映画『散歩する侵略者』“ドライブ”シーンの秘密とは?

散歩する侵略者

第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品、世界21カ国での公開も決定している、黒沢清監督の最新作『散歩する侵略者』が、本日9月9日より全国ロードショーとなる。

本作は、劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの同名人気舞台を、舞台のアイデアに感銘を受けたという黒沢清監督が長年の構想を経てサスペンス、アクション、コメディ、ラブストーリーといった要素を重奏的に描き映画化する作品。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイディアをもとにした新たなエンターテインメント映画となっている。

散歩する侵略者 サブ1

主人公・加瀬鳴海を長澤まさみが演じるほか、鳴海の夫・真治を松田龍平、侵略者と行動するようになるジャーナリスト・桜井を長谷川博己がつとめるほか、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史ら豪華キャス人が脇を固める。

黒沢清作品の印象的な“ドライブ”シーン

『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、日本のみならず世界でも高く評価されている黒沢清監督。黒沢映画ファン待望の最新作が公開となったが、改めて過去作を振り返ってみると『リアル〜完全なる首長竜の日〜』『岸辺の旅』『クリーピー 偽りの隣人』など、ジャンルは違えど共通して登場するのが“ドライブ”シーン。どの作品も何気ない日常の1コマかと思いきや、どこか違和感を覚える印象的なシーンとなっている。

映画『散歩する侵略者』で描かれるのは2つのドライブシーン。

散歩する侵略者 ドライブシーン

1つは、世界が滅亡へと向かう最中に、主人公の加瀬鳴海(長澤まさみ)と侵略者に乗っ取られた夫・真治(松田龍平)が車で逃げる場面で、今まで疑心暗鬼だった鳴海の、真治に対する心境の変化が見られる重要なシーンとなっている。

そして、もう1つは別パートとして描かれるジャーナリストの桜井(長谷川博己)が侵略者と名乗る若者・天野(高杉真宙)と立花あきら(恒松祐里)に“ガイド”を頼まれ放浪するシーン。

散歩する侵略者 ドライブシーン2

黒沢監督作品ではお馴染みのドライブシーンは、実は「スクリーンプロセス」という伝統的な方法で撮影されており、車外の変わっていく風景をスタジオの壁に映しながら、車を動かして移動しているように見せているのだ。

侵略者を演じた高杉は、このシーンの撮影がとくに印象に残っていると語っており「まさか、車が走っているシーンをスタジオで撮るとは思っていなかったんですけど、黒沢監督の作品では普通だそうで。車内にいると本当に進んでいるような感じがしたので面白かったです」と明かしている。

『岸辺の旅』に漂う生と死の影や、映画『散歩する侵略者』で描かれる人間と侵略者の交流など、黒沢映画特有の日常と非日常の違和感は、こうした技法とともに構築されているのだ。

長いキャリアの中でも、舞台の映画化はチャレンジだったと語る黒沢監督。満を期しての映画化について「7、8年前に原作に出会って衝撃を受けまして、なんとか映像化したいと試行錯誤していました。悩みながらも、このような素晴らしい俳優たちの協力のもと、最後には何も迷いのない作品に仕上がりました」と自信を見せており、黒沢監督が挑む新たなエンターテインメントに期待が高まる。劇場でも、ぜひ本作のドライブシーンに注目していただきたい。

散歩する侵略者 ポスター

映画『散歩する侵略者』は本日より全国ロードショー。

(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会

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