私と映画Vol.12 「サンエイホールディングス 山下友和社長を支えるストーリー」[PR]

サンエイホールディングスの主要子会社であるサンエイ工務店、三重県四日市市で公共インフラ整備事業太陽光発電事業、ガーデンエクステリア事業を営む。その会社を支えるのが山下友和社長だ。就任後にビジネスのやり方を見直し、会社は急成長。成長率400%越えを叶えた企業となった。その秘訣は社員の働き方や意識の変革。ここに辿り着くまでに至った作品と山下社長のストーリーをご紹介する。

意識を変えた一人の作家との出会い

2010年11月、仕事でお世話になっている方から「是非、読んだ方がいい!」と1冊の本を紹介してもらいました。それが第145回直木賞受賞作『下町ロケット』でした。これが池井戸潤さんの本との出会いです。TVドラマでも大ヒットした作品なので、ご存知の方も多いと思います。この話は、宇宙科学開発機構で働いていた主人公が研究者としての道を断念し、家業の中小企業「佃製作所」の社長になる。そこで大手メーカーとの間に理不尽な特許争いが勃発し、社員と激突しながらも、協力し合い奮闘する姿を描いています。それで、いわゆる経営者の苦悩や組織のあり方がリアルに描かれているところをみて、すごいと思ったんです。エグいところもリアル(笑)。池井戸さんは経営者ではないのに、なんでそんなに気持ちがわかるんだろうって驚きましたね。それにひとつの視点ではなく、あらゆる面からシーンを描いているので、人物それぞれの背負っている人生や風景がパッと頭に浮かぶんです。本当にリアルに描かれていましたね。

これを読んだときは、ちょうどガーデンエクステリア事業をスタートするときで、「やるぞー!」と意気込んでいた頃。今はもう事業化されていますが、今まで行ってきたひとつの公共インフラ事業だけではこの世の中を生き抜くのは厳しくなると思っていたので、受け身ではなく自分達から捕まえていく、取りに行く仕事というのでガーデンエクステリア事業に参入したタイミングでした。けれど、意気込みとは裏腹に、なかなかすんなり事が進まなくて悩んでいましたね。だから、そんな時に『下町ロケット』を見て、「なるほど!」と思わされました。大きな会社をターゲットにするときの攻略法や、大きな会社の様々なポジションの方々がどう考えているのかを勉強させてもらいました。私はそんな大会社で働いた経験がなかったので組織とはどういうものかよくわかりましたね。

そこから池井戸潤さんの本にはまりましたね。何冊も読みましたよ。NHKのドラマでもやった『鉄の骨』 は、我々業界のかなりディープな世界を描いていたので、とても面白かったですね。その業界の人間しか知り得ないところまで上手く表現されていて、驚きもありました。池井戸さんの作品はリアルで実際に参考になりますし、相手からの視点で物事を見ると今までとちがったものが見えてくることも教えてくれました。

“相手からの視点”が秘策になり一気に進み始めた事業

『下町ロケット』をきっかけに池井戸作品をコンプリートしましたが、その中でも大企業の社員たちの社内での苦悩や、、銀行マンが融資をする際にどの点をどうチェックしているかなど融資をする側の視点から解説された本など、非常に勉強になりましたね。「銀行はそういうところでネガティブに捉えるんだ」など改めて知ることが多く、我々は姿勢を正すべきところが多くありましたね。

新規事業は爆発的に売り上げを伸ばし、銀行のバックアップなしでは成長ができない場面に遭遇。そんな時に銀行側に弊社がどのように映るか、上手く演出するにはどうすればいいか、作品から参考にさせてもらいました。結果、融資を受けられることになり、キャッシュフローの部分が上手く回り始め、売り上げも順調に3倍、4倍と成長していきました。大企業の組織を相手にするといった点では『下町ロケット』しかり、『空飛ぶタイヤ』しかり、学ぶことの多い作品でしたね。今回、「私と映画」という企画にもかかわらず、この2作をあげさせてもらったのは、私が最も刺激を受けた作品だから。とはいえ、この本を読み直すことはありません。内容は読み返す必要がないぐらい強烈で鮮明に記憶に残っていますし、ドラマ化もされています。それに『空飛ぶタイヤ』は来年映画として公開されます。私が今から待ち侘びている映画のひとつです。あの作品がまたどのように映像化されるのか、期待は膨らみますね。良い刺激もまた受けたいですね。

