「丸ピカ爆音映画祭」を成功させたboidが送る、2本の新作映画。   

■「役に立たない映画の話」

キングコング:髑髏島の巨神 爆音映画祭 ロゴ

(C)2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

「丸の内ピカデリー爆音映画祭」大盛況!

先輩 いやあ、驚いた驚いた。この間ここで取り上げた、「丸の内ピカデリー爆音映画祭」な。

女の後輩 ああ、丸の内ピカデリー3でやってる・・。

先輩 大好きな「ダークナイト」が爆音上映されるというので、1日の午前11時の回を見に行ったんだよ。オレとしては異例の早起きして。

女の後輩 確かに午前中はすべて睡眠時間に充てている人にとっては「異例の早起き」ですね。

先輩 上映スタート20分前にチケットを買ったんだけど、なんとまあ、場内9割埋まっていた!!

女の後輩 ちょっと待って下さい。丸の内ピカデリー3の座席数って、確か・・・。

先輩 530席。その9割が埋まっていたということは、約500人近い人が、朝11時から「ダークナイト」の爆音上映を楽しみに来たんだ!!

女の後輩 それってけっこう凄いことですよね。

先輩 聞けば「ゼロ・クラビティ」の爆音上映もかなりの入りだったと言うから、この試みは大成功だね。

女の後輩 銀座の映画館で、初めてですものね。爆音上映をやったのは。

先輩 そもそも歴史的に見ても、有楽町・銀座・日比谷界隈の映画館がこうしたサービスをして来なかったんだよ。

女の後輩 何でですか?

先輩 チェーンマスターという言葉を聞いたことあると思うけど、よく「丸の内ピカデリー1系」とか複数の映画館がチェーンとして表記されることがあるけれど、この場合は「丸の内ピカデリー1を中心にした複数の映画館」という意味だな。

女の後輩 チェーンマスターって、特別な映画館なんですか?

先輩 いやいや、別に特別でもなんでもない。少なくともハード面においては、よそと変わらない映画館だよ。

女の後輩 銀座で営業している映画館は、すべてチェーンマスターなんですか?

先輩 そうとは限らない。大手配給・興行会社が直営館として経営している映画館が、そう呼ばれることが多かったわけだけど、チェーンマスターは新聞の映画広告なんかでも、他の映画館より大きく館名が表記されたり、いかにも「この映画を上映するのに、大切な映画館」として優遇されてきたわけだな。それがシネコンの時代に入って変わっていくわけさ。

キングコング:髑髏島の巨神 メイン

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映画館の音響強化は、歓迎すべきことだ。

先輩 とにかく「ダークナイト」はよく入っていたけれど、続けて見た「キングコング:髑髏島の巨神」のほうは今ひとつの入りだった(笑)。こっちは新作なのにねえ。

女の後輩 今度の上映は、単に旧作を上映するだけでなく、爆音上映という付加価値をつけたところが成功した理由じゃないかと思いますが。

先輩 その通りだ。映画館の音響については、色々な方法でパワーアップする動きがあって、例えば立川シネマシティの「極上音響上映」「極上爆音上映」などは、すっかり定着し、観客も遠方から来るそうだから、音響の強化をすることで商圏が広がっているんだなあ。

女の後輩 ただ、あそこの場合は社長がオーディオマニアだと言いますから・・。

先輩 そういうことを奨励する社風でもあるわけだな(笑)。今回の「丸ピカ爆音映画祭」では、樋口泰人さん率いるboidが音響機材を手配し、樋口さんが調整した。この音響が凄かったのだけど、「ダークナイト」を見る限り、単にスピーカーを鳴らせば良いというのではなく、調和の取れたサウンドを実現していたと思うね。特に音楽は素晴らしかった。

女の後輩 boidというのは、音響専門の会社なんですか?

先輩 いやいや、樋口さんが1998年に設立した会社で、ビデオ、CD、単行本などを製作・発売するレーベルとのことだ。確かにboidの企画・制作による爆音上映・爆音映画祭は日本各地で行われているけれど、今回の「丸ピカ爆音映画祭」は、その中でも最大規模の映画館での開催になったと樋口さんが言っていたよ。

女の後輩 映画を1本ずつ、爆音上映用に調整していく作業は大変ですよね。

先輩 そうそう。通常の映画館の営業が終わってから調整を行うから、徹夜になることもままあるそうだ。

boid配給「PARKS」には、吉祥寺バウスシアターのオーナーの願いがこもっている。

©2017本田プロモーションBAUS

先輩 そのboidが今度映画を配給するんだよ。「PARKS パークス」という作品で、4月22日からテアトル新宿を皮切りに、4/29から吉祥寺オデヲン、5/6からシネ・リーブル梅田で公開され、以後各地で上映が決まっているぞ。

女の後輩 そちらはピカデリーじゃないんですねえ。

先輩 うん。まあ色々あるんだろ、営業の事情とか。この作品は面白い成り立ちをしていて、boidがずっと爆音映画祭をやっていた吉祥寺のバウスシアター。惜しくも2014年に閉館してしまったんだけど、ここのオーナーが「映画館の終わりを新しい始まりにしたい」との願いから、井の頭公園100周年を記念して作った映画なのだそうだ。

女の後輩 映画館が閉館・休館することはよくありますが、そこから1本の映画が誕生したという経緯は面白いですね。

先輩 志のある人は、転んでもただでは起きないんだよ。それともう1本、boidが提供としてクレジットされているアメリカ映画が初夏に公開される。タイトルは「めだまろん ザ・レジデンツ・ムービー」。こちらはダゲレオ出版の配給で、シアター・イメージフォラムで上映されるぞ。

© 2015 Film Movement, LLC

女の後輩 なんですか、これ?目玉おやじがタキシード着て4人で立っている。

先輩 ザ・レジデンツという覆面アーティストのバンドなのだそうだよ。この映画はそのザ・レジデンツを追いかけたドキュメンタリーだ。

女の後輩 爆音上映以外に、こういう映画をやっているんですねえ。面白そうな会社です。

先輩 とにかく「丸ピカ爆音映画祭」は成功したのだから、ぜひとも第2回を開催してもらって、また迫力のあるサウンドを聞かせて欲しいものだね。Boidの関連作品や爆音映画祭・爆音上映については、下記を参照されるのが良いと思うぞ。

●boid=http://www.boid-s.com
●爆音映画祭=http://www.bakuon-bb.net/

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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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