遂にDVDリリース!話題作『ケンとカズ』を今こそ見るべき理由とは?

ケンとカズ [DVD]

昨年の公開からほぼ1年を経て、先頃新宿ピカデリーの大スクリーンでの東京凱旋上映を果たした、話題作『ケンとカズ』。

いよいよ5月3日よりDVDレンタルが開始!今まで上映の機会が無かった地域の方にも、やっと手軽に鑑賞出来るようになった本作。実は自分も長い間見逃していたのだが、先日のテアトル新宿での上映の際、1年遅れでやっと鑑賞することが出来た。

その評価の高さから、かなり期待値を上げての鑑賞となった本作だが、果たしてその出来はどうだったのか?

予告編

ストーリー

ケン(カトウシンスケ)とカズ(毎熊克哉)は自動車修理工場で働きながら、裏では覚せい剤の取引をしていた。ケンは恋人の早紀が身ごもっており、彼女と生まれてくる子供のために人生をやり直そうと考えていた。一方、カズは母親のことで問題を抱えていた。カズは密売ルートを増やすべく、敵対グループと手を組もうと画策するも……。

一年遅れの劇場鑑賞で分かった、多くの観客を捉えたその魅力とは?

本作を見た人の評価・感想で非常に多かったのが、やはりキャスト陣の演技の素晴らしさ。

特に主演の二人、ケン役のカトウシンスケと、カズ役の毎熊克哉の迫力あるリアルな演技と存在感に、観客の評価が集中したようだ。
ただ個人的には、主演のカトウシンスケに比べ、非常に複雑な内面を持ったカズを演じる毎熊克哉の演技に、どうしても外見・メイクの造りこみ感や、若干無理に粗暴に振舞っているという違和感が消えずにいた。

しかし、映画が進む内に、その違和感は徐々に消えて行くことになる。

当初は、単に狂暴で共感出来ない存在でしかなかったカズ。しかし、徐々に彼の意外な内面が明らかになって行くにつれて、観客が彼に感情移入しやすくなって結末に向かうという展開は実に上手い!この部分は、小路紘史監督の演出の勝利だと言える。

そして迎える衝撃のラスト!

他の出演者に比べて、どうしてもカズという役を演じている様に見えていた毎熊克哉が、ラストのある展開を経て遂にカズになる!生身の役者が遂に役と一体化する、その瞬間がスクリーンに焼き付けられている点だけで、本作は見るべき価値が充分にあると言えるだろう。

今回の鑑賞で感じたのが、主演の二人以外のキャスト陣の素晴らしさ。

単なる狂暴な不良ではなく、少ないセリフの中にもちゃんと人間的魅力と深みを表現した彼らの演技こそ、本作がこれ程多くの観客に愛され、支持されている原因なのではないか?

言い換えれば本作のキャスト陣は、それだけ役柄を完全に自分の物にしており、もはや役でなく実在の人物としてそこにいるかの様に見えるほど。

例えば、ケンとカズの弟分であるテルを演じた藤原季節の自然な演技、ヤクザのボスである藤堂を演じた野春樹の、一見人当たりが良さそうに見えて実は情け容赦ない狂暴さを持つキャラなど、脇役に至るまでそれぞれの見せ場が用意されている。

中でも、藤堂の部下である田上を演じた江原大介の演技は、少ないセリフと表情にも関わらず、この男の過去や凶暴性、ボスとの関係性までも表現しており、映画鑑賞中に彼から目が離せなくなることは確実なので、是非ご自分の目でご確認を!

英語字幕付きバージョンでの鑑賞も見逃せない理由

実は今回自分が鑑賞したのは、珍しい英語字幕付きのバージョン。香港インディーズ映画の特集上映の一環として、香港の作品との2本立て上映だったため、海外観客向けの英語字幕付きでの上映となったわけだ。

果たして、現代の日本の不良(いわゆるDQN)の言葉使いを果たしてどう英語訳するのか?

個人的に非常に興味のあったこの部分を、日本語のセリフと比較しながら鑑賞してみたのだが、いや、英語字幕の方がより情報量が多く、短い日本語のセリフでも、その中に込められた気持ちやニュアンスまでも、ちゃんと英語字幕文の中に入れ込んでいたのには感心した。

あなたも機会があれば、是非一度英語字幕付きでの鑑賞を試してみては?

最後に

今回遂にDVD化されたことで、より多くの方々に見て貰えるようになった本作。

しかし、今まで劇場での上映の度に足を運んで鑑賞し、本作の良さ・凄さを世間に認知させようとしてきたファンの方々にとっては、これでやっと目的達成という想いと共に、一抹の寂しさを感じているのも事実と言える。

今は只、スタッフ・キャストの方々に「お疲れ様」の言葉と、小路紘史監督の次回作への期待を胸に、今後の彼らの活躍を祈るばかりだ。

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(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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