『コンジアム』実在の心霊スポットからの生配信が最悪の結果に!




第28回:『コンジアム

今回ご紹介するのは、今月からAmazonプライム・ビデオの見放題タイトルに追加された、2019年日本公開の韓国映画『コンジアム』です。

聞き慣れないタイトル『コンジアム』とは、映画の舞台となる精神病院の名前(昆池岩=コンジアム)のこと。

入院患者の集団自殺や院長の行方不明事件などで閉鎖され、CNNが選ぶ世界7大心霊スポットに選ばれた実在の廃病院を舞台に、そこから生配信しようとする若者たちが想像を絶する恐怖を味わうことになるのですが、気になるその内容と出来は、果たしてどのようなものなのでしょうか?

ストーリー


YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」は、閉鎖されたコンジアム精神病院から動画配信していた高校生二人が謎の失踪をとげたことで、一般からの参加者を募って現場への潜入を計画。
主宰者のハジュン(ウィ・ハジュン)を隊長とする7人の男女は、いくつものカメラやドローン、電磁検出器といった機材を現地に持ち込み、深夜0時を待って配信を開始する。
100万PVを目標に掲げるハジュンが用意していた"やらせ演出"も功を奏し、サイトへのアクセス数は順調に伸びていくが、院長室からシャワー室、実験室、集団治療室と、次々に病院の奥へ踏み込んでいくうちに、ハジュンの想定を超えた原因不明の怪奇現象が続発することに。
悪夢の迷宮と化した病院内を泣き叫んで逃げまどう隊員たちは、やがて世にもおぞましい"402号室"の真実を知ることになるのだが…。


軽い気持ちで選んだ場所が、本気でヤバかった!



数々の恐怖伝説が残るコンジアム精神病院の402号室に侵入した二人の高校生が、生配信中に行方不明になってしまった動画が紹介される冒頭部分だけで、すでに期待が高まる本作。

ネットを騒がせたこの失踪事件にヒントを得て、YouTubeの人気チャンネル「ホラータイムズ」が同じ精神病院からの動画配信を計画したことから、この恐怖の物語は始まります。



視聴者の興味を引きつけてPV数を稼ぐため、「ホラータイムズ」主催者のハジュンは、病院が廃業した10月26日に合わせての配信を計画するのですが、ネットで募集した参加希望者たちが待ち合わせのカフェに集合するシーンのように、役者が演じている感が予想外に少ないおかげで、過去の類似作品のように日常描写や会話シーンで早送りしたくならないのは嬉しいところ。

加えて、実際に俳優が身に着けたGoProや手持ちのカメラで撮影された映像が映画の大半を占めている点も、映画に現実味と臨場感を与える上で実に効果的と言えるでしょう。

実際こうした演出のおかげで、暗い病院の中を進むクルーたちに襲いかかる恐怖や驚きを、観客も一緒に体験できるのです。

ちなみに、コンジアム精神病院の正式名称は「南霊神経精神科病院」。1961年の開業当時は最新設備を備えた韓国で最大規模の病院だったものの、1979年に起きた原因不明の患者の集団自殺と院長の失踪により、現在は廃墟と化してしまったことや、60年代は国家の拷問施設として使用されていたことなど、病院にまつわる秘密や謎が序盤で明かされる点も、先の展開への不安を高める上で実に上手いのです。

病院の中に入ってからは、次々に起こる奇怪な現象や音がクルーたちを驚かせるのですが、実はこれがアクセス数を稼ぐために、ハジュンがあらかじめ用意しておいたヤラセ演出だったことが分かってきます。

このタネ明かしで観ている側もちょっと安心するのですが、病院の奥へと進むにつれて予定になかった超常現象が起こり始めたり、外の機材の故障や病院内のクルーたちとの通信が途絶えてしまったことで、ついにハジュン自身も病院の中へと足を踏み入れてしまうことに…。

ここから先の恐ろしい展開は、ぜひご自分の目で目撃して頂きたいのですが、過去の類似作品のような低予算ホラーと思っていると、想像を超えた恐怖の連続に意表を突かれることになる、この『コンジアム』。

寝る前に観ると確実に夢に出てきそうな描写の連続なので、全力でオススメします!

最後に


期待を持たせておきながら結局最後まで何も起きず、暗い画面と揺れまくるカメラだけが記憶に残る過去の類似作品とは違い、最後までしっかりと怖がらせてくれる点が素晴らしい、この『コンジアム』。

公開当時もその怖さを評価する声は多かったのですが、出演者が自ら撮影した映像を多用することで、役者の演技や監督による演出といった違和感が抜けて、観客が物語に入り込みやすくなっている点は、本作成功の大きな要因と言えるでしょう。

加えて、恐怖に怯えるクルーの顔をアップでとらえた映像の多用や、犠牲者や悪霊に憑依された人々の高い演技力によって、調査クルーが体験する恐怖が更に倍増する点も、実に上手いのです。

スマホ用のゴーグルを着用して、更に暗い部屋でヘッドフォンを使ってご鑑賞頂くと、より恐怖感が高まる作品なので、お持ちの方は、ぜひ一度試してみては?

(文:滝口アキラ)

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