マーベル初夏のアメコミ映画まつり第一弾!「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」

■「役に立たない映画の話」

(C)Marvel Studios 2017

おいおい、こいつら前作よりもパワーアップしてるぞ。

爺 今回も、面白かった。

先輩 ですね。僕は前作を公開最終日の最終回に、UCとしまえんのIMAXで観たんですが、予想だにしなかった面白さに気分爽快でした。

爺 永遠の青春野郎ピーター、口は悪いが腕は立つアライグマのロケット、セクシーなツンデレ暗殺者・ガモーラ、見るからに肉体派のドラックス、そして“木”のグルート。みんな健在というか、ますますパワーアップしてる。

先輩 もちろん監督・脚本はジェームズ・ガンで、製作はマーベル・スタジオ。でも、この映画はマーベルの他の映画と毛色が違いますよね。

爺 さほどメジャーではないキャラクターをピックアップしたからだと思うが、それが縛りのない自由に繋がったんじゃないかな。「アベンジャーズ」に参加しているメンバーだと、設定もキャラも既に確立されているからなあ。

先輩 2作目になってニュー・キャラクターを投入。ピーターの父親を名乗る、その名もエゴという銀河を支配しているような大人物が出てくるのですが、これがなんとカート・ラッセル!!

爺 それにシルベスター・スタローンも出ているというから、「デッドフォール」のコンビ再びじゃないか。

先輩 残念ながらふたりが顔を合わせるシーンはありませんが、こういうキャスティングはうれしいですよね。

爺 そーかあ? カート・ラッセルが支配している惑星で生活したいと思うか?

先輩 うーん・・・そのエゴについている、カマキリ系美少女がマンティス。そのまんま(笑)。でも、とてもキュート♡。ちょっとPerfumeののっちに似ているあたりも高得点。

爺 ミーハーめ。しかし今回もジェームズ・ガン監督は脚本も手がけているけど、映画の流れに沿って観客がどういう心理状態になるか、実に緻密に計算している。それに沿ってストーリーを展開しているんだろうな。だからこの人はシナリオがたいそう上手な人なのは分かる。でも、監督としてはどうだろう・・・?

先輩 どういう点がご不満ですか?

爺 画がガチャガチャして、何というか映像の情報量が多すぎる。というか、一言で言って画がうるさい。

先輩 3D吹き替えバージョンの試写なんて見るからですよ。いい年をして。

爺 とにかくもうちょっと映像の情報量を間引いてくれないと、ただただ騒々しいだけの印象が強くなってしまう。せっかくよく出来たストーリーやキャラクターがもったいないと思ったよ。

(C)Marvel Studios 2017

最近のアメコミ映画は、ドラマ部分を強調しすぎ?

先輩 そうはおっしゃいますが、そもそもそういうガチャガチャ感というか、おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさこそが、所謂アメコミ映画が受けた理由じゃないでしょうか?

爺 そうかなあ。わしはアメコミ映画全般の分岐点になったのは、「ダークナイト」だと思っているが。

先輩 ワーナーとDCコミックスは、ティム・バートン監督の時代からずっと「バットマン」をダークな内容で映画化していましたから、それは作品のパーソナリティに忠実にしようとしたのでしょう。確かに「ダークナイト」はインパクトのある作品になり、大ヒット(日本はそうでもないけど)しましたが、ヒーローものに青春映画的要素を加えた、マーベルとソニー・ピクチャーズの「スパイダーマン」3部作の存在は大きいと思いますよ。こちらは日本でもヒットしたし。

爺 「アイアンマン」「アベンジャーズ」あたりから、マーベルは集団抗争ヒーロー路線になって、MCUを打ちだしてくる。

先輩 集団ヒーローという点では、既に「X-MEN」シリーズがありましたが。その中からウルヴァリンというキャラクターが1本立ちしたのは大きいですね。

爺 だからな、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」みたいな作品を観ると、「あれ? 前に観たアメコミ映画みたい」って感じになるわけだ。

先輩 そうですかねえ。むしろ「アベンジャーズ」以降のアメコミ映画は、ドラマ的な部分を深めているのは良いのですが、ちょっと強調しすぎる気もします。例えば「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」なんて、ドラマとしてとても見応えがある作品なんですが、爽快感や楽しさはどうでしょうか。ご隠居の言うそのガチャガチャ感が、もっと欲しかった。

爺 アントマンは巨大化するけどな(笑)。だから、前にアメコミ映画をここで云々した時にも「しょせんは赤いパンツ履いた兄ちゃんが、空を飛び回る映画」という、そういう荒唐無稽さ、単純明快なカタルシスがあったんだけど、確かにこのところそれは希薄になっているように感じるね。

(C)Marvel Studios 2017

「誰も赤いパンツを履いて空を飛ばない(笑)」

先輩 今やアメコミ映画はアメリカ映画の主流と言えますから、求められる要素も多い。だからこそ、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」みたいな、まさにガチャガチャした映画が求められるんじゃないでしょうか?

爺 昨年の「デッドプール」も笑いの要素を強調し、下ネタはあるわパロディはあるわ(笑)。だから「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」と「デッドプール」は、揺り戻しというか、ドラマの深さよりも楽しさ、賑やかさを優先しているアメコミ映画なのだろう。

先輩 両極端に行ってますよね。例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」のちょっと後に公開される「ローガン」なんて、アメコミ映画という既成概念を打ち破る、ドラマティックな部分を極限まで突き詰めたような作品になっている。

爺 誰も赤いパンツを履いて空を飛ばない(笑)。

先輩 だから「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」みたいな映画は、ポップコーン頬ばりながら楽しめば良いわけですよ。アライグマと小さな木が宇宙で暴れる映画なんですから(笑)。ただそのためにジェームズ・ガン監督は緻密な計算をした上でストーリーを作っている。そういう意味では、たいそう知的な映画なのかもしれません。

爺 それは・・買いかぶりすぎじゃないか(笑)。ところがこのガーディアンズの面々が、来年公開される「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー(原題)」に参戦するというから、これまた楽しみじゃないか。

先輩 あいつら、アベンジャーズの連中に嫌われませんかねえ(笑)。「笑いとノリだけで行動しやがって」と。

爺 ピーターはトニー・スタークあたりとは気が合うかもしれないぞ(笑)。プレイボーイ同士で。

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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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