『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』を見て、自分の恋愛観をチェックしてみよう!

新型コロナウイルスの世界的大流行によって現在新作映画が次々と公開延期となっています。

グレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ~私の若草物語~』もその1本で、本来なら3月27日より公開予定でしたが、急遽初夏に延期となりました。ご存じ『若草物語』をガーウィグ監督ならではの現代的目線で瑞々しくも逞しく捉えた女性讃歌、これは老若男女問わずにぜひ見ていただきたい逸品です。

そんなグレタ・ガーウィグですが、もともとは『フランシス・ハ』(12)の脚本・出演で注目され、その後も『ミストレス・アメリカ』(15)では製作・脚本・出演、そして『レディ・バード』(17)で初監督(&脚本)に挑戦し、その才能を一層大きく開花させていったというキャリアの持ち主です。

今回は彼女が主演した2015年度作品『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』をご紹介したいと思います。

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ メイン

(C)2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved.

女と男と女、
ちょっと不思議な三角関係

本作はニューヨークを舞台に繰り広げられる、ちょっと不思議な三角関係のロマンティック・コメディです。

アート関係の仕事に携わりつつ大学でデザインを学ぶギー・ハーデン(グレタ・ガーウィグ)は、恋愛下手ゆえに結婚をあきらめ、いっそ人工授精で子どもを産んでシングルマザーになろうとしているアラサー女性です。

そんな彼女でしたが、あるとき大学で文化人類学者のジョン(イーサン・ホーク)と知り合いになり、彼が書く小説に魅せられていきます。

ジョンにはコロンビア大学で教鞭をとるジョーゼット(ジュリアン・ムーア)という妻がいますが、仕事一筋で家庭を顧みようとしない彼女にうんざりしていました。

まもなくしてジョンはジョーゼットと別れる決意をし、マギーと再婚。

そして3年後、ジョンの連れ子ふたりに加えて新たに娘リリーも授かり、マギーは一見幸せそうに暮らしていました。

しかし、その実は子育てとジョンのサポートに明け暮れて、自分の仕事が後回しになっている現状に悩み始めています。

そんな折、マギーは思いがけずジョーゼットと親しくなり、彼女の人間性に惹かれるとともにまだジョンのことを想っていることを察します。

やはりジョンとジョーゼットこそが一番お似合いの夫婦なのではないか……。

やがてマギーはある決断に出るのでした……。

ヒロインのような決断を
人は下すことができる?

見る人それぞれの人生観や恋愛観によって、かなり評価が分かれる作品ではないかと思われます。

総じてなかなか大人になりきれない女と男のリアリティは、それゆえに共感も反感も生むかもしれません。

男の立場からするとイーサン・ホーク扮するジョンの優柔不断さや身勝手さにイライラさせられるところも正直ありますが、それも実は他人事に思えないから、といった理由もあるのかもしれません。

また、果たして本作のヒロインのような決断を最終的に人は下すことができるのか、も大いに納得できる人とできない人とはっきり二分することでしょうが、本作のユニークなところはこのように見る人それぞれにわが身を振り返らせるところにあるのかもしれません。

また決してシリアスなテイストに陥ることなく、あくまでもロマンティック・コメディとしての演出がなされていることも評価すべきでしょう。

監督のレベッカ・ミラーは俳優から映画監督へ転身して『50歳の恋愛白書』(09)などの秀作を発表しているという点でグレタ・ガーウィグの先輩にあたり、演出と演技の呼吸が見事になされていると思われます。

また撮影監督のサム・レヴィは『フランシス・ハ』『ミストレス・アメリカ』『レディ・バード』とグレタ・ガーウィグが絡んだ作品を多く担当しており、同じく息の合ったキャメラワークがなされています。

子役の可愛らしさなども相まって、見終えてどことなく微笑ましい気分にもなれる作品かと思われます。

ぜひ自分の恋愛観を確認する意味でも、ご覧になって見てください。

(文:増當竜也)

他の記事も読む
映画の配信情報をチェック!
                  

ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

ピックアップ

新着記事

WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com