『エンドレス 繰り返される悪夢』はタイムループ映画の傑作!見逃し禁止な「3つ」の理由!

第7回:『エンドレス 繰り返される悪夢

限定的ながらも各地域で映画館が再開を始める中、未だに首都圏では自粛生活が続いているため、同じような生活の繰り返しにストレスを感じている方も多いと思います。

そんな方たちのために、Amazonプライム・ビデオで配信中の韓国映画の中からオススメの作品を紹介する、この連載。

今回取り上げるのは、2017年日本公開の韓国映画『エンドレス 繰り返される悪夢』です。

交通事故で亡くなった娘を救うため、主人公が同じ時間を何度も繰り返すというストーリーは、過去に何度も見慣れた設定のように思えるのですが、ユーザーレビューに並んだ高評価や絶賛評が期待を抱かせる本作。

気になるその内容と出来は、果たしてどのようなものなのでしょうか?

ストーリー

著名な胸部外科医のジュニョン(キム・ミョンミン)は、娘ウンジョンの誕生日に彼女と約束した場所に向かって車を走らせていた。その途中で彼は、交通事故の現場で亡くなっているウンジョンの姿を目にし、激しい衝撃を受ける。すると次の瞬間、彼はその事故が起きる2時間前に戻っていた。
ジュニョンは娘の事故を阻止しようとするが、何度挑戦しても娘の死という結果が変わることはなく、時間のループは延々と繰り返されることに。
そんな中、彼は同じく事故で妻を失い、同じように時間を繰り返しているミンチョル(ピョン・ヨハン)と出会う。
愛する家族を亡くし、理由もわからずに時間に囚われてしまった二人は、悪夢の1日を変え、家族を救うために力を合わせるのだが……。

理由1:よくある設定と思わせて、実は!

昨年公開されて話題となったホラー映画『ハッピー・デス・デイ』を始め、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や、コメディ映画の名作『恋はデジャ・ブ』など、同じ一日を何度も繰り返す設定の映画=タイムループ映画は、これまでも数多く製作されてきました。

例えば、ある人物を死から救う、あるいは片思いの女性と結ばれるなど、時間のループから脱出するための条件や目的に変化が施されることで、似たような基本設定でもバラエティに富んだ内容の作品に仕上げられる点は、このタイムループ映画というジャンルが人気を呼んでいる理由と言えるでしょう。

ただ、同じ時間を繰り返すというあり得ない状況を、どう観客に納得させるか? この部分が作品の評価に大きく関わってくるのも事実。

その点、ユーザーからも軒並み高評価を得ている本作は、そのハードルを見事にクリアしているのです。

映画の性質上、できれば事前の情報をシャットアウトして鑑賞に臨んで頂きたい作品ですが、ストーリー紹介で明かされている部分に関して少し触れておきたいと思います。

本作を目新しいと感じるのは、やはり主人公以外にも時間のループに囚われた人物が登場する点でしょう。

お互いに別の人物の命を救おうと行動する中で、毎回違った行動を取っているジュニョンの存在に気づいたミンチョルは、彼もまた同じように時間のループを繰り返していることを知ります。

それまでジュニョンの側から物語が描かれていただけに、突然のミンチョルの登場に観客は意表を突かれるのですが、同時に別の視点からも交通事故が描かれることで、タイムリープという超常現象に説得力が増すことになるのは見事!

こうして二人は娘や妻の死を防ぐために互いに協力し、この無限に続くタイムループから抜け出そうとするのですが…。

これだけでも十分面白そうなのですが、実はこの段階でまだ映画の序盤30分に過ぎないのです。

ここから更にストーリーは二転三転! 予想外の展開と感動の結末へ向かうことになるのですが、果たしてこのタイムループの原因とは、そして二人は愛する人を救い元の日常へと戻ることができるのか?

見慣れた設定でも、アイディアやアレンジ次第でこれほど面白くなる! その練り上げられた脚本に、鑑賞後もう一度最初から見返したくなる、この『エンドレス 繰り返される悪夢』。

確実に観て得した気分になれる作品なので、お家時間のストレス解消にぜひ!

理由2:人間の良心を描く脚本が凄い!

