『風の色』クァク・ジェヨン監督×藤井武美対談「音楽を共有することで、監督・キャスト・観客が同じ気持ちになれる」

1月26日(金)公開の映画『風の色』。本作は「猟奇的な彼女」で知られる、クァク・ジェヨン監督の最新作。

今回は映画の公開に先駆け、約1万人のオーディションを勝ち抜いたシンデレラガールの藤井武美さんとクァク監督にお話を伺ってまいりました!

いつまでも私をドキドキさせた、探していた女優

──製作のきっかけをお聞かせください

クァク監督(以下、監督):映画祭でお邪魔したことをきっかけに、いつか北海道で映画を撮りたいと思っていました。構想から完成まで10年という本当に長い道のりだったんですが、作品の顔である主人公を演じてくれた、古川さんと藤井さんに逢うための10年だと思っています。

──監督の心を掴んだ北海道の魅力は何でしょうか?

監督:これ(プレスシートを指しながら)、北海道の流氷なんですけれども。流氷って氷河の最終形態と言われているじゃないですか。消えゆくものは美しいというのを表していて、すごく切なさを秘めていてキレイな景色だなと思っていました。

また昔ながらの町並みや地元の方々が非常に親しみやすく温かくて、まるで故郷にいるような感覚になっちゃうんですよね。

──藤井さんは今回約1万人の中からオーディションで選ばれたとのことですが、合格の知らせが届いた時の心境を教えてください。

藤井武美さん(以下、藤井):「猟奇的な彼女」の監督が私を選んでくれたことが信じられなかったんですが、やっとチャンスが回ってきた!という嬉しさしかなかったです。

監督:オーディションではあまり構えず皆さんの演技を見させていただきました。その中で武美さんのお芝居はずっと記憶から消えることがなく、私をドキドキさせてくれて。まさしく探していたヒロインだ!と思いました。

現場の盛り上げ役は監督?

──日韓合同のチームで撮影されたとのことですが、苦労された点はありましたか?

監督:苦労した点はありませんでした。もちろんタイトなスケジュールでしたし、雨に濡れながらの撮影など大変な環境ではありましたが、それを越えるくらい毎日が楽しかったですね。

藤井:もちろん現場の在り方や言葉の壁などに最初は戸惑いましたが、撮影をはじめて1ヶ月も経つと、感覚的な部分でお互いを理解できるようになっていました。

──現場の雰囲気はいかがでしたか?

藤井:監督はカメラがお好きで、衣装合わせの時なんて200枚くらい撮ってくださって。撮影が始まってからはスタッフさんのことも撮ったりして、常に賑やかな現場でした。結局大切なのは人なんだぁと実感しましたね。

あと親父ギャグも好きなんですよ、監督。それでまた盛り上がったりしてました(笑)。

──え?親父ギャグですか!?

監督:以前、「僕の彼女はサイボーグ」を撮ったときに、当時の助監督が日本のスタッフに「監督の前で悪口言ったらダメだよ、全部聞き取れているんだからね」と言われたことがあります(笑)。

──今回、ゆりと亜矢という2人の女性を演じられていますが、意識されたことはありますか?

藤井:監督が毎回曲を用意してくださっていて、それを聞きながら現場に入るようにしていました。だから意識して演じ分けたというよりも、その曲を聞くと自然とゆりであったり亜矢に入ることができて、いま思うとあの曲たちがなければどうなっていたかなぁと考えたりもします。

監督:私は撮影に入る前、シーンごとに音楽を用意して、それらを実際に現場でキャストの皆さんにも聞いてもらうのが好きで。そして可能であれば完成した作品でも同じ曲を使用したいと常々思っていて、本作ではそれが成功しました。

音楽を共有することで、監督である私、キャスト、そして観客が同じ気持ちになって作品を観ることができるのではないかと思っています。

藤井:ちょうど1月に撮影していたので、この季節になると未だに聞いちゃいますね。それぐらい音楽は重要でした。

観るたびに新たな発見がある作品

──それでは最後に本作をどのような方に届けたいですか?

監督:ひとりでも多くの方にご覧いただきたいのはもちろんですが、敢えてあげるとすれば…初恋が未だの人、いま好きな人がいる人や恋人がいる人、そして失恋を経験したことがある人に観ていただきたいです。

藤井:難しい質問ですね…(悩)。ラブストーリーの中に笑いあり涙あり、そして幸せも感じられる作品になっているので、今監督がおっしゃられたように、色んな方にご覧いただきたいなぁと思います。

──たくさんの経験を経て改めて観なおすと、また違った見え方をするかもしれないですよね。

監督:そうなんですよ、私自身も観るたびに突出する感情が違います。昨年、富川映画祭で3回上映があったんですが、すべての回を観てくださったという方が多くて、観ればみるほど新しい発見があったという感想をいただき、とても嬉しかったです。ぜひ日本でも多くの方に劇場へ足を運んでいただきたいです!

──本日はありがとうございました!!

インタビューを終えて

藤井さんがおっしゃられていたように、親父ギャグが大好きなクァク監督。笑いが絶えないインタビューとなりました。

実は本作、アジアの観客と出会える映画作りをモットーにスタートしており、日本のみならず、韓国・中国などアジア圏での公開も目指して製作されていたとのこと。そのため日本映画ではあまりみない、スケール感あふれる作品に仕上がっています。

映画『風の色』は、1月26日(金)全国ロードショーです。

『風の色』のあらすじ


突然目の前から消えた恋人・ゆり(藤井武美)の死から100日、彼女との思い出の品々を胸に、失意のどん底からマジシャンになることを決意した青年・涼(古川雄輝)。その後、“自分の生き写しの人間”の存在に気付き始めた彼は、生前「私たちはまた会える」、「流氷が見たい」と言っていた彼女の言葉に導かれるように、北海道へ向かう。

そして、旅の途中で出会った、亜矢と名乗る、ゆりと瓜二つの女性(藤井/二役)。彼女もまた、2年前の事故により行方不明になっていた、涼と瓜二つの天才マジシャン・隆(古川/二役)との再会を待ち望んでいた—。

監督・脚本:クァク・ジェヨン
出演:古川雄輝、藤井武美、竹中直人ほか

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