映画『デリバリー』が配達する、ピザと血と銃弾の明るいバイオレンス!

(C)2019 SILVER CANNON ENTERTAINMENT LTD.

まずは本作『デリバリー』のポスター・カットをご覧ください。

もう見たからにピザの宅配(デリバリー)店を舞台にした青春群像劇って感じではありますよね。

しかし、真ん中にいる女の子(若き店長役の鈴木つく詩)の右手にご注目……なぜに拳銃!?

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街390》

そう、映画『デリバリー』は宅配ピザ屋を舞台に繰り広げる血と銃弾のバイオレンス青春映画なのでした!(……って、それも違うか? あー、もうジャンルとか特定できない!)

どんな注文にも応じるピザ屋
宅配店員それぞれの一大受難!

映画『デリバリー』は、前段で記したように、宅配専門ピザ屋「キャッツ&ドッグス」がメイン舞台です。

店長はまだ20歳の早希(鈴木つく詩)、4人のイケメン配達員と一人のこわもてシェフ柏木(寺中寿之)で店は成り立っています。

このお店、どんな注文にも応えることができるのをモットーとしており、たとえば「ハッピーになれるピザ」とか「世界平和のピザ」とか「呪いのピザ」とか、何でもオーダーを受けては奇抜なピザを作り、配達してくれることで評判のお店なのでした。

そして本作は、クールガイの真治(藤田富)、リーダー格の竜也(長濱慎)、大学生アルバイトの亮介(神林斗聖)といった配達員それぞれのエピソードがオムニバス形式で描かれていきます。

しかも、それらはすべて危険どころではない、まるでバイオレンスの神様に魅入られたかのような究極のトラウマ的緊迫劇ばかり!

一体なぜ、揃いも揃って彼らにそのような災厄がふりかぶっていくのか?

そんなオカルティックな疑問に映画は一切応えることはなく、最後に店長・早希の壮絶至極なるエピソードが繰り広げられていくのです!(しかもそこに登場するのは、あの顔面凶器・小沢仁志だ!)

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さわやか美少女ヒロインと
”顔面凶器”小沢の兄ィが対峙!

本作の面白さは、宅配ピザ屋という一見楽し気な風情と、人生の内でこんな壮絶なこと一度あるかないかといったバイオレンス・エピソードとのギャップを魅力的に展開していくところにあり、血も銃弾も大いに飛び交いますが、意外にもかなり明るい陽性テイストで占められています。

監督は『SCORE』(95)で日本のインディーズ・アクション映画に風穴を空けた室賀厚で、その後も『GUN CRAZY』シリーズ(02~03)や『復讐したい』(16)などのバイオレンス映画や、一方ではちばあきおの伝説的野球漫画を原作とした『キャプテン』(08)や、最近ではひとりの女性の再起を描いたヒューマン映画の秀作『お元気ですか』(17)など、多彩な活躍を続けています。

もともと彼の作品はどんなにハードでもふっと明るく突き抜けたところがあり、本作はそんな彼の「陽」の魅力が心地よく醸し出されたものとして大いに推したいものがあります。

今回の主演・鈴木つく詩も、そんな室賀映画のヒロインとして明るくさわやかな魅力を好もしくふりまいていて、まただからこそ“顔面凶器”小沢の兄ィとの対峙も一段と映えわたるのでした。

思えば小沢仁志も出世作となったのは室賀作品『SCORE』であり、その意味でも今回の出演はどこかしら原点回帰的な気持ちよさも感じられます。

できることなら犯罪に巻き込まれたくはないけれど、自分だったらこのお店「キャッツ&ドッグス」にどのようなピザをオーダーしてみようかな? などと考えながらご覧になるのも一興でしょう。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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