『星屑の町』レビュー:映画(実写)にお帰り、のんちゃん!昭和歌謡おやじコーラスとのコラボも最高!

懐かしき昭和テイストと
のんの魅力が見事にフィット!

本作の愉しさは、懐かしき昭和歌謡とその雰囲気に乗せて、しがないおやじコーラスのドサ回りの旅を哀愁をこめてユーモラスに綴っていくところにあります。

こうした昭和テイストは、令和の今になると逆に新鮮に映えるところも多く、意外に若者層に受け入れられるのではないかとも思われます(また登場するハローナイツのおっさんたちが可愛いのです!)

そして今回、“今”の映画としての輝きを強めてくれているのが、やはりのんでしょう。

TV『あまちゃん』でのブレイクからいろいろあった彼女ですが、名作アニメーション映画『この世界の片隅に』で見事に復活し、今回は久々の、そして堂々の実写映画出演となりました。

最初は「あまちゃん」よろしく東北弁での(さすがに「じぇじぇじぇ」とは言いませんけど!?)勝気でごり押しの娘として登場しますが、やがて彼女がハローナイツの面々と一緒に歌い出すあたりのオーラは、いかにも昭和! といった魅力あふれる衣装やメイクの数々とともに、まさに映画女優ならではの輝きとしかいいようがないほどです。

また劇中は《恋の季節》《中の島ブルース》などの昭和歌謡が続々と登場しますが、舞台をずっと見てきたファンの方には、「山田修とハローナイツ」名義で発表された《MISS YOU》や今回のオリジナル《シャボン玉》を披露するあたりもお楽しみのひとつでしょう。

脚本は、原作舞台の生みの親として四半世紀にわたってシリーズを盛り上げてきた水谷龍二。

監督は森田芳光監督の助監督として活動し、その森田監督亡きあとに、彼の商業映画デビュー作『の・ようなもの』(81)の続編『の・ようなもの のようなもの』(16)で監督デビューを果たした杉山泰一。

ここでも師匠譲りのユーモアと、ダサさもまたオシャレと言わんばかりの逆転のセンスを駆使して、実にハイカラで楽しい喜怒哀楽の人情世界を繰り広げてくれています。

見終わって、少しのほろ苦さを心に抱きつつ、どこかしら笑顔になれる、そんな気持ちの良い老若男女が等しく楽しめる、それでいて意外にもデート・ムービーにも最適な作品ともいえるでしょう(見終わってあれこれ語り合えること必至!)。

(文:増當竜也)


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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