じだったのか。そして遺された子供たちとはどうやって接していたのか。
「はて」「溝を埋める」「永遠を誓わない愛」「なるほど」「ニコッ」……自分たちなりのぎこちない言葉を用いながらなんとかコミュニケーションをとろうとする不器用な人たちのつながりは、そのまま3年が過ぎ、
第20週「稼ぎ男に繰り女?」(演出:梛川善郎)は1955年にときが進みます。
寅子と航一はたまたま一緒に東京に戻ることになりました。1955年といえば、明石家さんま、桑田佳祐、堤幸彦、野田秀樹など、才能のあるクリエイターたちが生まれた年です。こういう言葉でいいかわかりませんが豊作〜。
新潟の人たちにあたたかく見送られる寅子。稲(田中真弓)はナレ死し、
入倉(岡部ひろき)はライトハウスのどこかから急に飛び出してきて「いたの?」と驚かれながら寅子に挨拶し、成長した優未(毎田暖乃)は「はて?」を使うようになっています。
3年ぶりの登戸。寅子も花江(森田望智)も髪型が変わりました。台所は屋内になり、電気洗濯機も導入されました。
直治(今井悠貴)はジャズに夢中。「おれにはわかっていたよ」とお父さんの口調にも似ています。
豊かな生活を満喫しているかと思いきや、直明(三山凌輝)は結婚してこの家で同居したいと考えていて、花江と意見が対立し、険悪になっていました。
姑みたいな義理の姉と同居したい嫁はこの世に存在しないと、花江は自分の存在を心配しているのです。結婚したばかりの頃、はる(石田ゆり子)と
うまくいかなかったことをいまだに覚えていました。
「結婚はひとつの選択肢にすぎない」と考える寅子に対して、花江は「結婚は幸せの終着点で絶対条件」と確信しています。
幸せや生活にはいろいろな形があることを提案したいがために、寅子と航一はサルトルとボーヴォワールのような自由恋愛みたいなスタイルをとり、直明は結婚しても猪爪家で義姉家族と同居したいと考える人物になっているようですが、そもそも花江は、夫が亡くなったあと、何年経ってもこの家にいられるのは、たまたま寅子が家計を担ってくれたからであり、
それはそれでいいとはいえ、自分で働こうとしないことに、とても不思議な気持ちになります。
「結婚は幸せの終着点で絶対条件」という考えが彼女を縛っているのでしょうか。
寅子はたまたま転勤があったとはいえ、そうでなければ家にいて、直明も戦争のトラウマで家を大事にしていて……と猪爪家は自分から実家を出ようとする人がいません。結婚や独立など一般例の逆張りになっていて、それが痛快でもあり、違和感でもあります。
優未が成長して、毎田暖乃さんになりました。「おちょやん」のヒロイン・千代の子供時代を演じた毎田さん。千代はエネルギッシュでバイタリティにあふれていましたが、優未は竹澤咲子さんを受け継いで、控えめででも敏い感じが良く出ていました。これからの優未の活躍に期待します。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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