映画『恋と嘘』の“男女逆転”は成功していた!その理由とは?

恋と嘘 3ショット

(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社

現在公開中の映画『恋と嘘』は、自由恋愛が許されず、最良の結婚相手が“通知”される、特殊な世界で起こるラブストーリーが紡がれています。実際に観てみると、映画としての完成度を追求し、尊いメッセージが胸に響く良作でした! その魅力を以下に紹介します。

1:原作コミックとは男女が逆転!ベタだけど斬新?

(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社

本作の原作はアプリ“マンガボックス”にて人気No.1を誇り、TVアニメ化もされた大人気コミックです。この原作を読んだ、またはアニメ版を観た方であれば、今回のポスタービジュアルや予告編を見て「えっ?」と驚いたのではないでしょうか。

なぜなら、主要キャラクターの“男女”が原作とは逆になっているから。原作の主人公は男の子でしたが、映画では女の子になっているのです。マンガの実写映画化作品において、原作からの変更が加えられることはよくありますが、性別までもが変わってしまう、というのは珍しいですよね。

原作では、主人公の男の子が“政府に決められた女の子”か、それとも“今まで本当に好きだった女の子”のどちらを選び、これからどうすればいいのかと悩みに悩んでいました。

では、この設定で、男女が逆になるとどうなるか……? 当然、「イケメン2人が女の子を取り合ってしまう!」「どちらのイケメンも選び難い!」という、まさに少女コミックあるある、中高生女子にとって夢のような展開になります(笑)。中高生向け映画としてベタな展開ではありますが、恋愛における“足かせ”として、“政府の決定”という、究極の“どうしようもない事態”があるというのは十分に斬新です。

(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社

今回の映画が優れているのは、原作の“政府に結婚相手を決められてしまう”という設定を十分に生かしつつ、女の子が主人公だからでこその、全く新しいラブスストーリーを構築していること。そして(詳しくは後述しますが)教育上もとても良い、尊いメッセージを内包していることです。

原作から借りているのは、設定だけと言っても過言ではありません。マンガの実写映画化作品において、本作ほど原作に縛られず、自由な作品作りができているということも、かなり珍しいと言っていいでしょう。マンガが原作というより、“原案”と呼んだほうがしっくり来るのかもしれませんね。

ただ、この大胆な改変に原作ファンから賛否があることも事実です。原作で印象的だった“仁坂悠介”にあたるキャラはいませんし、原作でかなり赤裸々に語られていた性的な話題も映画では消滅しています。原作のファンであった筆者も、それらの原作の要素がなくなったことに、少しさみしさを感じてしまいました。

もっとも、原作の要素のオミットも、時間の限られた1本の映画にまとめるための工夫であり、子供も観る作品だからでこその配慮、ということで、十分に納得できるものでした。中途半端に原作を再現するよりも、全く別個の作品としての完成度を高めているということも、本作の美点と言えるでしょう。

余談ですが、今回の映画の主人公は、前述した“仁坂悠介”の姪に当たるらしく、これは「週刊少年マガジン」に掲載された“10年後”を描いた読み切り作品で明かされていたそうです。つまり、原作と映画は、同じ世界の中の出来事であると位置づけられているのですね。

2:イケメンによるイケメン行動が最高だった!

(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社

今回の映画では、原作には存在しない、イケメンによる「イケメンだ……!」と惚れ惚れできるイケメン行動がたっぷり登場します。詳しくは観ていただきたいので書きませんが、いわゆる“※ただしイケメンに限る”な行動ではなく、ちゃんと実生活のデートで役立つ、しかも気を負わずに“さりげなく”行えるものばかりなのです! 女の子向けの映画のように思えて、実は男の子のほうが学べることの多い作品なのかもしれませんね。

そのイケメン2人を演じるのは、『君の膵臓をたべたい』で純朴な少年を演じていた北村匠海と、『HiGH&LOW』シリーズに出演していた佐藤寛太。前者は優しくて素直な好青年、後者は一見冷たいけれど実はツンデレという、少女マンガにおけるイケメンのお手本のようなキャラを、“実写でもあり得る”と思える説得力を持った演技力で魅せてくれたので最高でした。もちろん、何事にも一生懸命な主人公を演じた森川葵もカワイイ!

