『IT』も『ジョーカー』も真っ青のピエロのゴア復讐劇『道化死てるぜ!』

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2019年11月1日より『IT イットTHE END“それ”が見えたら終わり』が公開となります。

27年に一度子どもたちをさらう“IT”の恐怖から生き延びた少年少女らが27年経って大人になり、再び味わう恐怖と衝撃の真実を描いたスティーブン・キング原作のホラー映画2部作の完結編。

「IT」といえば、何といっても道化師(ピエロ)のいでたちをした悪魔ペニーワイズが有名ですが、現在大ヒット中の『ジョーカー』の主人公もピエロのメイクを施して悪の道へ突き進んでいきます。

サーカスやハンバーガーショップなどで愛くるしさをふりまくピエロではありますが、一方ではどこかしら不気味に映える瞬間もあり、トビー・フーパー監督の『ポルターガイスト』でも深夜の雷を浴びるピエロ人形に恐怖する子どもの心理などが巧みに描かれていました。

実際に日頃ピエロの扮装をして子どもたちを楽しませていた猟奇連続殺人鬼ジョン・ゲイシーもいたとのことで(『IT』の原作小説にしても、彼をモデルに描かれた節があります)、そうこう考えるとやはりピエロってどこかしらトラウマを抱かせる怖いもの……(などと書くと、ピエロを職業に頑張っている人たちに申し訳ない限りですけど)。

というわけで、今回は『IT』同様、ピエロを題材にした2012年のアイルランド製ホラー映画を紹介したいと思います(つまりはアイルランドでも、ピエロってどこかしら怖い対象にされているのですかね!?)。

その名も『道化死てるぜ!』……って、何ちゅう邦題じゃ!(ちなみに原題は“STITCHES”です)

©Fantastic Films / Tailored Films 2012 

子どもたちのいたずらで死んだ
ピエロが地獄から蘇る!

子どもたちの誕生パーティなどにピエロとして登場する仕事に従事ているリチャードは、相も変わらずワンパターンで退屈な日々にうんざり気味。

そんなある日、内気なトミー少年の誕生パーティに呼ばれた彼は、その芸をつまらなく思う子どもたちから邪魔され、やがてそれがエスカレートして、ついには不慮の事故で彼の顔にナイフが刺さり、絶命してしまいました……。

それから6年後、トミーの16歳の誕生パーティの日、そこに何とかつてリチャードが扮装していたのと同じピエロが現れ、かつてその場に居合わせた若者たちをひとり、またひとりと残虐かつ実にクリエイテイヴな方法で惨殺していきます。

トミーだけは犯人がリチャードだと気付いたようですが、さすがに他の仲間たちは信じようとはしません。

果たしてトミーは、地獄から蘇ったリチャードの復讐を止めることができるのか……?

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恐怖を通り越して
もはや笑いの域!?

開巻まもなくして、悪ガキどもの大人に対する小憎らしくも不快ないたずらにイライラさせられますが(もっともそれ以前にリチャードがいかにもつまらなさそうに芸を披露しているので、彼自身をあまり擁護する気にもならないのですけど)、そのお返しとしての復讐劇はサスペンスもへったくれもない、ひたすら残忍極まるもの。

要するに本作、スラッシャー・ムービーとしての体裁をとり、いかにグロテスクな方法で少年たちを殺していくかというゴア・ゴア・テクニックにこそ焦点が当てられていますので、その手のものが苦手な方は避けたほうが賢明。しかし大好きな方はすこぶる楽しめること間違いなし。

本作の監督は『ミート・オブ・ザ・デッド』で知られるアイルランド出身のコナー・マクマホン。

ファンタスティック映画祭のメッカでもあるスペインのシッチェス映画祭でグランプリを受賞していますが、レイテイングがR18+という点からも、その残酷描写などある程度はご想像つくのではないでしょうか?

でも、それらはなかなかアイデアの限りを尽くしたキテレツなものばかりで、血まみれ描写なんて当たり前、殺しの方法ひとつひとつが恐怖を通り越して、それこそ「どうかしてるぜ!」と呆れつつも笑ってしまうほどのものなので、いわばブラック・コメディ感覚で接するのが一番まっとうな鑑賞方法ではあるでしょう。

R18+ということを抜きにしても、まかり間違って子どもたちに見せたら後々トラウマになること必至なので、くれぐれも取り扱いにはご注意を!

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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