称えた! 叫んだ! 拍手した!『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』前夜祭絶叫上映突撃レポート

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『バーフバリ 伝説誕生』が公開されたとき、この「バーフバリ」シリーズが後に日本全土にムーブメント、いや社会現象を巻き起こそうと誰が予想できただろう。確かに「伝説誕生」も破格のスケールで描き上げられた作品ではあったが、2017年12月に公開された『バーフバリ 王の凱旋』はさらにその世界観を拡張する、まさに「壮大な叙事詩の完結」という言葉がぴったりの映画だった。

ついに“完全版”の公開へ!

圧巻のアクション、豪華すぎるセット、絢爛な衣装──。どの部分を切り抜いても、まるで完成された絵画のような美しさを持つような作品だ。そしてその世界に“入り込む”ことを可能にしたのが「絶叫上映」や「マサラ上映」といったイベント上映だろう。ファンが一体となって作品を盛り上げ、育て上げたことで、その熱気はついに創造神たるS.S.ラージャマウリ監督とプロデューサーのショーブ・ヤーララガッタに、日本の地を踏ませるまでに至った。映画公開から4カ月を経て監督とプロデューサーが来日するなど極めて異例のことだ。

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さらに“新たな波”として日本に到来したのが、6月1日から上映が始まった『バーフバリ 王の凱旋 <完全版>』だ。タイトル通り、これまで上映されていた141分の「インターナショナル版」のカットされていたシーンを復活。「オリジナル完全版を観たい」というファンの要望に応える形であり、ファンにとっとは監督・プロデューサーの来日に続く「結願」となった。

そこで、“祭り”をさらに盛り上げようと企画されたのが「『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』公開“前夜祭”絶叫上映」だ。「バーフバリ」と絶叫上映はもはや切っても切れない関係性があり筆者も幾度となく参加してきたが、今回有り難いことに「イベントレポートの作成」を仰せつかったので、拙文ながら全力かつ克明に前夜祭の状況を書き起こしたいと思う。

※本記事に使用する写真は全てオフィシャルの掲載許可を得ています。

「『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』公開“前夜祭”絶叫上映」レポート

まず最初に記しておくと、「絶叫上映」というスタイルはレギュレーションをチェックするところから始まる。例えば会場によっては鳴り物やクラッカー、紙吹雪が制限されていたりするので、配給会社や各劇場、絶叫上映を企画・運営グループが提示するルールに目を通すことが重要になる。例えば筆者の場合、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』絶叫上映用に購入した太鼓を所持しているが、今回太鼓の持ち込みは不可(クラッカーや紙吹雪も)。タンバリンと鈴の持ち込みはOKということだったので、筆者はタンバリンの音に乗せてバーフバリへの愛・忠誠心を奏でることにした。それから大事なのは、禁止ワードについてだ。これは「バーフバリ」に限ったことではないが、ネタバレや先読みした声出し、罵詈雑言やほかの観客が不快に感じるような言葉を使うことはルール違反。イベントを楽しむためには、まずはルールとマナーを守ることから始まるのだ。

5月31日、イベント当日。場所はこれまでに「『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』オールナイト絶叫上映」やラージャマウリ監督・ヤーララガッタの舞台挨拶が行われてきた聖地・新宿ピカデリー。筆者が到着したのは19時を少し回ったところだったかが、既に3階ロビーにはサリーなどのコスチュームをまとった方々がちらほらと見えた。それにしても明らかにロビーの熱気が普段と違う。平日しかも木曜の夜だというのに、早くも活気に包まれたロビーは週末のノリのようだ。みなさん明日もお仕事ではないのだろうか。入場時間が迫り、バラバラだった人たちが徐々に合流して膨れ上がっていくので、既にこの時点で新宿ピカデリーが“マヒシュマティ王国”になった感が強い。

上映会場となったのは1番スクリーン。開場と同時に劇場内に入るとスクリーンに宣伝は流れておらず、場内には「バーフバリ」シリーズのサウンドトラックが流れていた。劇場に足を踏み入れた瞬間から、そこはもはやマヒシュマティ王国の領土だったのだ。続々と観客──否、国民たちが席へとたどり着いていく。開始時間になると、今回の絶叫上映を取り仕切る「V8Japan」からの女性スタッフが登壇。

