『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!

久しぶりにハチャメチャやった!
『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)

(C)EL DESEO D.A.S.L.U. M-39978-2012 

マドリッドからメキシコ・シティに向かっていた旅客機がトラブルに見舞われ、着陸できずに空を旋回し続ける事態に陥ってしまいました。

そんな機内のビジネスクラスにはさまざまなクセモノたちが乗っています。

不祥事で高飛びしようとしている銀行頭取(ホゼ・ルイス・トリーホ)、落ち目の俳優(ギレルモ・トレド)と情緒不安定な愛人(パス・ベガ)と元交際相手(ブランカ・スアレス)、伝説のSM女王(セシリア・ロス)、アラフォー処女の予言者(ロラ・ドゥエニャス)、……。

当然ながら機内はパニック状態に陥っていくわけですが、それを収めようとゲイのCA3人組、ホセラ(ハビエル・カマラ)&ファハス(カルロス・アレセス)&ウジョア(ラウル・アレバロ)は得意のダンスを披露するも、事態は悪化していくばかり!?

さらにはホセラと愛人関係にある機長アレックス(アントニオ・デ・ラ・トーレ)は、この緊急事態の折に今後の関係性をどうするのか問い詰められて……!

本作『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)は、数々の受賞歴などで巨匠として讃えられるようになったアルモドバル監督が、そういった栄誉などどこ吹く風とばかりに、久々に原点回帰して飛行機の中という閉塞空間の中で徹底してオバカでお下品な集団コメディを楽しく披露してくれています。

アルモドバル映画のミューズのひとりセシリア・ロスも出演しており、またアントニオ・バンデラスやペネロペ・クルスなどの常連もカメオ出演といった賑やかさ。

もう最初から最後までハチャメチャで、公開時もアカデミー賞監督といった目でしかアルモドバル映画を見たことのないシネフィル連をあきれさせたりもしましたが、古くから彼の映画に精通していたファンはニンマリといった風情もまた痛快ではありました。

もちろん今回の3作品もまた、アルモドバル映画の一面にすぎません。

『ペイン・アンド・グローリー』の公開を機に、彼のこれまでの作品群にも触れながら、アナーキーな快感とその奥から滲み出る人間愛に思う存分浸ってみてください!

(文:増當竜也)

他の記事も読む
映画の配信情報をチェック!
                  

ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

ピックアップ

新着記事

WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com