映画コラム

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2018年06月19日

呪いを解いて、最高の自分になる。ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』から学ぶ3つのヒント

呪いを解いて、最高の自分になる。ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』から学ぶ3つのヒント

プリンセスと魔法のキス [DVD]



叶えたい夢はあって、夢を持ってる自分も別に嫌いじゃない。でもやっぱり諦めて楽になりたい瞬間だってある。頭の中でいろんな自分が顔を出して、ちょっぴりお疲れモード。そんな時におすすめしたい映画があります。

映画『プリンセスと魔法のキス』は、大きな夢を叶えたいキャラクターたちのこころの変化と夢の行方を描いた物語。

「#映画から学ぶ人生観のヒント」では、映画のワンシーンを切り取って、人生観のちいさなヒントを探っていきます。

望みを叶えるために本当に必要なこと


「星に願いをかけるだけじゃ夢は叶わない。努力しないと」

そう言う彼女の名前は「ティアナ」。

ディズニー映画のなかでは珍しい、「恋」より「仕事」、白馬の王子様を待つのではなく、自分の夢、仕事の成功を望むヒロインです。

ごく一般的な家庭に生まれた彼女の夢は、亡き父に代わって「自分のレストランを開く」こと。日々仕事に励む彼女の目の前に突然、人間の言葉を喋るカエルが現れることで物語は一変します。

ーーカエルの正体は、呪いをかけられカエルの姿になってしまった“ワケあり”な王子様「ナヴィーン王子」。

何がワケありかって呪い以前に、親に勘当されて一文無し。富豪のプリンセスとの結婚を計画中の、いわゆる逆玉の輿を望むダメダメ王子様なのです。(ディズニー作品過去史上、とんだダメ王子様ということはひとまず置いておいて)

彼の浅はかな性格は天罰のごとく、すぐさまヴィランズ(※)「ドクター・ファシリエ」の目に止まり騙されたあげくに、呪いをかけられてしまいます。そこで彼は、呪いを解くための王道であるキスを、ティアナにお願いすることに。キスと言ってもカエルと人間ですから、ロマンチックな雰囲気はゼロ……。くちびるを突き出すカエルとキスをした瞬間、人間に戻る……はずが、彼女もカエルへと変貌。

彼の勘違いのせいでティアナもカエルの姿となってしまったことから、生まれも、育ちも、性格も、正反対の2匹のカエルは人間の姿に戻るため、旅に出ることに。この旅によって、人間だった頃は誰の手も借りることなくひとりで道を切り開こうとしていたティアナのこころに変化が起きていきます。

※ ヴィランズ…ディズニー作品に登場する悪役の通称

「叶わない」と思うことをやめること


旅に出ればここは王道に、素敵な出会いがあります。

はじめに、巨大なワニの「ルイス」。彼にも夢があって、それは人前で得意のトランペットを演奏すること。彼はとっても勇気があってこれまで何回か挑戦、その度に驚かれてしまってガッカリするのだけれど彼は悲しい顔ひとつ見せず、大好きなトランペットを片手にいつか叶えると夢を膨らませて、とってもポジティブに夢を語ります。

そして、ニューオーリンズの川に住むホタル「レイ」。彼は「エヴァンジェリーン」という女性を愛し、いつか一緒になることを夢見ています。しかしエヴァンジェリーンは夜空に光り輝く“星”。レイは星をホタルだと勘違いしていたのです。「彼女はホタルではなかった」という真実を知った後も、彼は愛しのエヴァンジェリーンと呼び、ラブコールを送り続けます。

彼らは「叶わない夢だ」と誰しもが思うようなことでも決して夢を諦めず、信じ続け、叶ったその時を楽しみにしているのです。いくら遠い夢だとしても、信じる気持ちの大切さを気づかせてくれます。

本当の気持ちを大切に抱くこと


ふたりはカエルになったことで、人間だった時には思いもよらなかった本当の気持ちに気づいていきます。

――彼女は、カエルになったとしても夢を諦めない。けど……
――彼は、カエルになったことで夢ができた。けど……

現実では人間がカエルになることはあり得ないけれど、もしもの話。もしも、仮にほかの姿になったとしても、何がしたいのか、どうしたいのか、他人ではない自分自身に問いかけて出てきた答えが、真の答え。

自分自身に、「こうだから、ああだから」と呪いをかけてしまっている人は、本当の気持ちを大切に抱くことで呪いが解けて、昨日とは違う自分を見つけられるのかもしれません。

本作は、これまでのディズニー作品を否定するかのようなセリフが目立つ点も面白く、今では珍しいCGではない、というところもディズニー映画ファンにとっては評価したいところ。

人は誰しも、内に秘めた目標を叶えようと一生懸命になりすぎると本当に大切なことを見失ってしまう。そんなことを、ディズニー映画らしいキャラクターと物語、音楽で教えてくれます。

果たして、ふたりは人間に戻れるのか、そして、みんなの夢の行方は……。隠れた名作をぜひご自身の目で確かめてみてください。

(文:木村うい)

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