『神と共に 第一章:罪と罰』は韓国エンタメの真髄!推しポイントはコレだ!

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近年の韓国映画は、アクションが熱い。少し前までは血で血を洗うノワール作品がムーブメントだったが、最近は培われたノワールのテイストを継承しつつ、ゾンビ・アポカリプスにアクションのテイストを混ぜ込んだ『新感染 ファイナル・エクスプレス』や、怒涛のサイキックバトルを描いた『THE WITCH 魔女』といった作品が日本でも話題になった。

以前に比べエンターテインメント性を追求した作品が日本で配給されるようになったが、その最新作が現在公開中の『神と共に 第一章:罪と罰』だ。韓国の人気ウェブコミックを原作に、第一章・第二章(『神と共に 第二章:因と縁』)からなる二部作構成で映画化。第一章は2017年に韓国で公開されており、観客動員数は韓国歴代2位となる1440万人を記録している。今回はそんな韓国エンタメの真髄『神と共に 第一章:罪と罰』の見どころについて紹介していきたい。

お堅いイメージを払拭するストーリーのテンポ感!

正直に言えば筆者は予告編を初めて見るまで、そのタイトルから本作にはお堅いイメージを持っていた。「神と共に」「罪と罰」という文字列を見れば、つい宗教観や哲学観が強いのではないかと勘繰ってしまったのだ。しかし予告編を見てみると、ロングコートに身を包んだハ・ジョンウとチュ・ジフンが武器を手に謎の敵を次々と斬り倒していくではないか。そこでようやく本作がエンタメアクションだと気づいたのだが、まだどこかで“お堅い”イメージがつきまとっていた。

ところがいざ映画が始まると、オープニングにしてメインキャラクターたる消防士ジャホン(チャ・テヒョン)が殉職。すぐさまやってきた冥界の使者ヘウォンメク(ジフン)はどこか飄々とした雰囲気で、もう1人の使者ドクチュン(キム・ヒャンギ)はジャホンが“貴人”と知ってハイテンション。いきなり予想を裏切る展開が続きながらもストーリーはテンポよく運ばれ、ジャホンの死を悲しむ間もなく舞台はあっという間に冥界へと移る。冥界で合流したカンニム(ジョンウ)はヘウォンメクと対照的に、物事を冷静沈着に見つめる視点を持ち主であり、これでメインどころの役者が出そろったことになる。

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死者がめぐる“7つの地獄”

物語の要となるのは、死者がめぐる7つの地獄(殺人・怠惰・ウソ・不義・裏切り・暴力・天倫)での裁判。全て無罪となった暁には生まれ変わることができ、生前に善行を積んで貴人として召されたジャホンは転生の可能性が高いという。この辺りは頭の中で情報整理が必要になるものの、それぞれの裁判においてジャホンがどんな人生を歩んできたかが密接につながるのでしっかり把握したいところ。

とはいえ各裁判の趣旨は明瞭であり、裁判と言ってもやはり堅苦しさを感じさせないのが本作の特徴だろう。2人の裁判官はどこか頼りがいのないキャラクターであり、各地獄の裁判を取り仕切る“大王”も個性豊かな面々が並ぶ。凝りに凝った各地獄のビジュアルや裁判所の美術、さらには3人の使者や大王たちの衣装に至るまで豊かなイマジネーションをもってデザインされているのも注目したいポイントだ。

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地獄と下界を同時に包み込む不穏な空気

本作の物語は、ジャホンが無事に7つの裁判で無罪を勝ち取れるかが軸に据えられている。一方その道中を異形の群れが襲ったことで事態は一転し、カンニムは原因を突き止めるべく下界へと向かうことに。物語は再び下界にも舞台を用意しながらミステリー的な要素を強めていき、片や貴人たるジャホンも秘められた過去が徐々に明かされていく。下界で何が起きているかは物語の根幹にかかわる部分なので伏せるが、その“悲劇”は本作に重要なドラマ性を与えることになる。

物語は異形の者たちとの闘いやジャホンの裁判、そして下界で調査を続けるカンニムと複数のシークエンスが同時に進行していくが、それぞれが密接につながりあった脚本の構成力にも唸らされる。緻密な構成力は韓国映画が持つ大きな魅力のひとつであり、近年のヒット作にも共通しているところではないだろうか。本作は実直なまでにエンターテインメントを追求した作品だが、そういった作品でも妥協の一切ない脚本というのは格別に素晴らしい。

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VFXをふんだんに取り入れた怒涛のアクション!

地獄めぐりのなかで異形の者たちと一戦交える一行だが、カンニムとヘウォンメクによるソードアクションの美しさたるやなかなか言葉では正確に伝えきることができない。そもそも“イケメン俳優がロングコートを翻す”だけでも十二分なほど絵的な瞬間だと思うのだが、そんな2人がさらに剣を振るうのだから見惚れないはずがない。スピード感をもって描かれるバトルシーンでは、そのスピードゆえにクリーチャー好きの筆者としては「悪鬼のデザインをもっとゆっくり見せてもいいんですよ」と心中で願ったほどだ。

さらなる白眉は下界へと移動したカンニムのアクションだろう。下界での“ある出来事”が地獄でジャホンたちが襲撃を受ける原因となるのだが、その“根源”に近づくカンニムの超高速移動は巧みなカメラワークとVFXの融合により圧倒的な興奮を生むはず。下界でのアクションに関しては(生身の人間ではないこともあって)完全にメーターが振り切れており、本作の山場のひとつだと言える。また本作をエンターテイメントたらしめる大きな要素であり、『ドラゴンボール』を彷彿とさせるようなカンニムのアクションは『THE WITCH 魔女』のサイキックバトルにも通ずる部分が大きい。

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真っ向から描かれる“家族の絆”

本作を語る上でついついエンタメ性やアクションパートに目が向きがちだが、本作の肝はジャホンを取り巻く“家族”との物語にある。そもそも死生観に踏み込む本作では容易に「泣き所があるに違いない」と邪推してしまうものだが、丹念に丹念にジャホンと家族の物語の一端を観客に見せていくことによって、いつの間にか観客は感情のスイッチを押されているのだ。自身の死を受け入れたジャホンが『もう一度だけ母親に会いたい』と冥界の使者たちに懇願する姿からも、そんな気配が感じ取れるはず。

ジャホンには病を抱える母親と軍隊に在籍する弟の存在が大きく、この3人の関係性は特に物語の後半から有機的に機能し始める。その核にあたるのがジャホン本人であり、ついには裁判にも大きく影を落とすことになる。ジャホンを聖人君子として描くのではなくどこか翳りを持たせることで、クライマックスに至るまで作品により厚みを持たせることになり、臆面もなく真正面から描かれる“家族の絆”に落とし込まれているのだ。

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まとめ

現在公開中の第一章に続き、6月28日には『神と共に 第二章:因と縁』が公開となる。第二章ではマド兄やマブリーの愛称で日本でも大人気の俳優マ・ドンソクもメインキャストとして加わり、冥界の使者3人に大きく関わることに。まずは第一章をじっくり堪能して、第二章の公開に備えてほしい。

(文:葦見川和哉)

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