【やっぱり怖い!】人形が出てくるホラー映画5選

今年、2019年は例年以上にホラー映画が多く公開され、マニアの懐まで恐ろしい状態にさせて久しいものがありますが、中でも人形をモチーフとしたホラー映画が異様に目立っているのもひとつの特徴かなと思わせるものがあります。

ご存知、殺人人形チャッキー君を家庭用AIロボットとして生まれ変わらせたリブート版『チャイルド・プレイ』。

 ©2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. CHILDS PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.

一度見たら二度と忘れられないインパクトを持つ実在の呪われた人形アナベルを題材にした『死霊館』シリーズ最新第3弾『アナベル 死霊博物館』が9月20日より公開。

© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

他にもフィリピン初の『生き人形マリア』や『ゴーストランドの惨劇』、10月には何と30年以上も続くシリーズの最新作『パペット・マスター』が「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」で上映されます。

幼いころから愛着のある、いわば友達のような人形(『トイ・ストーリー』シリーズなんて、そういった趣旨で作られた人気CGアニメ映画シリーズなわけですけど)、というスタンスを逆手にとって、もしもそういった人形が襲いかかってきたら?

そもそも昼間は可愛らしく部屋の中に置かれている人形も、深夜にふと見ると妙に怖かったりするものです……。

というわけで、今回は個人的に愛してやまない人形ホラーを5本ご紹介!
(先に挙げた『チャイルド・プレイ』『死霊館』『パペット・マスター』各シリーズは有名作なので、今回あえて外しときます。ウイキペディアあたりですぐ調べられますから)

“不思議の屋敷”の中で
人形たちが蠢く『ドールズ』(87)

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世代的に人形ホラー映画と聞かれてすぐに思いつくのは、『チャイルド・プレイ』と『ドールズ』です。

少女ジュディは両親と旅行中に嵐に遭い、老夫婦の住む古屋敷に避難しました。

屋敷の中はジュディ同様に嵐を逃れて避難してきた客人たちと、老夫婦が趣味で作っている人形でいっぱい。

やがて(ご想像通りに!)人形は人々に襲いかかっていくのです……!

可愛いものからそうでないものまで、さまざまな個性を持った人形たちがチョコマカ動き回る、不気味ながらもどこか魅惑的な世界観。

また人形が襲うのが悪人ばかりというところも、まるで必殺仕事人みたいで、いつしか彼ら彼女らを応援したくなってくる!?

監督は『ZOMBIO 死霊のしたたり』(85)『ロボ・ジョックス』(90)など80年代後半から90年代前半いかけてファンタスティック映画の旗手として世界的にマニアックな人気を博したスチュアート・ゴードンですが、彼流の『不思議の国のアリス』的情緒はもっと評価されてしかるべきものがあるでしょう。

腹話術人形がもたらす恐怖
『デッド・サイレンス』(07)

デッド・サイレンス (字幕版)

腹話術人形も人形ホラー映画の定番といえます。

その大方は腹話術師が所有する人形が良からぬことをしでかすというのがパターンではありますね(その部類ではリチャード・アッテンボロー監督、アンソニー・ホプキンス主演の79年度作品『マジック』を断然推します)。

でも『デッド・サイレンス』はちょっと趣向が異なります。

ある日妻を惨殺され、警察から疑いの目をかけられた男が、事件の直前に届けられた差出人不明の腹話術人形を見た同郷の妻が奇妙な詩を口にしたことを思い出し、謎を解くべく故郷へ赴くのですが……。

『ソウ』シリーズ(04~10)で一躍その名を世界に轟かせたジェームズ・ワン監督が勢いに乗って原案・監督を務めた意欲作でもあった本作は、ジャンルとしてサスペンスなのかオカルトなのかダーク・ファンタジーなのか、それを記しただけでネタばれになる危険もあるほどですが、衝撃のラストに至るまで息もつかせぬオモシロ怖さ!

