『浅田家!』レビュー:ファンが映画で見たかった二宮和也の魅力がここに!

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二宮和也といえば「嵐」としての秀逸なパフォーマンス活動はもちろんのこと、俳優としても数々の作品で印象深い演技を披露し続けています。

映画だけでもクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』(06)での好演をはじめ、山田洋次監督の『母と暮らせば』(15)ではその年の主演男優賞を独占、原田眞人監督の『検察側の罪人』(18)の検事役も新境地を開拓。

ただ、個人的にバラエテイ番組「ニノさん」(13~)などの明るさをこよなく愛してやまない身としては、彼はもっとコミカル&ヒューマニズムあふれるテイストの作品にもどんどん出演して良いのではないかと常々思っていました……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街507》

そんな折、10月2日より全国公開される彼の最新主演作『浅田家!』を見て、もう嬉しさで心の中は狂喜乱舞!

これはぜひともニノ・ファンはもとより、普段あまり映画と縁のない方、年に数本くらいしか映画を見ない方々にお勧めしたいコミカル&ヒューマン映画の快作なのでした!

家族コスプレ写真の数々で
名を挙げた写真家の3・11

『浅田家!』は写真家・浅田政志とその家族のユニークな絆を実に微笑ましく描いた、ちょっとびっくりな実話を基にした作品です。

浅田家の次男・政志(二宮和也)は子どもの頃に父・章(平田満)からカメラを譲り受けたことをきっかけに家族の写真を撮るようになります。

ただ、その写真というのが、今でいうコスプレとでも言いましょうか、家族全員で消防士に扮したり、レーサー、選挙演説などなどさまざまな衣装を家族全員に着せては写真を撮るという、一見キテレツながらも実に微笑ましいことを続けていました。

優しい父と母・順子(風吹ジュン)、弟の行動に呆れつつ、結局は付き合ってコスプレしてしまっている兄・幸宏(妻夫木聡)と、みんな政志に振り回されながらもそれがひそかに嬉しそう!?

やがて政志は本格的な写真家を目指して上京。最初はなかなか目が出ませんでしたが、幼馴染の恋人・春奈(黒木華)の計らいで開いた個展であの家族写真を飾ったことを機に写真集発売へこぎつき、しかもそれが木村伊兵衛賞を受賞したことで、一躍写真家として認められます。

やがて彼は自分たち以外の家族のさまざまな写真を撮るべく日本中を奔走し、そのつど好評を博していきます。

しかし、そんなさなか2011年3月11日、東日本大震災が勃発。

政志は仕事で撮った最初の家族の安否を気遣って被災地へ向かいますが、そこで彼は津波で流された大量の家族写真を洗浄しているボランティアの小野(菅田将暉)と出会い……。


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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