ある日突然、同じ時間を繰り返すことになってしまった、外科医のジュニョンと救急隊員のミンチョル。最愛の存在が死ぬ瞬間を何度も目にするという地獄のような体験を繰り返す中で、この事故を防ぎ命を救うことがタイムループから脱出する唯一の方法だと考えた二人は、原因となった交通事故を必死に食い止めようとします。

ちょっとした気持ちのすれ違いにより、事故が起こる前は娘や妻との関係が壊れかけていたジュニョンとミンチョルですが、同じ目的のために協力し合う中で次第にお互いの娘や妻と正面から向き合い、それまでの自分の態度や行動を変えていくことになります。

ただ、失敗して元に戻るのが事故発生直前の2時間前なため、この限られた時間の中で失敗を繰り返しながら、次第に二人はこの不思議な現象に隠された秘密や原因へと近づいていくことになるのです。

よくあるタイムループ映画であれば、こうした展開を受けて人間的成長を遂げた主人公が、今までの生き方を変えることで時間のループから抜け出しハッピーエンド! となるのですが、多くのユーザーが絶賛する本作の展開は、事件の謎解き以上の感動を観客に与えてくれるもの。

加えて、以前紹介した韓国映画『ヨンガシ 変種増殖』でも、家族を救おうと必死に行動する主人公を演じていたキム・ミョンミンが、弱さや悩みを抱えながらも必死で頑張る主人公を好演している点も、本作成功の大きな要因となっています。

更に、当初は同じ交通事故を通して繋がっているように見えたジュニョンとミンチョルが、実は過去の深い因縁により、この二人が時間のループに巻き込まれていたことが判明する展開は必見!

二人がタイムループから抜け出すために必要な行動が、単なる交通事故の阻止から人間の良心が試される究極の選択へと変化を遂げる展開も見事ですが、繰り返される悲劇の中でジュニョンがたどり着いた”答え”には、きっと多くの観客が共感・感情移入できるはず。

多くの謎と愛憎を巻き込んで、人間の良心や家族への深い愛情が描かれるその脚本の素晴らしさを、ぜひご堪能頂ければと思います。

理由3:90分に凝縮された感動の物語!

お互いの愛する存在を死から救うため、無理やり運命を変えようとして何度も失敗を繰り返す、ジュニョンとミンチョルの二人。

生前に娘や妻と仲違いしていたことを後悔し、人生をやり直すために試行錯誤する二人ですが、何しろ時間がリセットされてから事故が起こるまで2時間しかないので、毎回あと少しのところで事故を食い止めることができず、愛する者の死の瞬間を繰り返し体験することになります。

お互いの情報を共有しながら事故の原因を探り、妻と娘を事故現場に行かせないように必死の努力を続ける二人ですが、永遠に続くと思われたループの中、ついにジュニョンは運命を変えるきっかけを掴むことに!

ところが物語は、そこから更に観客の予想を超えた展開へと進んでいくのです。

実際ユーザーレビューでも、多くの方がその練り上げられた脚本の素晴らしさについて触れており、自分の家族の命を救うことで主人公が成長し、再び時間が動き出してタイムループから解放される、そんな過去作のような展開や常識が覆される快感も、本作が多くのユーザーから高い評価を得ている理由と言えます。

彼らは何故、同じ交通事故現場で出会う運命にあったのか?

この大きな謎に加えて、タイムリープを起こしていた意外な原因や、主人公たちが自分に課せられた真の使命に気付く展開は、過去の類似作品とは一線を画すものとなっているのです。

これから鑑賞される方のために、これ以上詳しく書くことは避けますが、全ての出来事が一つに繋がり、人間の良心が憎しみに打ち勝つ感動のラストは必見!

しかも、2時間近い上映時間の作品が多い韓国映画にあって、本作の上映時間はなんと90分という短さ!

この短時間に凝縮されたアイディアと意表を突く展開のおかげで、濃密な人間ドラマがラストまで途切れることなく楽しめるのも、本作の大きな魅力と言えるでしょう。

過去の自分の行動が未来を作るが、過去に犯した過ちを正すのに遅すぎるということは無い。そんなメッセージと、新たな人生への希望を与えてくれる作品なので、全力でオススメします!

最後に

同じ一日が繰り返される理由や時間のループから抜け出すための方法、そして最終的に描かれる主人公の人間的な成長など、非常に魅力的な要素が多い、このタイムループ映画というジャンル。

ストーリーを見た限りでは、普通のタイムループ映画と思ってスルーしてしまいそうな本作ですが、過去の過ちによって生まれた憎しみと復讐の連鎖を、果たして人間の良心が断ち切ることができるのか? この永遠のテーマが描かれる本作は、タイムループの謎解きやサスペンスを超えて、更に広い視点から家族や人間に迫ろうとする内容に仕上がっています。

加えて過去に作られた同傾向の作品のように、単に事故や死を防いでループを止めるのではなく、自分の過去と向き合い過ちを認めることがループからの脱出に繋がる展開は、既にやり尽くされた感の強いタイムループ映画に新たな方向性を示すもの。

特に、よくあるストーリーと思わせて次第に観客の予想を覆していく脚本の素晴らしさは、本作がユーザーから高い評価を得ている大きな要因と言えるでしょう。

悲劇を食い止めようと必死に行動する二人の男の姿を通して、最終的に人間の良心や命の重さについて考えさせられる感動作へと着地する、この『エンドレス 繰り返される悪夢』。

交通事故の悲劇を乗り越えて、多くの人々の人生が救われる感動のラストを、ぜひ体験して頂ければと思います。

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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