ちなみに、原作と同様に(しかし全く違うシチュエーションで)「キスするのが早いな!」「なんでこのタイミングで夜の公園にピンポイントで来るの?」と良い意味でツッコミたくなるシーンも存在します。そうしたツッコミも、イケメンのイケメンパワーで気にならなくなってくるので、やっぱりイケメンってズルいですね(嫉妬)。

ちなみに、サブキャラクターとしてお笑い芸人のチュートリアルの徳井義実も出演しており、“関西弁で話すイケメンモデル役”にバッチリハマっていました。彼は数々のドラマに出演をしていたほか、映画『莫逆家族-バクギャクファミーリア-』でも主演を務めていたこともあるので、その芸達者ぶりは折り紙付きですね。

さらに、同じくお笑い芸人のココリコの遠藤章造も出演しており、彼が演じていたキャラは、実は原作マンガでも登場しています(役名も同じ)。ただ、原作とは全く似ていません(笑)。

3:“幸せ”を追求する物語が素晴らしかった!

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今回の映画では「本当の幸せのためには、どのように行動すれば良いのか?」という問いかけが、多角的に描かれていました。少し具体的に言うのであれば、“お金持ちの医者と結婚すれば将来は安泰”といった短絡的な価値観ではなく、その人が主観的に思う“幸せ”のための行動こそを最優先にしてほしい、というメッセージが込められているのです。

これは原作コミックにもあった、『恋と嘘』という作品の根幹をなすテーマと言ってもいいでしょう。

映画の脚本を担当した吉田恵里香は、以下のようにコメントしています。

「ムサヲさん(原作者)が作り上げた繊細な世界観を壊さぬよう、“人を愛するということ”について、真正面から向き合せていただきました。原作を読んだ際、胸にこみ上げる、恋の美しさ、儚さ、切なさを映画でも感じていただけたら幸いです」

どのように人を愛すればよいのか、どのような選択をすれば幸せになれるのか……その大きな疑問に対しての1つの答えを、本作は映画オリジナルのストーリーで、説得力をもって、しかも押し付けがましくならずに訴えているのです。原作から大胆な改変があったとしても、そこを疎かにはしない作品の精神性、原作へのリスペクトが大好きになりました。

また、原作マンガの第6巻には、このようなセリフがあります。

「自分が辛くても、その人が笑ってくれているなら、自分の気持ちはなんとか出来るから。その人が辛いのに何もできないより、ずっといい。人を好きになるって、そういうことだと、私は思う」

シチューションは全く違いますが、これに似た言葉が映画にも登場します。それを聞いた主人公がどのように、何のために行動するのか……そこには、例えようもないほどの感動がありました。

おまけ:エンドロール後の映像はアリ?ナシ?

※以下は、明確な内容は書いていませんが、映画のラストシーンにごく軽く触れています。予備知識なく観たい方はご注意ください。

本作では、エンドロール後に“本当のラストシーン”が存在しており、それも賛否両論を巻き起こしているようです。

個人的な好みで言えば、このラストをあまり好きにはなれなかった、というのが正直なところ。青春や恋愛を描いた映画では、あえて結末部分を明確しないことによって、“その後”に観客それぞれの想像が広がっていくという楽しみ方もあるのですが……本作の結末は“描きすぎ”に感じてしまったのです。(もちろん、「この結末で良かった!」と感じた方も、たくさんいます)

もっとも、観る人によって違った感想が生まれること、捉え方が異なることも、映画の面白いところです。全否定をしてしまうべきではないですが、一緒に観た人と「ラストはアリ?ナシ?」と話あってみるのも良いでしょう。どのような答えが返ってきたとしても、その人をもっと大切にしたい、と思える……そのようなラストを、ぜひ見届けてください。

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(文:ヒナタカ)

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