改めてレギュレーションを確認していくが、愛のある前説にさっそく会場は笑いに包まれた。今回は座席抽選によるプレゼント発表も行われ、恒例の発声練習を終えるとついに上映スタート。これは毎度のことだが、スクリーンに映像が映り始めると「新ピカさんありがとー!」「TWINさんありがとー!」とまずは配給会社や会場への賛辞が贈られる。マヒシュマティ国民はみな優しい。

ところが、だ。「インターナショナル版」にはなかったオープニングのプロダクションクレジットがやたらと長い! はじめは笑いが起きつつも、なかなか終わらないクレジットにいよいよ「長い!(笑)」とツッコミが入り始める。それだけ本作には多くのプロダクションが携わっているという証拠なのだが、「インターナショナル版」でエンドロールを容赦なくぶった切って話題を呼んだ作品だけに、今回はスタートからなかなかパンチが効いているではないか。──それはそれとして、ようやく美麗なオープニングクレジットが流れ始めると、音楽に合わせて劇場全体でタンバリンや鈴がシャンシャンと打ち鳴らされ、リズムを刻んでいく。やはりこの一体感は「バーフバリ」という作品だからこそ出せるもので、その壮大な世界観の幕開けにゾクゾクさせられる。

最初のビッグウェーブとして観客から大歓声が上がったのが、やはりシヴァ寺院でのアマレンドラ・バーフバリの登場シーンだ。暴走する象を諫め、そして乗りこなすシーンは例えるなら「推しがキメたときのファン」のような歓声だ。無数のサイリウムが彩り、「サーホレ バーフバリ!」と大合唱。スクリーンの“こちら側”も含めまさにバーフバリという英雄を称えるに相応しい圧巻の登場シーンで、バーフバリの雄姿に対し男女関係なく熱い想いが文字通り絶叫とともにぶつけられていく。何度経験しても、やはりその感覚は映画というよりもライブに近いスタイルと感じる。

アマンドラ・バーフバリと人気を二分する勢いで黄色い歓声を受けていたのが、王室に仕えるカッタッパだ。そのキャラ造詣の奥深さは「伝説誕生」や「インターナショナル版」ではっきりと打ち出されており、ビッジャラデーヴァから「奴隷の犬」と蔑まれた際には「アオーン!」「ワンワン!」とカッタッパを援護するように犬の鳴き真似声が響き渡った。なるほどそんな意趣返しも絶叫上映ならではの方法であり、カッタッパの愛されぶりがよく伝わってくる。

さらに、バーフバリ&カッタッパ人気をも凌駕するような大歓声を浴びたのが、クマラ・ヴァルマである。愛情をたっぷり込められたその歓声は、もはやアイドルにでも向けられるようなものだ。どこか間が抜けていてチャーミングなキャラクターだからこそ、その一挙手一投足に笑いが起きる。「クマラがんばってー!」とエールを贈られるのも、ある意味クマラらしい。ちなみにこのクマラ、その人気ぶりを示すように4月の舞台挨拶中に行われた人気キャラ投票で見事にトップを掻っ攫ったキャラクターだ。主人公やメインキャラを差し置いての1位獲得により、クマラへの愛情表現は過熱する一方といえる。

ところで歌唱シーンや推しキャラ登場の際に振られているサイリウムやペンライトだが、劇中で剣や拳が振り下ろされると同時に観客も振り下ろしたり、敬礼に合わせてかざしてたりと、「その発想はなかった」というような大活躍ぶりのアイテムだ。さらによく見ていると、各シーンやキャラクターに合わせて発光色が揃えられている!

