〜天才子役プレイバック〜2000年代に開花したもう一人の天才アビゲイル・ブレスリン

先週・先々週と、〝天才子役女優〟を紹介してきた当コラム。

先々週紹介したダコタ・ファニング同様、2000年代に脚光を浴びた女優を忘れてはならない。『リトル・ミス・サンシャイン』で史上4番目の若さでアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたアビゲイル・ブレスリンだ。

リトル・ミス・サンシャイン (字幕版)

<〜映画は女優で作られる〜vol.9:〜天才子役プレイバック〜2000年代に開花したもう一人の天才アビゲイル・ブレスリン>

もちろん、アビゲイルといえば誰もが、黄色いマイクロバスに乗った偏屈な一家が美人コンテストの会場に向かうための波乱に満ちた旅を描き出した『リトル・ミス・サンシャイン』での、ぽっちゃり体型の孫娘・オリーヴを思い出すことだろう。
前述した通りアカデミー賞候補に上がるだけの名演技を見せた本作も素晴らしいが、彼女の才能はすでにその4年前、映画デビュー作となったM.ナイト・シャマランの最高傑作『サイン』で大爆発している。

サイン (吹替版)

或る日突然、所有する畑に出現したミステリーサークルを目の当たりにした、元牧師のグラハムとその子供二人、そしてグラハムの弟のメリル。彼らの周りや、世界各地で次から次へと現れる〝サイン〟により、宇宙からの侵略者の存在が徐々に近付いてくるのである。

このオカルトミステリー映画で、アビゲイルが演じているのは幼い娘・ボー。無邪気なようで、時折見せる暗い表情や不思議な発言が、観客の不安を増長させていく。まさにシャマランが本作に求めた雰囲気に最適なキャスティングであったといえよう。

水を飲んで「汚染されてる」と口走る姿、ビデオテープを抱えながら不安そうにテレビを見つめる姿、そしてクライマックスでの甲高い悲鳴からの、冷静に父親を見つめる表情。カルキン兄弟の末っ子ローリー・カルキンが兄役で、フェニックス一家の次男ホアキンが叔父を演じるという、ハリウッドきってのサラブレッドが共演する中で、彼女は負けず劣らずの怪演を披露する。

すでにデビュー作の時点で将来が確約されているほどの素質の高さを見せた彼女。

『リトル・ミス・サンシャイン』で一躍注目を集めた後はドイツ映画のリメイク『幸せのレシピ』や、キャメロン・ディアス共演の感動作『私の中のあなた』などの話題作に相次いで出演。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『マギー』でゾンビウイルスに感染する娘を演じるなど、20歳を超えた今でも精力的にキャリアを重ねているのだ。
ちなみに、もう一作だけ彼女の子役時代の魅力溢れる作品として、日本では劇場未公開でDVDスルーとなった『キット・キトリッジ アメリカン・ガール・ミステリー』もオススメである。

キット・キトリッジ アメリカン・ガール・ミステリー(字幕版)

今回紹介したアビゲイル・プレスリン、先々週紹介したダコタ・ファニング(あわせて触れたエル・ファニング)以外にも、注目の〝天才子役女優〟はまだまだ大勢いる。
『キック・アス』や『(500)日のサマー』のクロエ・グレース・モレッツ、『ハッシュパピー バスタブ島の少女』でアカデミー賞主演女優賞候補になったクヮヴェンジャネ・ウォレス。そして、〝天使の歌声〟として話題となり、ロバート・レッドフォード監督主演の『ランナウェイ/逃亡者』で演技初挑戦とは思えない類稀なる存在感を見せたジャッキー・エヴァンコ(先日のトランプ大統領就任式で国歌斉唱を行なっていた)など、いずれも幼くして高い素質を見せ、将来が楽しみな女優ばかりだ。

現在公開中の『ローガン』で、驚異的な目力とアクションセンスを披露したダフネ・キーンも、間違いなく彼女たち〝天才子役女優〟の仲間入りを果たしていると言ってもいいだろう。彼女たちの今後のキャリアから目が離せない。

(文:久保田和馬)

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    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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