『惡の華』伊藤健太郎と玉城ティナの演技に圧倒されそう!その見どころとは?

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

全11巻、累計発行部数300万部を記録した押見修造の同名人気コミックを、伊藤健太郎と玉城ティナ共演で映画化した『惡の華』が、9月27日からついに劇場公開された。

既にテレビアニメや舞台化もされているだけに、昨年公開された『覚悟はいいかそこの女子。』でも伊藤健太郎と組んだ井口昇監督が、果たしてどのような解釈で映像化しているのか? 個人的にも非常に期待して鑑賞に臨んだ本作。

果たして、その出来と内容はどのようなものだったのか?

ストーリー

山々に囲まれ閉塞感に満ちた、ある地方都市。中学2年の春日高男(伊藤健太郎)は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和(玉城ティナ)は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…。

予告編

変態!の言葉に隠された意味が深い!

今回の映画化では、高校生となった主人公が中学生時代を回想するという構成を取ったことで、何故主人公がこのような状況になっているのか、彼に何が起こったのか? 彼の人生を大きく変えた過去の出来事を、観客も一緒に追体験することになる。

周りの同級生が読まないような本を読むことで、自身のプライドを保っていた主人公の春日は、クラスメイトである仲村さんとの衝撃的な出会いをきっかけに、次第に本当の自分をさらけ出し、文字通り”変態”を遂げていく。

ことある毎に春日を辱め、「変態!クソムシが!」と罵倒する仲村さん。

確かに彼女の言動は、一見すると常軌を逸したように見えるが、やっと自分と同じ存在に巡り会えた彼女の喜びや希望、それが最後の一線で裏切られ失望となった悲しみの大きさを踏まえれば、そこには更に深い意味が生じてくるのも事実。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

ただ下手に演じると、このヒロインの存在が単なる情緒不安定なトラブルメーカーにしか見えない危険性を孕んでいるため、後述する玉城ティナの存在が本作成功の大きな要因となっているのは、間違いない。

子供から大人へと急激に成長を遂げる多感な時期に、誰もが味わう理想と現実とのギャップ。

退屈な毎日が永遠に続く地方都市で、「自分が周囲とは違う存在であり、今いる場所の方が間違っている、周りの人間は皆自分より下だ」、そう信じていた心が折れた時、それでも人は生きていけるのか?

子供から大人に成長することが、周囲に存在する矛盾や違和感に対して鈍感になることだと考えれば、一見”惡の華”に染まったかのように見えるこの二人の行動も、その敏感で純粋な感性を守ろうとした結果だった、そう考えられるのではないだろうか。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

今回高校編を映像化することで、人間が成長する過程で味わう苦しみや、青春時代の輝きを失ってもなお生き続けることの意味という、かなり深い部分にまで踏み込もうとした、この『惡の華』。

予告編から受けるポップな印象には終わらない傑作青春映画なので、ぜひ劇場に足を運んで頂ければと思う。

伊藤健太郎、玉城ティナの熱演が凄い!

やはり本作の見どころは、伊藤健太郎と玉城ティナが見せるキレまくった演技の対決!

特に、主人公・春日の中学生から高校生までを演じるにあたり、役作りのために禁酒し体中の毛を剃る! ほど、春日役へのこだわりを見せた伊藤健太郎の演技は素晴らしく、映画冒頭で登場する高校生の春日から中学生時代に場面が移っても、見事に演じきっているのはさすが!

更に、悪魔のようなクラスメイトの仲村さんに翻弄され、次第に隠れていた自分の本性を目覚めさせていく、その変貌ぶりも必見なのだが、特筆すべきは春日が変貌していく過程でみせる様々な”変態姿”が、ギリギリのところで情けなさ過ぎたり観客が嫌悪感を抱くようなものにさせていない点だろう。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

こうした彼の素晴らしい受けの演技があるからこそ、玉城ティナの”これでもか!”と言わんばかりの攻めの演技が、より引き立つことになるのだ。

もちろん、「つまんない!」と狂ったように連呼する仲村さんの言葉の裏に、彼女が抱える孤独の大きさや春日に対する仲間意識を感じさせる、玉城ティナの演技力があればこそ、より緊張感にあふれた作品世界となっているのも事実。

その複雑な想いを初めて共有し合える相手と思えた春日に対する期待と、最後の一線で2人の間のギャップを超えられなかった失望。

その間で揺れる複雑な感情を見事に表現する玉城ティナの演技と、彼女に流されるままでいるかに見えて、実は周りの人々の心に”惡の華”を伝染させていく伊藤健太郎の演技無くして、今回の『惡の華』の世界観は成立しなかったのではないか? そう思わずにはいられなかった本作。

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

その他にも、仲村さんとは真逆な純真さの象徴として登場しながら、次第にその影響を受けて最終的に衝撃的なセリフを吐くまでに変貌する佐伯さんを演じた秋田汐梨の存在など、出演キャスト陣の演技が特異な作品世界を見事に盛り上げる本作。

その演技の競演は、せひ劇場でご確認を!

最後に

前述した通り、主人公の中学生時代を違和感なく演じる伊藤健太郎の、春日役に対するこだわりと演技力。そして玉城ティナの抜群の存在感にも圧倒されるが、やはり昨年公開された『覚悟はいいかそこの女子。』でも伊藤健太郎と組んだ、井口昇監督の本作にかける熱意とこだわりは見逃せない。

そのこだわりは、佐伯さんの着用するブルマーの色に関して、スタッフと1時間に及ぶ議論を繰り広げたほど!

©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

更に印象的だったのは、高校編で3年後に再会した佐伯さんが、春日に対して吐き捨てるように言う、あのセリフ!

中学時代の佐伯さんからは想像もつかないセリフなのだが、これは人々の胸の奥に潜んでいた”惡の華”が、現在の彼女の中で開花していることを表現しており、彼女がその後、春日に仲村さんの現在の連絡先をメールしてくる展開と合わせて、実は彼女が未だに事件の記憶と仲村さんの影から逃れられずにいることを、見事に観客に伝えるものなのだ。

自分が周りのつまらない存在とは違う、何か特別なものと思っていた思春期の2人が、破滅へと突き進んだ結果、その先に待っていたものとは何だったのか?

過去の自分と照らし合わせて考えずにはいられない、多くの観客の心に届く作品なので全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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