これまで「バーフバリ」絶叫上映に参加していた時は、前方の列を利用することが多かったので気づかなかったが、劇場全体を見てみると明らかに発色の足並みが揃っているではないか。訓練されすぎである。そしてサイリウムの使い方だけでなく、各キャラクターからキメ台詞が放たれると多くの観客がそれにハモってみせる。いやもうそれは訓練のレベルではないでしょう。英語ならまだしもテルグ語ですぞ。やはりこの劇場はいまマヒシュマティ王国であり、観客は間違いなくマヒシュマティ国民となっているのだ。

さて。絶叫上映といっても始終叫び声が上がっているわけではない。中盤以降はかなりシビアな展開を見せるため、国民は食い入るようにスクリーンを見つめることに。サイリウムが振られることもなく完全に物語に没入している感覚だが、それだけこの作品が、時に叫び時に固唾を飲んで見守り続けるほどストーリーに起伏がつけられている証拠にほかならない。それもまた本作の魅力であり、改めていま私たちが途方もなく、そして途轍もない壮大な叙事詩を目撃しているのだと実感させられる。

いよいよ終盤。ここからはネタバレを避けるためにシーンの詳細を省くが、とにかくバトルシーンに突入してから国民たちのボルテージの上がりようがハンパではない。怒涛の如く繰り出されるキメカットの連続に再び「Fuuuuu―――!」と絶叫上映本来のスタイルが呼び戻され、大音響に負けじと各キャラクターに熱いエールが送られる。そして、少なくとも筆者がこれまでに経験した中では最大の盛り上がりを見せたシーンこそインターナショナル版ではカットされていた、あるキャラクターをフィーチャーしたシーンだった。あれほど国民が一斉に身を乗り出し、歓喜の声を上げた瞬間が今までにあっただろうか? いや、筆者自身胸に込み上げるものがあり、目頭が熱くなったほどだ。「インターナショナル版」からカットされていたシーンはどれも魅力的で「カットする必要はなかったのでは?」と思えたほどだが、“あの場面”に関しては完全に別格だ。作品全体の評価とそのキャラクターへの愛をさらに確実に高めるもので、あちこちから「ありがとう!」「ありがとう完全版!!」と感謝の声が上がるのも納得の、最高の瞬間だった。

26分の初公開シーンを加え、167分もの上映時間となった『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』だが、正直なところ体感時間は変わらないし約3時間もあるとは思えないような圧倒的展開感も変わらない。これはネタバレではないと思うが、「インターナショナル版」でカットされていたエンドロールもしっかりと流れたことで、映画本来が持つ余韻もしっかりと堪能できる。いずれにせよ、これで国民は“完全なる王の凱旋”と“新たな伝説の誕生”を目の当たりにしたことになる。上映終了時に巻き起こった拍手は間違いなく作品に手向けられた万感の賛辞と、ともに戦ってきた国民同士の目には見えない労いの意味が込められているように感じられた。観客が映画とともに1つになる。これこそ、やはり絶叫上映の醍醐味なのではないだろうか。

まとめ

終了後には、思い思いのコスチュームに身を包んだ観客の撮影タイムが設けられた。

コスプレをして作品を楽しむのもイベント上映の楽しみであり、見ず知らずの観客同士でも交流が生まれるきっかけにもなる。衣装に限らず小道具に至るまでそれぞれ創意工夫が凝らされていたり、忠実にキャラクターを模したデザインや遊び心など、こういった場面まで含めて絶叫上映の根底にある「作品を楽しむ」というスタイルは、IMAXや4DXに引けを取らない新たな鑑賞方法なのだと改めて実感させられる。参加者の1人で、これまでに「バーフバリ」を劇場で20回は鑑賞しているという「まう」さんは、上映終了後に「初めて『王の凱旋』を観たときの気持ちに戻ることができました。足りなかった部分が補完されたというより、また新しい作品に出会えたような感覚です。最高ですね」と語った。

『バーフバリ 王の凱旋』が公開されて約半年が経過したが、ここにきてグッズ販売・劇中歌のカラオケ配信もスタートするなど「バーフバリ」ブームはいまだ静まりそうにない。観客が主体となって盛り上がることのできる作品に出会えること自体が幸運であり、一連の「バーフバリ」シリーズはそれだけのムーブメントを引き起こすだけの魅力が詰め込まれた稀有な作品であることは間違いない。映画という枠すら易々と飛び越えていく『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』は今後も絶叫上映が予定されている。とにかく規格外にして新たに放たられる魅力を、ぜひ全身で体験してほしい。

ギャラリー

(文:葦見川和哉)

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