SNS時代だからこそ声の力を信じたい『きみの声をとどけたい』

(C)2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

2017年8月25日(金)公開の映画『きみの声をとどけたい』を一足先に観てきました。見終わった後、少し勇気をもらった気がしました。

「言葉には言霊がある」SNSが多用される時代にこそ見るべき映画

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『きみの声をとどけたい』はとある街に住む高校生たちが起こす小さな奇跡を描いたアニメーション作品。FMステーションを舞台に、ノスタルジックで懐かしい雰囲気を感じさせ、誰もが共感できる物語。メールやSNSなどが多用される時代だからこそ「自分の声で伝えることの大切さ」「言葉が持つ力」がテーマとなっています。

【あらすじ】
海辺の街、日ノ坂町に暮らす高校生の行合なぎさ(片平美那さん)は小さな頃に祖母から聞かされていた「言霊(ことだま)」の話を今も信じていた。願えば叶う、悪いことを言っていたら自分に返ってくると。なぎさの幼なじみにはラクロス部のかえで(田中有紀さん)、お菓子作りが好きな雫(岩淵桃音さん)、別の高校に通う夕(飯野美紗子さん)がいるが、かえでと夕は顔を合わせる度に口論になってしまう。なぎさは、かえでのことは好きだけど、キツい言葉をつかうときのかえでは苦手だった。ある日、なぎさは使われていない喫茶店に入り込んでしまう。そこには何年も使われていないミニFMステーションの設備があり、DJの真似事をして遊んでしまうが実際にその声は放送されていた。偶然、なぎさの声を聞いていた紫音(三森すずこさん)はとある理由からなぎさたちと一緒にFM放送を再開する。そんな矢先、喫茶店の取り壊しが明らかになる。

自然と引き込まれる魅力あふれるキャラクターに注目!

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この映画に登場するキャラクターはどれも非常に魅力的です。

  • みんなの中心的存在であるなぎさ
  • フレンドリーで思ったことは口に出さずにはいられないかえで
  • のほほんとした雰囲気でパティシエの夢を持つ雫
  • 資産家の祖父を持つ文武両道の夕
  • ゆるすぎるなぎさのラジオを一喝するしっかり者のあやめ
  • おっとりとした性格の音大生の乙葉
  • ネガティブな性格ながらも優しい紫音

FMステーションと、この7人を中心に物語は描かれます。

特に主人公の行合なぎさは素敵なキャラクターで、何事にもポジティブですが、涙もろい一面を持っています。

なぎさは言葉の力・言霊(ことだま)を信じています。言霊とは願えば叶う、悪いことを言ったらそれは自分に返ってくるというもの。しかしながら、言霊を信じるあまり何か嫌なことがあっても、面と向かって自分の気持ちを言えません。

だから近所のお寺の鐘を突き、ゴーンと鳴っている鐘の中で嫌なことを叫びます。こういうところがすごく愛らしいキャラクターです。

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なぎさは、犬猿の仲のかえでと夕の仲を取り持ったり、友達がいない紫音のために友達を集めたり、ラジオのリスナーを増やそうと町中を駆け回ったりします。

みんなの中心的な存在のなぎさを見ていると、ものすごく応援したくなるんです。彼女の中にある枯れないエネルギーは見ているこちらも影響されてしまうほどでした。

個人的なベストシーンは土砂降りの中、とある理由で鐘の中で泣き叫ぶシーン。なぎさの行き所のない思いが爆発するこのシーンを思い出すだけで涙腺が緩んでしまいます。

SNSでなく、自分の言葉で伝えることの重要性

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『きみの声をとどけたい』はタイトルにもある「声」がキーワードとなっています。

SNSが多用される時代になり、自分の気持ちを発信、伝えることが簡単になりました。しかし、この映画では自分の「声」で何かを伝えることの大切さを伝えようとしています。

照れくさくて言えないことや、大切な思い。それらはなかなか声に出せずに、自分の中にとどめてしまっていることがあります。

登場する7人のキャラクターは、どこか自分たちにも共通する部分があり、自分と照らし合わせてしまいますし、映画を見た後にはなぎさたちが背中を押してくれる気がしますよ。

また、言霊の力の存在をこの映画ではあると伝えています。悪口やネガティブな言葉を口にすると、それらが力を持ち、実際に悪いことが起きてしまう。それらは映画でもいくつかのシーンで描かれています。

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匿名SNSでも同じように悪口やネガティブなワードがつぶやかれたりするのをよく見かけます。そういうものはいつか必ず自分に返ってきてしまう。この映画では教訓として語られています。

例えば、紫音が口にする言葉はネガティブな言葉が多いです。

でも、紫音の気持ちはすごくわかるんですよね。物事がうまくいっている時に限って、どうしようもないことが起きて、目の前に立ちはだかり、一気に暗い気持ちになってしまうことってありますから。

そんな状況でもなぎさは言霊の存在を信じて、諦めずに紫音に対して強く訴えかけます。ネガティブな言葉ではなく、叶えたいことや思いを言葉にすべきだと。

SNSなどで簡単に気持ちを文字で表現できる時代だからこそ、声には力があって、声がとどくと願いはかなうし、ちゃんと自分の声で届けるべきだと私は思います。

この映画で語られる言葉の力をぜひ映画館で観ていただきたいです。

(文:澤田孝志)

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