『天国の本屋~恋火』伝説の花火は天国から見るか?地上から見るか?

(C)2004「天国の本屋~恋火」フィルムパートナーズ

映画にはいろんなジャンルがあり、中でも華やかなスペクタクル大作などに話題は集中しがちですが、いざ映画ファンに好きな映画のことを聞くと意外に小さくささやかな映画のタイトルが挙がることが多いのに気づかされます。

映画の原点は活劇だとよく言われるところですが、同時にそこにはヒューマニズムみたいなものを求める向きもあるのでしょう。

まもなく東野圭吾のベストセラー小説を映画化した『ナミヤ雑貨店の奇蹟』も公開されますが、最近はちょっとファンタジックで泣けるものも支持される傾向があるようです。

今回ご紹介する『天国の本屋~恋火~』も、そんな傾向に先駆けた作品です!

天国と地上、二つの世界で繰り広げられる
愛と感動の奇蹟の物語

2004年に製作された『天国の本屋~恋火~』は、松久淳+田中渉によるベストセラー『天国の本屋』シリーズの中から第1作『天国の本屋』と第3作『恋火』の2作を原作に、現代劇『種まく旅人~くにうみの郷』(14)から時代劇『花戦さ』(17)までジャンルを問わずヒューマン・タッチで評価を得続けてきている篠原哲雄監督のメガホンで映画化したものです。

ピアノを弾く意味を失い、オーケストラをリストラされたピアニストの青年・健太(玉山鉄二)。

酔いつぶれた彼が目覚めた場所、そこは怪しげな男ヤマキ(原田芳雄)が店長を務める“天国の本屋”でした。

死んだわけではないのに、そこでアルバイトをやらされる羽目になった健太は、そこで若くして亡くなった翔子(竹内結子)というピアニストと出会います。

翔子こそ、健太がピアニストの道をめざそうと思うきっかけになった女性でした。

一方、翔子の姪・香夏子(竹内結子)は、長らく途絶えていた「その花火を見た二人は恋が成就する」という伝説の“恋する花火”を復活させるべく、商店街を奔走していました……。

竹内結子、玉山鉄二などスターたちの
若き日の初々しい姿にも注目!

本作の興味は、まずシリーズから採られた2本の原作の物語を違和感なく1本の映画の中に融合させるかにありますが、篠原監督と狗飼恭子による共同脚本にはその苦労がしのばれるところで、果たして天国と地上がいかに結び付けられるかが大きな見どころともなっています。

二つの世界でヒロインを務めるのは竹内結子(これが初の一人二役だったとのこと)。

今では大女優の貫禄十分の彼女ですが、この時期は『黄泉がえり』(02)や『星に願いを』(02)などラブ・ファンタジーもので注目を集めていた時期で、本作の直後には大ヒット作『いま、会いにゆきます』(04)が発表され、2007年の『サイドカーに犬』ではその年の主演女優賞を総なめする快演を示しました。

玉山鉄二、香里奈、新井浩文など、彼女以外の共演者も初々しい時期なだけに、当時よりも今見直したほうが新鮮さをかみしめさせられる感があります。

その一方では本屋の主に名優・原田芳雄が扮していた李、また日本映画界を代表する伝説的名女優・香川京子も出演していたりと、新旧の映画ファン双方に訴求し得るキャスティングの魅力も備わっています。

打ち上げ花火は天国から見るか? 地上から見るか?

ピアノと花火、双方がいかに融合するか、秋の夜長にちょっと見物してみてはいかがでしょうか? 思いのほかいい気持になるかもしれませんよ。

[この映画を見れる動画配信サイトはこちら!](2017年9月22日現在配信中)
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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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