今に至るジェームズ・ワン監督の力量が本物であったことを十分ここで伺い知ることができるでしょう。

人形の恐怖を描出した
『ポルターガイスト』(82)

ポルターガイスト (字幕版)

人形を主体としたものではありませんが、劇中での人形の扱いの上手さに背筋を凍らせるスグレモノの映画の筆頭として『ポルターガイスト』を挙げておきます。

郊外に家を買ったごく普通のファミリー。しかし、その家には悪霊が棲みついていて、幼い娘キャロル・アンを霊界へと連れて行き、両親は霊媒師の力を借りて決死の救助を試みます。

ドラマの前半、まだ不穏なことが本格的に始まる前、長男が深夜の寝室に置かれたピエロの人形に恐怖するという秀逸なシーンがありました。

突如鳴り響く雷の光と、それを受けてまぶしく映えるピエロの人形が、子どもならではの深夜に人形がうごめいているかのように錯覚してしまう怯えを見事に描出しています。
(このピエロ人形、クライマックスでも再び登場しますが、これ以上は言わぬが花か)

本作はもともとスティーヴン・スピルバーグが監督する予定でしたが(脚本も彼の手によるもの)、『E.T.』(82)と演出時期がバッティングしてしまったことで、敬愛する『悪魔のいけにえ』(74)などのキング・オブ・ホラーことトビー・フーパーに演出を委ねたものの、撮影中の大半は現場に顔を出していたとのこと。

おかげで、実際の演出はフーパーではなくスピルバーグがやっていたのではないか? などと当時は映画ファンから疑われるほどではありましたが、私自身は両者の資質が見事にドッキングすることで、諸所の恐怖がエモーショナルに映えた傑作だと確信しています。

予想を裏切る展開が妙味!
『ザ・ボーイ』(15)

ザ・ボーイ 人形少年の館(字幕版)

ここ数年の人形ホラー映画の中で、ホラー映画ファンの間で賛否も含めてしばし話題に上るのが『ザ・ボーイ~人形少年の謎~』です。

過去を捨てるべくイギリスに赴いたアメリカ人のグレタは、老夫婦と一緒に生活している8歳の少年ブラームスの世話を破格の高報酬で引き受けることになりました。

しかしこのブラームス君、何と人間ではなく等身大の男の子の人形だったのです!?

彼を本当の息子のように可愛がっている老夫婦は、その世話をするに際して決して破ってはいけない10のルールをグレタに伝えますが、老夫婦が旅行に出かけた後、彼女がうっかりそのルールを破ってしまい……。

と、ここまで記すとルールを破ったことでブラームスがチャッキー君よろしく殺人人形と化して人に襲いかかる! みたいなことを想像する方が大多数でしょうが……これが違うのです。

では一体何が始まるのかというと……それはもう教えるわけにはいかないので、ご自身の目でしかとお確かめくださいませ!(いや、これがもうかなり目を大きくさせられます。もっとも、そこが賛否の分かれ目なのですけど……)

グレタを演じるローレン・コーハンはTV『ウォーキング・デッド」マギー役で知られていますが、ここでは強い女性のイメージの奥に見え隠れする心の弱さや母性みたいなものまで忍ばせる好演。

監督はウィリアム・ブレント・ベル。日本では『ウェア―破滅―』(13)が日本公開されていますが、この名前、後々のために覚えといてもいいかもしれませんね。

呪いの粘土が人を襲う
『血を吸う粘土』(17)

血を吸う粘土

最後に日本映画『血を吸う粘土』もご紹介。

かつて造形作家の工房だった山奥の建物が、今は美大進学を目指す若者たちの実践予備校として活用されています。

東京からやってきた香織は、ある日倉庫のビニール袋で保管されていた水粘土の粉を見つけ、普通に水をかけて粘土に戻して制作を始めました。

しかし、その粘土こそは、無残な死を遂げた彫刻家の怨念がこめられた悪魔の粘土“カカメ”だったのです……!

ここでは人形ホラーというよりも、粘土が予備校生たちに襲いかかっては、彼ら彼女らの身体を取り込みながら粘土人形としての像を形ち作っていくという恐怖が、特殊メイクアーティスト出身の梅沢壮一監督ならではのシュールな特殊メイクの手腕によって、不気味でグロテスクながらもどこかユニークに描出されていきます。

何せ粘土ですから、どんな形にもなれるという利点もあり、またそんなカカメが生徒に襲いかかり、その体内に入り込みながら浸食していく描写も秀逸。

ホラーというジャンルはたとえ低予算でもアイデアと作る側の意気があれば面白いものを作れるという定説をまた新たに裏付けてくれるに足る1本。

現に本作は2017年8月に「第4回夏のホラー秘宝まつり2017」でお披露目され、9月には第42回トロント国際映画祭でミッドナイト・マッドネスクロージング作品に選出。その後国の内外で公開されて、高い評価を得ました。

そして今年10月に開催される「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019」にて、梅沢監督のメガホンによる続編『血を吸う粘土~派生』の上映が決定! こちらも大いに期待したいものです。

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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