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金曜映画ナビ

静けさの中に息づく家族——小津安二郎、晩年カラー四部作をめぐる旅

小津安二郎の映画は、大事件が起きない。けれど、気づけば胸の奥で何かがほどけ、静かな余韻が長く残る。畳目の高さに据えられたカメラ、画面の隅に置かれた急須や赤い小物、交わされる挨拶と言葉の反復——それらが積み重なって、家族の機微と時代の空気をそ...
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「地上300mの心拍数」——超高層で起きる“最悪”を描いた3本

地上から見上げれば、超高層は文明の誇り。けれども、ひとたび異常が起きれば、その高さは逃げ場のない“縦のダンジョン”に変わる。今回の「金曜映画ナビ」は、摩天楼を舞台にした名作・異色作を3本ピックアップ。超高層火災パニックの金字塔『タワーリング...
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ハロウィンに観る“トラウマ級”ホラー5選──今こそ再発見したい、血と笑いと不気味の傑作たち

今年のハロウィン、なに観ようかと迷っている人にこそ贈りたい。ゾッとするのに笑ってしまう、笑ったのに忘れられない、そんな“クセになるホラー映画”がある。今回は、観る者の心に深く刻み込まれるような“トラウマ級”恐怖を与えてくれる5本を厳選。テー...
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可憐は時を超える——岡田奈々が咲く「魅せられた美女」「白い乳房の美女」

昭和のテレビミステリーにおいて、「江戸川乱歩の美女シリーズ」は別格の存在だ。艶美と怪奇、ロマンとサスペンス。天知茂が明智小五郎に扮し、各回ごとに“美女”が物語の香りを決定づける。なかでも1980年『魅せられた美女』、81年『白い乳房の美女』...
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没後20年・名匠の素顔:野村芳太郎が描いた喜劇と哀愁の三作品

戦後の日本映画を支えた巨匠・野村芳太郎。没後20年を迎えた今、その作品世界を再発見する動きが活発化している。骨太な社会派サスペンスの名手として知られる一方で、風刺に富んだ喜劇や家庭劇にも果敢に挑戦した野村監督の振り幅の広さは、日本映画界でも...
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没後二十年、野村芳太郎が射抜いた“社会”の影

野村芳太郎のサスペンスは、犯人当てよりも“人間の温度”で観客を動かす。取調室の沈黙、手術室の擦過音、東京湾の夜景、港に漂う潮気——そこに宿るのは、正義や善悪の単純な線引きではなく、制度と私情の隙間で軋む音だ。没後二十年、四本の初・中期作を辿...
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“池波正太郎”が誘う――闇に潜む義と掟を映画で観る

秋は、しっとりとした時間に物語の世界へ没入するのが似合う季節だ。先週の司馬遼太郎特集に続き、今週は“司馬と双璧”と称される歴史・時代小説の名匠 池波正太郎 に焦点を当てたい。『鬼平犯科帳』『雲霧仁左衛門』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』……...
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秋は“司馬遼太郎”が似合う――映画が映す、幕末の矜持とタブー

秋の入口、物語に背を押される夜が増えてきました――たまには“観て感じる”文学の秋はいかがでしょう。今回は、司馬遼太郎の代表的モチーフ〈幕末〉を、映画というレンズで横断。合理主義と武士の矛盾を凝視する『峠 最後のサムライ』、新選組を疾走のドラ...
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指揮棒がつなぐ絆、恋がほどく偏見。『ファンファーレ!ふたつの音』公開記念・パリ映画特集

世界的指揮者と、生き別れの弟。再会が生んだ“人生の合奏”が、北フランスの小さな町を変えていく——。音楽が絆を照らす感動作『ファンファーレ!ふたつの音』が本日公開。恋と再起、そして“人が人を変える力”を描くパリ映画を3本セレクト。軽やかなユー...
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凍てつく名画、灼ける残暑——“雪”で体感温度−3℃の三本

まだ残暑厳しい日が続いていますが、目だけでも涼ませていきませんか。雪は温度を下げるだけでなく、音を吸い込み、時間をゆっくりにします。白さに包まれた画面は、物語の熱を引き締め、俳優の呼吸を研ぎ澄ます。今回は“雪景色”が主役の三作を、公開年順に...