社員の働きやすい環境、挑戦しやすい環境で急成長

当初はお客様第一。お客様が求めるサービスに応えることが当然だと思っていましたので、サービスの過剰に陥ってしまっていましたね。お客様からのオーダーは入ってくるけれど、捌ききれない。捌ききれないから失注していくという負のサイクル。さらには社員の満足度は低くなり……。実はそんなことから、この事業から撤退したことがあるんです。だって、従業員を不幸にしたくて働いているわけではありませんからね。一度リセットして、自社ブランドで自分たちの好きなもの、働く私たちの好きなものを売っていこうと決心しました。好きなもの、良いと思うものであれば自信を持ってお客様に勧められるし、自信を持って売ることができれば数字にも残ってくるだろうと。

そこでまず、従業員に仕事を楽しんでもらうために、”週末休みのショールーム”という前代未聞のやり方をとってみました。すると、従業員はオーバーワークにも陥らず、いい雰囲気で仕事ができて、さらに売り上げも横ばいだったんです。最近はその方法にも限界を感じで、土日しか休めないお客様のために隔週で土曜日も開けているみたいですけどね(笑)。私たちはお客様を選ぶという偉そうな視点でこのやり方を始めたのではないけれど、こちらが扉を開けたらお客様が並んでくれる事業になるように自分たちを磨きましょう、扉を閉めるときは潔く閉めましょう、という働き方にしたんです。今では月平均の残業時間は1.17時間。つまり毎日4~5分程度の残業のみですし、休みも他社より1~2日長く設定していますので、昨年のGWは連続10連休になりました。若い従業員もいい雰囲気で仕事に取り組んでいると思います。お客様のペースになりすぎないということが、結局回り回って良いサービスを提供できるようになったのです。

プラスのサイクルに戻したくて一度リセットした時は、土日の売り上げは諦める、有料広告はすべて出さない、店に看板すら出さない、これらを徹底してみました。思い切ってよかったですね。今では、私も土日は毎週3人の子育てに追われていますよ(笑)。話は変わりますが、会社でも楽しいことをやっていけたらと、昨年から社員が集まってBBQやベースボール大会をするようになりました。残念ながら、子供のPTAの行事で私はまだ参加できていないのですが、社員はほぼ出席しているそうです。

正しいことを貫く、やり抜く姿勢を尊重したい

『空飛ぶタイヤ』は最終的にハッピーエンドになったなと思ったところから、ふた山、み山と困難や苦悩が訪れます。私たちもそこを楽しんでいきたい。予想できないことで、正しいことを貫く、やり抜いていく、その姿勢が経営者として楽しみですね。我が社では男女を分け隔てなくみています。だから新入社員は女子率が高い。それは意識して取っているのではなく、採用の際に単純に能力が高いと判断した人物を取った結果です。評価が同じくらいなら男性を取る風潮もありますが、我が社では能力が高い方を必ずとります。だから、今、社員は女性が多いかな。そして若いうちから社会の荒波に早く晒しています。極端に合う人も合わない人もいますが、向いている人には新人でも新事業のリーダーをまかすことも。そんなことがざらにある会社です。社員は常に平等。チャンスが色々とある会社です。

私たちは「とりあえずやってみる。もうちょっとやってみる」を貫いてきました。自分でいうのもなんですけど、私は天才ではないわけで……。「世の中、こんな面白いもので成功するのでは?」というものを考え、それをふるいにかける。そして周りに口にする。そしてさらにふるいにかける。そこで始めてやってみるけど、またふるいにかける。さらにふるいにかけてみる……とやっていくとできることはすごく少なくなっていますが、誰もやっていないこと、手付かずになっていることがあるんですよね。この方法でいくと、誰かがやっていると思って進めなかったことでも、実はポカンと空いているところがあることがあります。それを事業として進めたことで収益が出て、会社の一部をまかなっているというのは間違いない。「やってみる」で終わらず、「もう少しやってみる」これが成功の秘訣。経験上、なんでもまっすぐなものより、横に派生したものの方が当たる気がします。模索しながらも、やり抜く。そこを大事にしていきたいですね。

視点を変えて、楽しさを見出してほしい

「楽しくないのは◯◯のせい」「あの人は嫌い」「会社が変」「こんなこと言われた」などマイナスなことを言う人はどこにでもいますが、楽しくないとジャッジしているのは自分。少ない知識だけでジャッジするのはもったいないですよ。『下町ロケット』や『空飛ぶタイヤ』のようにいろいろと視点を変えてみたら、もっと物事が楽しくなると思います。働くことも楽しいはずです。楽しくというのはラクするという意味ではなく、楽しいことに結びつけていってほしい。そしてそれを人任せではなく、自分でやってみてください。どうせならなんでも楽しみましょう!


    ライタープロフィール

    植木麻利子

    植木麻利子

    編集・ライター歴18年。学生時代から女性のファッション誌のライターとしてキャリアをスタート。ファッション・ビューティ・ライフスタイル・取材など様々な企画を担当。現在は、2016年に産まれた息子と共に毎日出歩くことを日課にしながら、夜な夜な仕事をする毎日を送っています。

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