ワールドカップの熱狂をスクリーンでも!『アーリーマン 〜ダグと仲間のキックオフ!〜』

こんにちは、八雲ふみねです。

今回ご紹介するのは、現在公開中の『アーリーマン 〜ダグと仲間のキックオフ!〜』。
W杯ロシア大会だけでなく、スクリーンの中でもサッカー熱は最高潮です!



八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.164

むかしむかし、この地上にまだマンモスがいた頃のお話。勇敢な少年ダグは愉快な仲間や相棒のブタ・ホグノブと一緒に、小さな谷間で平和に暮らしていた。

ところがある日、ブロンズ・エイジ・シティの暴君ヌース卿が、谷で採れる青銅を奪いにやって来た。ダグたちは、ブロンズ・エイジ・シティで崇拝されている“サッカー”というスポーツでヌース卿に対抗しようと決意。故郷を取り戻すべく、チームを結成し、特訓に励むが…。

故郷を守れ!原始人たちがサッカー対決!!

このコラムが掲載される頃には、佳境を迎えている「2018 ワールドカップ ロシア大会」。世界を制するのはどの国か、非常に気になるトコロですが、映画界でもこれまた熱いサッカー映画が注目を集めています。

こちらはなんと、原始人によるサッカー対決。『ウォレスとグルミット』や『ひつじのショーン』で知られ、全世界にファンを持つニック・パーク監督とアードマン・アニメーションズによるストップモーション・アニメ最新作です。

ストップモーション・アニメーションとは、静止している物体を少しずつ動かして撮影し、まるで動いているかのように見せる映画の撮影技法のこと。

アードマンが得意としているクレイアニメは、登場人物と背景をクレイ(粘土)で作り、1コマ撮影するごとに造形物に手を加え、そしてまた1コマ撮影するという気が遠くなるような作業を繰り返し、長い時間をかけて1本の作品を仕上げていきます。

本作も、制作に8年の歳月をかけて完成させました。

撮影には尋常ではない手間がかかり、撮り直しも容易ではないこの技術。しかし、その動きの自由さや独特の温かみには、クレイアニメでしか表現出来ない味わいがあります。

以前『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』の公開時、リチャード・スターザック監督の来日イベントで司会を務めた際、実際に撮影で使用されたショーンを間近で見る機会がありました。大きさは、スターザック監督が着用しているジャケットの胸ポケットにスッポリとおさまる程度。思った以上に小さなパペットで驚いたことを覚えています。
しかしシンプルな造形にもかかわらず、表情はもちろんひつじの毛並みまでとても精巧に表現されていて、いまにも動き出しそう。その愛らしい姿に、一目惚れしてしまいました。

本作でも細やかに制作されたキャラクターたちの豊かな表情やユーモアあふれる動きに、思わずニンマリ。

そして、古代ローマのコロッセオを彷彿させるようなスタジアムで白熱した試合を展開するクライマックスは、本物のゲームを見ているような臨場感を味わえます。パペットたちが意志を持って“演技”をしているような独自の世界観こそ、クレイアニメーションの魅力と言えるでしょう。

本作に隠された、もうひとつの“ブーム”とは。

今年はサッカーイヤーであると同時に、実は原始時代ブームも席巻中。

本作の舞台は、石器時代から青銅器時代へと移り変わる頃。日本ではちょうど、縄文時代に当たります。

折しも東京国立博物館では「縄文-1万年の美の鼓動」という縄文展を開催中。さらには考古学や民俗学の専門家、文化人・アーティストといった縄文に情熱を傾ける人々を追ったドキュメンタリー映画『縄文にハマる人々』も公開中。

“サッカーと原始時代”という異色のコラボレーションは決して偶然の産物ではなく、いま“観るべき”タイミングで日本にやって来た!この夏は本作を楽しみながら、クレイアニメーションの技術的躍進と古代のロマンに思いを馳せてみてはいかが。

<作品情報>

アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~
2018年7月6日からTOHOシネマズ 上野ほか全国ロードショー
監督・製作:ニック・パーク
脚本:マーク・バートン、ジェームズ・ヒギンソン
声の出演:エディ・レッドメイン、トム・ヒドルストン、メイジー・ウィリアムズ、ティモシー・スポール ほか
声の出演(日本語吹替版):梶裕貴、大塚芳忠、沢城みゆき、戸田恵子、山寺宏一、堀内賢雄、佐々木梅治、諏訪部順一 ほか
©2017 Studiocanal S.A.S. and the British Film Institute. All Rights Reserved.
公式サイト http://earlyman.jp/

八雲ふみね fumine yakumo

八雲ふみね大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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